トップページ > 調査・研究 > 「最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査」の集計結果について~最低賃金の大幅な引上げにより中小企業経営への影響や負担感大~

調査・研究

「最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査」の集計結果について~最低賃金の大幅な引上げにより中小企業経営への影響や負担感大~

 

日本商工会議所ならびに東京商工会議所(ともに三村明夫会頭)は、標記調査を実施し、以下のとおり結果を取りまとめましたので、お知らせいたします。 

本調査は、最低賃金について、2016年以降、一昨年を除き、中小企業の経営実態を超える3%台の大幅な引上げが行われてきたことを踏まえ、中小企業の経営への影響や負担感等を把握し、今後の要望活動に活かしていくために実施しました。また、2022年度の中小企業の賃上げの対応についても調査いたしました。

調査結果のポイントは以下の通りです。

 

(1)調査地域:全国47都道府県                (2)調査対象:中小企業6,007

(3)調査期間:2022年2月7日~28         (4)調査方法:各地商工会議所職員による調査(訪問、メール等)

(5)回収商工会議所数:437商工会議所         (6)回答企業数:3,222社(回答率:53.6%)

 

 

調査結果のポイント

 

○昨年10月の最低賃金引上げ(全国加重平均28円(902→930円))を受け、最低賃金を下回ったため、賃金を引上げた企業(直接的な影響を受けた企業)の割合は40.3となった。

〇現在の最低賃金額の負担感について聞いたところ、「負担になっている」( 「大いに負担になっている」、「多少は負担になっている」の合計)と回答した企業の割合は65.4。業種別では、コロナ禍で大きな影響を受けている「宿泊・飲食業」で90.9と最も高い。

〇今年の最低賃金額の改定について、「引下げるべき」もしくは「引上げはせずに、現状の金額を維持すべき」と回答した企業の割合の合計は39.9%と、前年調査から16.7ポイント減少した。一方、 「引上げるべき」(「1%(9円程度)以内の引上げとすべき」、「1%(9円程度)超~3%(28円程度)以内の引上げとすべき」、「3%(28円程度)超の引上げとすべき」の合計)と回答した企業の割合は、前年調査から13.6ポイント上昇して41.7%となり、 「引下げるべき」と「引上げはせずに、現状の金額を維持すべき」の合計(39.9%)を上回った

2022年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は45.8となった。また、「賃上げを実施予定」と回答した企業のうち、約7割(69.4%)が「業績の改善がみられないが賃上げを実施(防衛的な賃上げ)予定」と回答した。

2022年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業を業種別でみると、「情報通信・情報サービス業」(54.4%)、「製造業」(52.5%)、「建設業」(51.4%)が高い。一方、「運輸業」(27.0%)、「宿泊・飲食業」(24.2%)では2割台にとどまり、業種によって大きな差が出る結果となった。

○発注元事業者との取引(B to B)における「取引適正化」に向けた取組状況について、44.2%の企業が既に取り組んだ・取り組んでいる最中と回答( 「既に取り組み、成果・効果があった」、「既に取り組んだが、特段の成果・効果はなかった」 、 「現在、取り組んでいる最中」の合計)。このうち、およそ4社に1社(23.3%)が「成果・効果があった」と回答している。

 

調査結果

 

【本件担当】産業政策第二部 清田、守屋(TEL:03-3283-7940)