Telling Our Story to the Future特別企画1
未来へ語り継ぐ日商

30年後の未来に向けて、各地商工会議所が進むべき道、
日本商工会議所の果たすべき使命とは何か——。
日本商工会議所副会頭および、日本商工会議所青年部会長、全国商工会議所女性会連合会会長からのメッセージを紹介します。
※役職は、2022年7月末時点のものです。

会議所を選ぶ

大阪商工会議所

鳥井 信吾

日本商工会議所 副会頭
大阪商工会議所 会頭

 商工会議所の役割は、いつの時代も荒波に挑戦する企業の羅針盤となることです。30年後の未来に向けて、私はものづくりとイノベーションが鍵になると考えています。手先が器用・勤勉・チームワークが良いという日本人の強みは、ものづくりにおいて発揮されてきましたが、地球温暖化など世界的な課題が顕在化している中、その解決にむけて日本のものづくりの力を発揮していくことが必要です。
 いまひとつは、イノベーションです。大阪・関西万博の大阪パビリオンでは、30年後の都市生活として、センサーの収集データによる健康状態の診断やAIによるアドバイスなど、健康・医療産業の未来像が描かれます。経済、社会に影響を与えるイノベーションをあらゆる分野で起こしていくことが、未来を豊かにする鍵であると考えます。大阪商工会議所は、あらゆる産業・業種において、イベーションを創出していくための先導役を担い、30年後の日本経済の隆盛につながるよう取り組んでまいります。
 また、ビジネス環境が絶えず変化するのに合わせ、国の制度や規制が経済活動の足かせとならないよう、また企業を応援するかたちにアップデートされるよう常に働きかけていくことが必要です。日本商工会議所としては、各地商工会議所や企業の要望をタイムリーに国に伝え、日本経済の成長にむけた取り組みをさらに充実させていく必要があります。引き続き、日本商工会議所の各種取り組みに尽力してまいります。

山本 亜土

日本商工会議所 副会頭
名古屋商工会議所 会頭

 日本商工会議所が創立100周年を迎えることができ、関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
 私ども名古屋地域は自動車産業を中心に様々なモノづくり産業が集積し、40年以上にも亘り製造品出荷額等で日本一を続けて参りました。中小企業もサプライチェーンの一翼として存在感を示し、地域全体で経済的な豊かさを享受して参りました。
 しかし、ここに来て、自動車産業における「百年に一度の大変革」や地球環境問題に端を発した「カーボンニュートラル」への要請が高まるなど、大きな転換期を迎えております。
 こうした状況の中、将来リニア中央新幹線が開通すると、これまでは東京に一極集中だったヒト・モノ・カネ・情報が地方へ行き渡りやすくなり、経済の流れにも大きな変化をもたらします。名古屋駅を起点とした2時間交流圏人口が国内最大となるなど、リニア開通による効果を活かし、当地域のみならず、日本全体がさらに発展していくことを期待しております。
 そして、中小企業の皆様には、小回りの利くという利点を活かし、失敗を恐れず、知恵と工夫を最大限に発揮し、常にチャレンジ精神をもって挑戦していただきたいと思います。取引先の多角化など下請けからの脱却を目指し、イノベーションを起こすことで、自社の成長のみならず地域の持続的発展にも貢献するような事業展開を行うことが理想です。
 商工会議所は、DXなどの変化の波が、中小企業の成長力や競争力、そして生産性向上の原動力となるよう、これまで以上に提案型支援に努めなければなりません。また、夫々の地域の強みや特色を活かし、地域経済の牽引役、旗振り役となってイノベーションの芽と活力を沸き起こしていくことが求められます。
 日本商工会議所としては、各地商工会議所の声を丁寧に聞きながら、中小企業のイノベーションと地域経済の活性化が日本経済全体に波及する好循環が生まれるよう、リーダーシップを発揮して参りたいと思います。

