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労働政策審議会労働政策基本部会の報告書を公表(厚労省)

 労働政策審議会労働政策基本部会はこのほど、「人材育成・リスキリング」「人事制度」「労働移動」などの働き方の現状と課題の分析と、今後の労働政策の方向性を示した報告書を取りまとめ、公表した。ジョブ型人事については、「ポストに見合った人材を広く社内外から求める」「キャリアアップに伴う再教育支援の仕組み」「労働者一人ひとりのキャリア志向に対応する」「職務以外の情報共有や組織貢献意欲を促す仕組みなどの配慮も必要」など導入に当たってのポイントを提示。労働移動については、転職を希望する労働者が、内部労働市場と外部労働市場を行き来できるシームレスな労働市場の整備の必要性を指摘している。

 今後の労働政策の方向については、「企業に求められる対応」として、「リスキリングの必要性を明確にした上で、経営者、マネージャー、現場労働者の全てのレベルで、リスキリングを含めた能力開発に主体的に取り組んでいくための動機付け・環境整備が必要」と強調。中間管理職のマネジメント業務が大きく変化・増加(ワークライフバランスの確保、エンゲージメントの向上)していることなどから、人事部で、管理職向けのマネジメント研修(1on1ミーティング)の実施やその見直しなど、「管理職の業務負担の軽減を図ることが重要」との考えを示した。

 一方、「労働者に求められる対応」としては、「多くの変化が短期間に起こる現状では、過剰に変化を恐れるのではなく、変化を前向きに捉えて対応していくことが求められる」との考えを提示。長期雇用を前提とした企業では、企業が広い人事権を持って人事異動やOJT中心の人材育成を実施しているため、企業との長期的な関係により、「労働者が自律的にキャリア形成していくという意識が薄れる可能性もある」と指摘し、労働者自らが自律的にキャリア形成や学びを深めていくことの必要性を強調している。

 労働政策において今後検討すべき対応については、「多様な人材が能力を発揮できるよう、女性や高齢者などの働き方に中立的な税制・社会保障制度の構築や、雇用によらない働き方などさまざまな働き方の人を重層的なセーフティネットに組み入れていくこと」などの課題を提示。自発的に労働移動を行う労働者の転職の参考とするために、「労働市場の見える化(職場情報・職業情報)」「異業種間でも業務の親和性がある仕事の事例の積極的周知広報」「ハローワークサービスのデジタル化によるオンラインサービスやキャリアコンサルティング機能の充実など在職者向け支援の強化」の3点を示し、転職しやすい環境整備(労働市場の基盤整備)を求めている。

 社会全体に求められる対応については、「一人ひとりの労働者が自律的にキャリアについて考える方策を社会全体で危機感を持って検討していくことが必要」と指摘。リスキリング支援については、「個人への直接支援」の重要性を強調している。

 詳細は、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33088.htmlを参照。

 

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