「地域経済の好循環を支える中小企業の持続的な成長に向けた意見」の公表について

 日本商工会議所(小林健会頭)は、本日、「地域経済の好循環を支える中小企業の持続的な成長に向けた意見」を取りまとめ、公表しました。
 本意見は、全国の商工会議所から寄せられた現場の声や要望等を取りまとめたものです。
 日本経済は「停滞から成長」への転換局面にあり、デフレ克服の好機を迎えています。景況は改善傾向にあるものの、雇用の約7割(3大都市圏を除く地方部は約9割)を占める中小企業(小規模事業者含む)まで経済成長の果実が十分に届いておらず、波及には時間がかかります。
 こうした中、中小企業は自己変革に挑戦し、物価高などのコスト増や、人手不足、持続的な賃上げといった経営課題に打ち克ち、事業継続・拡大していく必要があります。
 地域経済の好循環の原動力は中小企業であり、その成長が日本全体の成長に直結することから、商工会議所は政府に対し、中小企業の挑戦を後押しする対策を求めてまいります。

中小企業庁・須藤長官(左)に意見書を手交する立野中小企業委員長

<本意見の概要>

~中小企業の持続的な成長への挑戦を支える3つの対策~

【Ⅰ.価格転嫁など、取引適正化に向けた「公正なビジネス環境整備」】

1.価格転嫁の商習慣化など、取引適正化の推進

(1)政府の監視機能を活用した取引適正化のさらなる推進

(2)パートナーシップ構築宣言の推進と価格交渉力向上への支援

(3)BtoC含め、生産コストに見合う適正価格で売買することへの理解促進と意識醸成

2.民間の円滑な事業活動や挑戦を支えるビジネス環境整備

(1)国民と企業の成長期待を高める政策運営と将来不安の払拭

(2)安定・安価な電力供給と電力需給逼迫解消に資する安全性最優先での原発再稼働

(3)中小企業の負担に配慮した経済安全保障の推進と対日投資の呼び込み

 

【Ⅱ.人手不足など、5つの課題克服への「自己変革による挑戦支援」】

課題①「賃上げや成長投資の原資確保」への対応

1.新たな付加価値の創造と拡大への挑戦

(1)企業変革を促す事業承継の推進

(2)知的財産など、無形資産活用による事業再構築や新分野進出

(3)創業やスタートアップへの支援強化

(4)海外展開・輸出拡大による外需取込み支援

(5)新たな付加価値創造の源泉となる省エネ・脱炭素化への取組み支援

課題②「深刻化する人手不足」への対応

 2.デジタル活用による生産性向上の徹底

(1)中小企業のデジタル実装支援

(2)間接(バックオフィス)業務のデジタル化・企業間共有支援

課題③「中小企業の人材確保・定着」への対応

 3.賃上げや就労環境整備への支援

(1)持続的な賃上げへの支援

(2)多様な人材活用や働き方改革に資する取組み支援

(3)外国人に選ばれる就業環境整備

課題④「コロナ禍等の過剰債務」への対応

 4.収益力改善に資する資金繰り支援

課題⑤「地域における事業創出と所得拡大」への対応

 5.地域を牽引する中堅企業への支援

 (1)中堅企業への成長に資する段階に応じた支援

 (2)地域に価値ある事業や雇用を残すための取組みへの支援

 

【Ⅲ.地域の活力強化とあわせた「小規模事業者の自立的な経営支援」】

1. 小規模事業者の自立的な成長を支える経営支援体制の拡充

2. 金融機関や中小企業支援機関等と協働による「早期相談・早期支援」の強化 

3. 地域の稼ぐ力の強化による小規模事業者の所得拡大

(1)地域に人と投資を呼び込む「分散型・プル型」支援の強化

(2)地域の新たな稼ぐ産業と連携した取組みの強化