上野 孝

日本商工会議所 副会頭
横浜商工会議所 会頭

 日本商工会議所が創立100周年を迎えられましたことを心よりお祝い申し上げます。
 地域社会の発展に向けて活動を行う各地の商工会議所と、我が国全体の視点から活動を行う日本商工会議所とは共に、長い歴史の中、様々な社会的困難に立ち向かってまいりました。戦後の復興期には、日本商工会議所と連携協力して「全国貿易業者大会」を横浜で開催し、貿易振興に関する陳情活動を展開するなど、時には戦争や大規模な災害、深刻な経済危機など、極めて困難な課題を克服してまいりました。
 現在、我々は、サスティナビリティの観点から大きく行動を変化させることが求められており、また、国際的な紛争の発生や、気候変動を背景とする自然災害の増加・激甚化は、将来への不確実性を高めています。他方で、我が国は高齢化・人口減少という大きな課題にも直面しています。
 時代の大きな転換期を迎え、これから先も我が国が活力に満ちた経済・社会を維持していくには、民間の力の重要性がこれまで以上に高まることが予想されます。
 そのような中、経済振興や街づくりなどにおいては、必要に応じてその機能の一部を担うことまでを含めて行政を支え、経営資源が乏しい中小企業に寄り添い手を携えて歩むのが各地商工会議所の役割であり、それらを先導し国と向き合い、共に、我が国全体の活力を高め、世界における日本の存在感を高めていくことが日本商工会議所の責務ではないかと考えております。
 日本商工会議所の創立100周年を契機に、全国515商工会議所の英知と力を結集し、発展する日本が実感できるようになることを切に願っております。

塚本 能交

日本商工会議所 副会頭
京都商工会議所 会頭

 創立100周年を迎えられましたことを心からお祝い申し上げます。
 1922年に設立されて以来、日本経済全体の課題に対応する常設機関として、その発展に多大な貢献をしてこられました。歴代の皆様をはじめ、現役の役員・議員・会員、並びに事務局の皆様方のたゆまぬご尽力の賜物であり、深く敬意を表します。
 記念すべき100年を迎えられました本年、私ども京都商工会議所におきましても創立140周年という節目の年を迎えました。京都商工会議所では、創立当時(明治15年)、東京遷都によって存亡の危機にあった京都の衰退を目の当たりに、「このままではいけない」と奮起した先人達が、琵琶湖疏水の開削や舎密局の開設、市電の運行など、近代化の礎となる先進的な事業を次々と展開し、危機を克服しました。
 翻って、近代産業の創成期に、渋沢栄一翁らの先導により設立された東京商法会議所を起点に、商工会議所の連合体として設立された日本商工会議所においては、関東大震災や世界恐慌といった日本を揺るがす幾多の困難に見舞われるたび、経済人としての自主自立の気概を持って、山積する日本の産業経済や通商貿易といった諸問題の解決に取り組んでこられました。時代の要請に応える形で、今や財政、社会保障、また、まちづくりや国際交流など、極めて多岐広範な活動へと広がったことは、日本の発展に果たしてきた役割の大きさの証左であります。
 コロナという世界的なパンデミックの危機に直面した今、新たな社会ニーズを的確にとらえ、地域に集う創造性豊かな企業家の知恵を結集することにより、強く豊かな経済社会づくりに取り組むことが求められますが、その源泉は困難を乗り越えようとする挑戦する心です。日本商工会議所とそれぞれの地域の商工会議所が一体となって困難に立ち向かう企業家の挑戦を後押し、豊かな日本経済を実現していくことを祈念いたします。

家次 恒

日本商工会議所 副会頭
神戸商工会議所 会頭

 商工会議所の果たすべき役割は、時代の趨勢とともに多様化しつつありますが、そのミッションは普遍的であり、これから先も地域経済の発展、産業の振興に力を尽くしていくことが求められます。
 しかしながら、30年後、たとえ商工会議所の使命が同じであっても、未来に当たり前に存在してはなりません。
 今後の社会経済の変化は、これまでの100年の変化より、加速度的にスピードアップし、より激しいものとなるでしょう。
 デジタル化によって産業構造や商習慣が大きく変わり、新しく生まれるものもあれば、その役割を終えるものもあります。また、一部の地域を除き世界全体が高齢社会へ変遷し、気候変動や予期せぬ災害、感染症にも対峙していくことになります。
 その中で、日本は課題解決先進国としてグローバルに貢献していくことが求められ、我々、商工会議所も地域や中小企業に対して、環境変化にあわせた新しい価値を提供し、その課題解決に資する存在であり続けなければなりません。
 そのためには、時代やステージにあわせて商工会議所活動そのものを再定義していくこと、また、広く国境や地域の垣根を超えた連携をより強固なものとすることが必要です。
 全国の商工会議所と会員企業のネットワークは、我々の誇るべき財産であり、その中核となる日本商工会議所が果たすべき役割、国やグローバル経済全体を見据えた活動や政策提言力は、将来にわたって重要なものとなります。
 まだ見ぬ未来、多くの困難があろうとも、日本商工会議所を中心に全国商工会議所の意を一つにし、その力強いパートナーシップのもと、地域経済、日本国経済の持続的な発展を共に目指したいと思います。

