大賞は大野商工会議所の「大野型滞在循環モデル創出事業」─2025年度「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」

 日本商工会議所はこのほど、2025年度「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」の受賞商工会議所を決定。大賞に大野商工会議所(福井県)の「大野型滞在循環モデル創出事業」を選定した。また、大阪商工会議所(大阪府)、きらり特別賞に長野商工会議所(長野県)、一宮商工会議所(愛知県)、岡山商工会議所(岡山県)、奨励賞に白石商工会議所(宮城県)をそれぞれ選定した。

 表彰式は、2026年6月3日(水)に北海道札幌市で開催する「全国商工会議所観光振興大会2026 in北海道」の全体会議にて行う。

 大賞を受賞した大野商工会議所は、観光を量から質へ転換し、滞在価値と消費の向上を図ることで、静かな環境と住民生活を守りつつ、地域分散型の体験を中心とした持続可能な観光を実現している。また富裕層向けの高付加価値なツアーも展開し、その収益を文化や寺社の維持に還元することで、文化と経済が循環する仕組みの構築に取り組んでいる点などが高く評価された。

 

<2025年度「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」受賞商工会議所> 

 

■大賞

○大野商工会議所(福井県)─大野型滞在循環モデル創出事業─

福井県大野市は、年間観光客数約214万人に対し、宿泊率は約4%、1人あたりの観光消費額は約3千円にとどまっていた。そこで、滞在型の観光モデルを作るため、大野商工会議所が地域のハブとなり、体験事業者と旅行者をつなぐ仕組みを構築し、日常的な営みを価値化する「大野微住(びじゅう)」ブランドを立ち上げた。寺社での坐禅・写経、神職による講話、醤油蔵での木樽発酵体験など、地域に根差した本物の文化を体験プログラムとして提供している。主なターゲットは台湾や欧米の富裕層で、モニターツアーでは1人あたり約15~30万円と、従来の平均消費額を大幅に上回る高付加価値化を実現。収益は文化の継承に充てており、観光を通して、地域の文化資源を経済価値へ転換し、持続性の高い地域経済の循環を構築している点が高く評価された。また、受入人数を制御し、環境と調和する「静かな成長」を志向した点も特徴。

 

■優秀賞

○大阪商工会議所(大阪府) ─「くうぞ、万博。」プロジェクト─

大阪府はミシュラン掲載数が世界上位でありながら、観光客の飲食消費割合が主要都市の半分以下という課題があった。そこで、大阪・関西万博を契機に「食のまち・大阪」の魅力を国内外へ発信するため、大阪商工会議所が中心となり「くうぞ、万博。」プロジェクトを展開。プロジェクトの1つである「万博メニューでおもてなし」では、122の地域事業者が創意工夫を凝らした148の特別メニューを考案・提供した。「大阪まちごとバル」では、府内各所の飲食街を一つのバルに見立て、ショート動画でモデルコースを紹介し、観光客の分散周遊を促した。デジタル技術を活用しながら、食文化の深化・発信に取り組んでいる点が評価された。

 

■きらり特別賞

○長野商工会議所(長野県) ─長野えびす講煙火大会─

長野商工会議所が主催する「長野えびす講煙火大会」は、120年以上の歴史を誇る花火大会で、紅葉とスキーシーズンの端境期である毎年11月23日に開催され、晩秋の観光資源として知られている。近年は音楽と連動したスターマインやドローンショーの導入など、伝統を生かしながらもアップデートを図っている。運営面では、クラウドファンディングの活用や有料観覧席の適正な価格設定により収益を確保し、設営業務を一部業務委託するなど持続可能な体制を構築。昨年の経済波及効果は約3.5億円に達した。

 

■きらり特別賞

○一宮商工会議所(愛知県) ─いちのみや だいだいフェスタ大集合─

「いちのみや だいだいフェスタ大集合」は一宮商工会議所が中心となり、2014年から取り組んでいるオール一宮体制の事業。市内各地で個別に行われていた伝統行事やイベントを共通ブランドで集約。点在する催事を「線」として結び、情報発信を「面」に広げることで集客効果を最大化し、交流人口の増加をデザインしている。2025年度は38団体が参画し、45催事を実施。来場者数は14万人規模に達し、市外参加者比率も高い市外流入型イベントへと成長している。

 

■きらり特別賞

○岡山商工会議所(岡山県) ─ガストロノミーの夕べ  IN 岡山後楽園─

岡山商工会議所が主催する「ガストロノミーの夕べ IN 岡山後楽園」は、岡山市が抱える「通過型観光」という課題に対し、食と歴史を統合した高付加価値な体験で「滞在型」への転換を目指す事業。岡山後楽園を舞台に、茶祖・栄西ゆかりの喫茶文化や、藩主・池田光政の質素倹約令との関わりも深いとされる郷土料理「ばら寿司(隠し寿司)」の歴史を、専門家の講演と実食を通じて体系的に提供している。本事業は「地域産業戦略」として位置付けており、今後は観光商品の造成を見据えている。

 

■奨励賞

○白石商工会議所(宮城県) ─白石観光まち歩きガイド養成講座─

白石商工会議所では、地域の歴史・文化・産業を深く理解し伝えるガイドを育成するため、「白石観光まち歩きガイド養成講座」を実施している。白石城や武家屋敷といった歴史遺産だけでなく、地場産業である「白石温麺」の工場見学を組み込むなど、城下町の特性を多角的に活かしているのが特徴。これまでに50名の修了生と30名の登録ガイドを輩出。現在は白石まちづくり株式会社と協働し、高校生ガイドの育成やインバウンド向けの外国語対応など、世代や国籍を超えた広がりを見せている。

 

■一覧資料(PDFダウンロード)

https://www.jcci.or.jp/file/chiiki/202605/kirari2025.pdf