「女性活躍に関する調査」報告書を公表(厚労省)

 厚生労働省はこのほど、「女性活躍に関する調査」(調査実施者:東京海上ディーアール株式会社)の報告書を公表した。同調査は、2015年に制定された女性活躍推進法(19年改正、22年全面施行)の浸透状況と課題を明らかにすることを目的に実施したもの。2023年12月~24年1月に、全国の常用労働者30人以上の1万5000社を対象としてWEBアンケートを実施し、2738件の有効回答を得た(有効回答率18.3%)。

 調査結果から、女性労働者の状況を企業規模別に見ると、常用労働者に占める女性従業員の比率(常用労働者・女性比率)は、規模が33~99人の企業では「0-25%未満」が42.4%と最も多く、300人以上の企業では「50%以上」が40.9%と最も高いなど、規模が小さい企業ほど常用労働者・女性比率が小さく、規模が大きいほど同比率が大きい高い傾向が見られた。管理職(役員除く)に占める女性の比率(女性管理職比率)を前回調査(18年)と比較すると、各規模とも「0%(なし)」の割合が減少。女性の昇進者の有無(役員除く)についても「女性昇進なし」の割合は18年調査に比べ減少しており、女性活躍の状況は少しずつ改善されていると分析されている。

 女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定の有無については、義務化されている300人以上の企業では約93%が作成、100~299人の企業は約77%、努力義務となっている30~99人の企業は約15%と企業規模による違いが見られた。18年調査との比較では、どの規模でも「作成した」割合が増加。特に22年から義務となった100~299人の企業では約38 ポイント増加した。なお、行動計画の策定が努力義務となっている30~99人の企業の行動計画を策定した理由については1位が「企業イメージの向上」となっている。行動計画に数値目標として定めたものは各規模とも「採用」「登用」が多い。具体的には、均等な機会の提供に関しては各規模とも「女性管理職比率」「採用者における女性比率」、両立支援の整備に関しては「有給休暇取得率」「男女別の育取得率・取得期間」が上位だった。数値目標達成のための具体的な取り組みとしては、各規模とも第1位は「求職者に向けた積極的広報」で、300人以上の企業は次に「長時間労働対策のための組織的対応」「柔軟な働き方の導入」など、30~99 人の企業では「女性が働きやすい職場環境整備のための設備投資」などが挙げられた。情報公表項目については、300 人以上では公表が義務化されている「男女の賃金の差異」、100~299人、30~99人では「女性労働者比率」が第 1 位となった。

 女性活躍推進法の影響・効果についての分析では、情報公表項目数が多い企業ほど女性の採用や活躍が促進されている傾向があるという。職場活性化や離職率の低下に対してもポジティブな影響が見られると分析されている。

 詳細は、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40278.htmlを参照。