鎌田 宏

日本商工会議所 副会頭
仙台商工会議所 会頭

 30年後の未来を見据えると、世界全体でのデジタル経済圏の拡大や、カーボンニュートラルを実現する循環型社会の構築、気候変動による自然災害の激甚化等により国際情勢が大きく変化していく一方で、わが国はG7でも先駆けて人口減少が進行していきます。
 日本が進んでゆくべき道は、イノベーションを通じた新たな付加価値の創造と、各地の特性を生かした持続可能な社会の構築により、「強く豊かな地域」を創り上げていくことです。
 地域唯一の総合経済団体であり、1891年の商業会議所条例の施行から一世紀以上にわたり地域の発展に努めてきた商工会議所にとって、その実現に向けて地域をけん引していくことは重要な使命です。
 そのためにも、各地商工会議所は地域事業者と政府や行政を結ぶコーディネーターであるとともに、地域企業のベンチマークとして、地域のオピニオンリーダーであり続ける努力を怠ってはなりません。
 地域を取り巻く環境が厳しさを増していくからこそ、既存事業者のみならず、新たな価値を創出するスタートアップやベンチャーも含めた地域事業者に必然的に選ばれるために、日本商工会議所では、最大の強みである全国ネットワークを通して商工会議所の組織強化を支援します。また、商工会議所のブランドエクイティを築くことも大切な役割です。
 この両輪こそが「強く豊かな地域」を実現させ、ひいては「強く豊かな日本」を創り上げる原動力になると信じています。

福田 勝之

日本商工会議所 副会頭
新潟商工会議所 会頭

 30年後の我が国における未来社会においては、さらなる人口減少と高齢化により、5GやAI技術が劇的に進展していると想定されます。各地商工会議所としては、地域の中小企業・小規模事業者が時代の流れに取り残されることがないよう寄り添いながら、十分な経営支援を行っていくことが必要とされます。
 また、企業の国際化・グローバル化や事業継続力強化、さらに地域活性化・地方創生についても我々商工会議所に課せられた大きな使命です。グローバリゼーションをプラスと捉え、SDGSの視点も踏まえながらビジネスに繋げていけるよう支援するとともに、地域の特色を活かしたまちづくりや観光振興、都市基盤整備等に力を発揮していくことが求められています。
 日本商工会議所の役割は、各地商工会議所が地域の事業者に対し十分なサポートが行えるよう、側面的にバックアップしていくことであると考えます。全国の商工会議所のネットワークを活かしながら、迅速かつ的確な情報提供・発信をおこない、商工会議所全体の経営支援・指導力の強化・レベルアップを図っていくことが重要です。
 また、国際化等に向けては、日本商工会議所の力強いリーダーシップの下で経済・ビジネス交流を推し進め、その恩恵が地方に還元されるような好循環を生み出すべきです。地域活性化に関しては、全国の商工会議所の規模とパワーを後ろ盾とする提言・要望活動等により、地方の声を中央に届けて具現化を図っていくことも商工会議所のプレゼンス向上に繋がる重要な役割と考えます。

岩田 圭剛

日本商工会議所 副会頭
札幌商工会議所 会頭

 30年前の1990年代から現在までの歩みを考えた時、経営の外部環境として大きく変わった事が3つあります。
 まずはデジタル技術の進化。PCやネット、SNSの普及は世界のあり方を変えました。次に気候変動。台風や大雨、大雪による災害は企業経営においても深刻なリスクになっています。最後に人口ピラミッドの構成比率です。
 30年後の未来、2050年においても、この3要素はそれぞれチャンスとリスクになり続けているでしょう。商工会議所は地域に活力を生む組織です。デジタル、気候、人口のそれぞれを地域的に分析し、リスクすら利活用できるアイデアを広く求め、地域の中小企業の競争力を高めあう場であり続けたいと願います。
 一方で、30年後はデジタル化の加速により、仕事面で人との直接的な接触が減る事が予想されます。人類は進化の過程の中で常に「社会的動物」でした。1人では生きられません。人が直接集まる交流機会を作り、人と人の出会いから何かを生み出す事が得意な商工会議所の面目躍如です。
 集まる事で力を得て、ともに助け合い、地域を発展させる。30年後の未来においてもその役割を大事にしていくべきだと考えています。
 これからの30年間は日本経済の力が試される時だと思います。その中で外部環境の変化に強く柔軟に対応できる日本の中小企業の存在は、日本経済が持つ大きな強みです。
 日本商工会議所の使命として、これまで以上に、各地の中小企業が世界中の都市と取引するための水先案内人になる事、また取引に必要な世界標準を見極め、広め、地域の中小企業にあまねく実装できるようにする事が求められます。
 30年後の社会ではデジタル化の進展により、どこに会社があって、社員はどこに住むのか、その選択肢が大きく広がるでしょう。国際的な垣根も低くなる中で、住む場所、会社がある場所としての地域の考え方が変わってきます。
 各地域は住みよい街、働きやすい街である事が求められます。労働人口の移動がひとつのテーマになるかも知れません。この面で日本商工会議所には、情報提供や提案、調整など多くの期待がかかります。
 難しい課題も「515会議所が寄れば文殊の知恵」です。アイデアの交換を常に行い、良いものは皆で取り入れ、困りごとは共有して解決する。日本商工会議所の役割はますます広がるでしょう。

