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【最新!海外事情レポート】活発化する日韓交流(ソウル)

新型コロナウイルス対策としての水際措置も撤廃され、両国間の渡航者数が急上昇中だ。特に、円安の影響等もあり韓国から日本への渡航者が多く、日本国内の各地の空港ではあちこちから韓国語の会話が聞こえてくる。

 2023年上半期の訪日韓国人は3129000人で、新型コロナウイルス感染症流行前の2019年上半期(3863000人)の81%まで回復している(グラフ1)。一方、訪韓日本人は2019年上半期(1654000人)の52.1%にあたる862000人にとどまり、訪日韓国人が訪韓日本人の3.6倍となっている。

日韓いずれも、訪日外国人客のうち互いが最も多いが、全体に占める割合は訪日外国人客のうち韓国人は29.2%で、訪韓外国人に占める日本人(19.5%)を上回っている。

2019年に韓国から日本への渡航者数が大きく減っているが、これは日本による輸出管理の強化と韓国で起こった日本品不買運動が大きく影響したものと想定される。また、新型コロナウイルスが2020年以降の両国間の渡航者数の大きな減少に影響しているのは明らかである。

足元の調子のまま日韓往来が続き、2018年のピーク時の水準まで回復することが期待される。

 

 

グラフ1.png出所)日本政府観光局/韓国観光公社

 

 

日本の言論NPOと韓国の東アジア研究院が2013年から毎年行っている日韓共同世論調査(グラフ2)によると、日本人の韓国に対する印象は「良くない」が昨年の40.3%から32.8%に減少するとともに、「良い」が30.4%から37.4%に増加し、調査開始以降初めて「良い」が「良くない」を上回った。

一方、韓国人の日本に対する印象は「良くない」が昨年の52.8%から53.3%へ微増し、「良い」が30.6%から28.9%に微減した。2023年のデータは8月から9月に行われた調査結果であることを考えると、ちょうどALPS処理水の海洋放出のタイミングであり、韓国国内で大きな議論を呼んでいたことが影響していると思われる。

2019年から2020年にかけて、韓国における日本に対する悪い印象の比率が20ポイント以上あがり、良い印象の比率が5ポイントほど悪化しているが、これは前述のとおり2019年の日本による一部半導体関連素材の輸出管理強化と、韓国で起こった日本品不買運動が大きく影響していると想像される。

 

 2020年以降は、両国いずれにおいても悪い印象が下がり、良い印象が上がる傾向にあった中、足下で韓国人の日本に対する良い印象と悪い印象の乖離が若干ではあるが広がってしまったことを残念に思うが、近い将来、韓国においても日本に対する良い印象が悪い印象を上回ることを期待したい。

 

 

グラフ2.png

出所)第11回日韓共同世論調査(言論NPO/東アジア研究院)

 

 

日本による輸出管理強化、それをきっかけとして起こった韓国における日本品不買運動等もあり、日韓両国民の間で、相互交流に影響を及ぼすまでの印象悪化があったものの、現在はもとに戻りつつあるのではないか。

2023年3月以降、日韓間では実に6回もの首脳会談が行われ「シャトル外交」が復活する等、関係改善が軌道に乗っている。また、両国最大の文化交流イベントである「日韓交流おまつり」が10月にソウルで開催され、主催者側発表で約6万人が参加する盛況ぶりだった。

日韓国交正常化60周年を迎える記念すべき年を再来年に控え、日韓両国がパートナーとして新しい時代を切り開き、両国国民が関係改善を実感できるようになることを期待したい。

 

 

(ソウルジャパンクラブ 常務理事 大里 徹平)