「2026年度中小企業・地域活性化施策に関する要望」を公表

日本商工会議所(小林健会頭)は、標記要望を取りまとめました。本要望は、全国の商工会議所から寄せられた現場の声や要望等を取りまとめたものです。

 日本経済は成長型経済への移行、経済の好循環を実現する好機を迎えています。好循環実現の原動力は、雇用の約7割(3大都市圏を除くと約9割)を担う「中小企業・小規模事業者の収益改善、従業員等の所得向上」と、疲弊する「地域経済の再活性化」です。一方、地域中小企業の多くは人手不足に起因する労務費増、賃上げを上回るコストプッシュインフレ等に直面し、業況の二極化が顕在化しています。
 政府は6月に閣議決定した骨太の方針で「年1%程度の実質賃金向上をノルム(社会通念)」として定着させるとしています。本要望書では、その実現のため、賃上げや投資の原資確保に向けた付加価値の創出や、取引適正化に向けたビジネス環境整備等の強力な推進とともに、中小企業等が生産性を向上させ、地域経済の好循環の原動力となる予算措置の拡充を求めています。また、地方創生2.0基本構想に即し、商工会議所等が推進する地域活性化事業等への予算措置を要望しています。
 今般の米国における関税措置は、売上減少や資金繰りの悪化等を訴える声が一部の企業から寄せられ、中長期的には多くの中小企業への影響が懸念されます。同国より8月1日までを停止期限とした新たな相互関税率が示されたものの、政府には、引き続き関税措置の適用除外等に向けた粘り強い交渉に取り組むとともに、サプライチェーンを構成する中小企業・小規模事業者への必要な支援を迅速に講じるなど、各地域の産業や雇用を守るための対策に万全を期すよう要望しています。 

 本年4月に公表した「地域経済の好循環を支える中小企業・小規模事業者の『稼ぐ力』の強化に向けて」に基づき、以下に掲げる民間の挑戦を後押しする具体的施策の迅速な実行および必要な予算措置を求めてまいります。

本要望の概要

♢米国関税措置への対応に関する要望

Ⅰ.人手不足等に直面する中小企業等の付加価値拡大への挑戦支援

1.中小企業等の付加価値創出・拡大への支援

①成長志向型の中小企業等への支援 

地域経済社会に貢献する小規模事業者等への支援

2.中小企業の人手不足対策と業務効率化

①中小企業の人材確保・定着・育成への支援  

②多様な人材の活躍に関する支援

③デジタル活用等による業務効率化・省力化への支援

Ⅱ.価格転嫁など、取引適正化に向けたビジネス環境整備

1.適正利潤を得られる取引環境の整備

2.社会全体の価格転嫁の商習慣化の定着

Ⅲ.地域への投資拡大など、地域経済の再活性化支援

1.地域に人と投資を呼び込む支援の強化

2.地域経済を牽引する中堅・中小企業の成長支援

3.大規模自然災害からの復興・再生

 

 

中小企業庁・山下長官(右)に要望書を手交する立野中小企業委員長

【本件担当】

日本商工会議所 中小企業振興部
TEL:03-3283-7826 / E-mail:chusho@jcci.or.jp

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