泉 雅文

日本商工会議所 副会頭
高松商工会議所 会頭

 30年という時間は、個人の人生や企業活動から見れば長い時間ですが、革新的研究やインフラ整備から見ればあっという間の時間です。残念ながら現在の日本には閉塞感が蔓延していますが、30年は閉塞感を打ち破るのに十分な時間といえます。そのためには、人材投資、研究開発、設備投資を10年以上の視点で、国策として行う必要があるのではないでしょうか。特に、人の育成が最重要かつ基礎となります。すぐに役立つ人づくりや研究開発は、企業に任せれば良いですが、実用的でない基礎教育や、「千三つ」的な基礎研究には国費を投入すべきです。
 一方、地方から見れば、東京一極集中は、国土、災害、社会コミュニティなどすべての点で超異常な段階に入っており、地方復活なくして、30年後の9千万人の日本はありえません。そのためには、コンパクト&ネットワークの国土作りをし、地域コミュニティを強くしなければなりません。地域経済の発展を使命とする商工会議所は、その中心になれるであろうし、日本商工会議所には、国策遂行の旗振り役を果たしていただきたいと思います。
 いずれにしても、人が鍵です。幸い、最近の若者は、官界や大企業志向より、起業など独立志向が強いように感じます。今の我々は、そういう未来の担い手たちが、活躍できるように、環境やインフラを整えるのが役目だと考えます。 

池田 晃治

日本商工会議所 副会頭
広島商工会議所 会頭

 広島商工会議所は1891年に創立し、昨年130周年の節目の年を迎えました。その間、1945年の原爆投下により壊滅的な被害を受けた広島市の復興に向け、本所は全力をあげて産業基盤の復興と中小商工業の振興に尽力して参りました。
 本所は2027年に再開発ビルへの移転を予定しておりますが、新ビルには産業支援機関等を集約させ、地域経済を支える中小・小規模事業者等への支援メニューをワンストップで提供する官民連携拠点として、地方分権化および広島経済の持続的な成長に尽力して参りたいと考えております。
 さて、日本商工会議所が誕生した1922年は、広島出身で初めてとなる加藤友三郎内閣総理大臣が誕生した年であります。そして100年後の現在、同じく広島に所縁のある岸田文雄内閣総理大臣が誕生しましたことに不思議な縁を感じております。
 これから30年後の未来を見据えた時、地方創生の鍵となるのはDX推進とベンチャー企業の発掘・育成であります。加えて、その基盤となる人材への投資・育成は欠かすことが出来ません。
 この実現には、日本商工会議所が扇の要として、全国の商工会議所が一致団結し、大胆な発想と行動力、挑戦を心がけて活動することが必要であります。
 日本商工会議所におかれましては、今後とも適宜適切な意見・要望活動に加え、俯瞰的な見地からのご支援をお願いいたしますとともに、今後益々のご発展をご祈念申しあげます。

