トップページ > ニュースライン > トレンドボックス > 【最新!海外事情レポート】THE'BER'MONTHS ARE HERE! 世界で一番長いクリスマスシーズン(マニラ)

トレンドボックス

【最新!海外事情レポート】THE'BER'MONTHS ARE HERE! 世界で一番長いクリスマスシーズン(マニラ)

 フィリピンにおけるクリスマスは1216日から1月の第一日曜日までの22日間であるが、クリスマスに向けた準備は9月から始まる。つまり、フィリピン人にとって91日はクリスマスシーズンの開始を意味し、街中のショッピングモールではジングルベルが流れ、クリスマスツリーが飾られる。

 ここでは、フィリピンにおいて一年で最も大切なイベント「クリスマス」について紹介する。

 

1.「Ber Months」とは?

 「Ber Months」とは、「ber」がつく「September(9)October(10)November(11)December(12)」の4か月のことを指している。「Ber Months」に入ったということはフィリピン人にとって、「クリスマス」の準備期間に突入したということを意味する。

9月は日本では残暑の厳しい時期であるが、雨季とは言え亜熱帯気候のフィリピンにおいても30度を超える日がほとんどである。

それにもかかわらず、ショッピングモールにはクリスマスの飾りが売られたりと、車内のラジオからマライアキャリーの「All I Want For Christmas Is You」が流れたりと、初めてフィリピンでBer Monthsを過ごす日本人は少し戸惑ってしまう。

 Manila1.jpg

フィリピンの一般紙「Philippine STAR」の91日のFacebook投稿には、

3万件以上のシェアや500件以上の「Merry Christmas」のコメントが並ぶ(912日時点)


Manila2.jpgManila3.jpg

ショッピングモールの入口に表示されているクリスマスまでのカウントダウン

モールの中はすでにクリスマスモードとなっている924日撮影。あと92日)

 

 

2.クリスマスシーズン中の過ごし方

 11月中旬以降からは学校や会社の同僚や仲のいいグループで毎週のようにプレゼント交換が始まる。これはただ交換をするだけでなく、くじ引きのような形で誰に渡るか分からないようにしていたりと、クリスマスシーズンを長期間にわたって楽しんでいる。これも日本人の感覚だと毎週プレゼントを買いに行くということに煩わしさを感じてしまうが、彼らは全力でそれを楽しんでいるように見える。

 12月に入るとクリスマスパーティーがいたるところで開催され、このあたりからはフィリピン人の頭の中はほぼクリスマス一色となっているように感じる。

 また、12月は外出する人が増え、交通渋滞が一年の中で最も酷くなる。Grabタクシー(日本でいうとUber)が全くつかまらなかったり、せっかく車に乗っても全然動かないということが頻繁に起こる。とくに夕方の時間は、到着時間の見込みが全く立たないので、諦めて途中から歩くといったことも覚悟する必要がある。

 フィリピン人は家族を何よりも大切にしており、当日は家族や親せきとパーティーをしながら過ごしている。

 日本では、1225日を過ぎた瞬間に、街中がお正月モードに切り替わるが、フィリピンでは1月になっても街中でクリスマスツリーを見かけることがある(名残惜しいのか、人手が足りないのか、両方か?)。そのため、フィリピンではトータルで4か月にわたりクリスマスを満喫している。

 

3.職場におけるクリスマス

 職場におけるクリスマスにおいて、上記にも記載したとおり重要なのはクリスマスパーティーだ。日系企業であってもクリスマスパーティーは必須のイベントであり、パーティーに向けた準備は一切手を抜かず、彼らにとって最も高いモチベーションで行う仕事となっている(そのモチベーションの10分の一でも普段の仕事に活かしてほしいという声をいろいろな会員企業の現法代表者から聞く)。

 多くのフィリピン人スタッフが、パーティーで踊るダンスを昼休みに練習していたり、パーティーに向けた買い出しと言って丸一日戻ってこないというようなことも頻発するので、仕事の効率は著しく下がる。

 そして、企業経営者が絶対に忘れてはいけないのが「13th month pay」と呼ばれる給与だ。日本人の感覚的にはボーナスに相当するものであり、給料とは別に年収を12で割った金額を、1225日前に支払う。ボーナスと異なり、法律で定められた従業員の権利であり、支払いが義務付けられたものとなっている。

 前述のとおりクリスマスが近づくにつれて支出がどんどん嵩んでいく。しかし、給料は「月に2度」と法律で定められているくらいフィリピン人は「宵越しの金は持たない」という気質であり、貯金している人の方が少ないため、「13th month pay」を当てにしてクリスマスシーズンを過ごしている。

 

 パンデミックの間は多くの企業で、クリスマスパーティーを中止もしくは規模を大幅に縮小して開催していた。昨年は大規模なパーティーも一部再開していたが、今年は昨年以上の盛り上がりを感じている。「Ber Months」の期間中の老若男女問わず活気に満ち溢れた様子からは、成長著しいフィリピンを垣間見れる。

 

 

(フィリピン日本商工会議所 事務局長 小関 友寛)