谷川 浩道

日本商工会議所 副会頭
福岡商工会議所 会頭

 商工会議所は、これまで時代の変遷に応じて、名称や組織の変更など様々な変貌を遂げてきました。そして、いずれの時代においても、地域経済の発展に向け、「民」の声を代表する組織として大きな役割を果たしてきました。今般のコロナ禍で、商工会議所が、地域の経済活動及び経営者を支える「エッセンシャルワーカー」としての役目を果たせているのも、長い歴史の中で先人たちが「地域総合経済団体」という堅固な地位を築いてこられた賜物と存じます。
 バブル崩壊後の30年間、日本の経済は停滞し、「失われた時代」となりました。この低迷から脱却できなかった原因の一つが、いわゆる「リスク過敏症」です。日本の企業家の多くはリスクを恐れ、安心安全な経営に徹してきました。コロナ禍においても、日本は国民全体が極度にリスクに敏感になり、感染は相当程度抑えられておりますが、諸外国に比べて経済活動が大きく制約され、経済回復の足かせになっています。この先、日本は「人口減少」と「超高齢社会」に起因する様々な危機を乗り越えなければなりませんが、次の30年が再び「失われた時代」にならないよう、国民全体が「リスク過敏症」を払拭し、変化に対して前向きに立ち向かっていく必要があると思います。
 そのために、商工会議所には、明るい未来を指し示し、事業者が前向きに進めるよう後押しをする組織であることが求められます。事業者の声にしっかりと耳を傾け、些細な兆候も見逃さない。事業者の不安やリスクを取り除き、自己変革を促す。商工会議所のそういった姿勢が、事業者の成長、ひいては地域経済の発展へとつながると考えます。
 こうした各地商工会議所の力を日本経済全体の活力へと転じるためには、日本商工会議所の果たす役割が極めて重要です。日本商工会議所には、引き続き、会議所同士の横連携の要として、現場の声を拾い上げ、明るい未来に向けて毅然として立ち向かい、「地域総合経済団体」としてのプレゼンス向上に邁進する司令塔の役割を期待いたします。日本商工会議所と各地商工会議所の心を一つにした活動が、この先30年の日本経済の飛躍を導く原動力になることを心から願っています。

西村 昭宏

日本商工会議所 青年部
令和四年度 会長

 全国のYEG会員は地域経済を担う青年経済人の集まりであるとともに、商工会議所の一員でもあります。また商工会議所活動の一翼を担う「実行者」としても活躍しています。この先の未来、日本社会は人口減少や少子高齢化が着実に進み、世界でも類を見ない高齢化市場が発達した国となり、若者から高齢者までを含む様々な年齢や背景、価値観を持つ人々が多様なライフスタイルを追求できる持続可能な社会の実現が求められています。
 歴史を振り返れば幾度となく、新たな時代へと急激に変化する「時代の節目」というものがありました。そしていつの時代も、多くの青年たちが時代を切り拓こうと未来への理想を掲げ、新たな一歩を踏み出してきました。時が経ち振り返れば、青年たちの掲げた理想像が未来への道導となり、未来へと続く物語(STORY)として語り継がれることとなるのです。
 「YEG STORY~我ら礎。共に創ろう、継ぎ、紡ぎ、繋げる、未来への道導~」
時代とともに商工会議所の意義や役割が変化していく中、私たちYEGは商工会議所活動をしっかりと認識し、商工会議所活動の一翼として「未来を切り拓くYEG」であり続けること。そして、いつの時代も、地域とともに未来を創る実行中心的役割を担い、日本の経済を地域で支える中小企業のメインプレーヤーであり続けたいと思います。

市瀬 優子

全国商工会議所女性会連合会
会長

 30年後の世界は、サイバネティック・アバターが実現し、現在からは想像を超えた生活を送る社会になっていると思います。2021年の日本のジェンダーギャップ指数は、156カ国中120位ですが、せめて2桁台に上がるほか、男女の賃金格差の解消、女性活躍の実質的な実現、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みの加速など、現在よりもはるかに高次元な世の中になっていると思います。
 また、観光立国を掲げて、2008年には観光庁が発足し、訪日外国人旅行客数4千万人の目標を掲げ、2019年には過去最高の3,181万人を記録しましたが、2020年1月に国内での初めての発症事例が確認されたコロナの影響により、2020年の訪日旅行の状況は、前年比87.1%減の412万人でした。2021年1月は約4万6千人、2022年1月は、約1万8千人です。日本には、日本独特のおもてなし文化や職人技の伝承技術など、地域経済・社会に貢献できる「観光」があります。これらを通じて、AIでは実現しきれない国内の地域の良さが世界に発信され、地方分権を確立した唯一無二の日本になっている姿が、私が強く思い描く30年後です。その未来に向けて、私たち女性会は、女性視点や女性が持つ柔軟かつ自由で大胆な発想と実行力を活かし、100年に一度と言われているコロナ感染症のまん延防止だけではなく、地球温暖化対策や地殻変動も含む地政学リスクを乗り超えていきたいと思います。
 是非、ご一緒に明るい未来を迎えましょう。