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特許情報分析支援事業「2021年度支援事例集」を公表(INPIT)

 独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)はこのほど、「特許情報分析支援事業2021年度支援事例集」を取りまとめ、公表した。事例集では、各国の特許官庁で公開されている技術やデザインに関するさまざまな「特許情報」について、「新製品の開発に取り組みたい」「新規市場に進出したい」などのニーズに合わせて活用できる場面などのヒントを提供しているほか、「ランキング」「侵入」「時系列」「課題・解決」「材料・用途」「引用・被引用」「相関関係」「レーダー」などの分析結果のイメージサンプルを提供。「新規事業展開」「研究開発戦略」「他社との差別化」「知財戦略」などさまざまなビジネス課題に応じて「特許情報」を有効活用できることを分かりやすく解説している。

 実際に同事業の支援を受けて特許情報を経営・事業の判断に活用した事例については、4社、1学校法人の取り組みを紹介。事業利用の背景、実際に実施した調査分析の内容、分析結果の事業への活用と成果なども詳しく掲載している。また、自社で特許情報を活用していくための分析の方法などについても、専門家が解説。無料の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の使い方なども紹介している。

 実際の分析結果の活用イメージについても各種分析の特徴、メリットなどとともに紹介。例えば、時系列分析では、時系列出願件数の推移に基づいて、特定業界の流行や変遷を表示し、特定の業界における将来の動向を予測することや、技術のコモデティ化の度合い(参入の難易度)などを把握したい時などに利用できることなどを提示。この分析結果により、例えば、特定の分野の研究開発のピークだった時期などが把握でき、解決の糸口や参考情報が得られるなどのメリットも示した。

 課題・解決分析では、競合他社ではどんなアプローチが採用されているのかを把握することで、研究開発のヒントを得ることが可能と指摘。材料・用途分析では、縦軸・横軸に競合他社ごとの開発アプローチ(材料・用途)などを表示し、交差する点にその件数を表示することにより、未開発技術の発見や研究開発テーマの選定などの参考情報として利用できるほか、他社との差別化のための研究テーマを選択することなど研究開発戦略にも利用できるとメリットを強調した。

 INPITでは、2022年度からこの「特許情報分析支援事業」をさらに強化した公募制の「IPランドスケープ支援事業」をスタート。「市場」や「事業」の情報に「知財」の情報を合わせた分析を行い、企業の抱える経営や事業の課題に対して、強みを生かした解決策の提案を開始する。具体的には、公募により採択した企業の経営課題に関して専門家らによるヒアリングを実施し、設定した目的やテーマに即した情報分析レポートを作成。報告会でレポートをベースに経営層と議論し、分析結果を踏まえた対応を検討する。これまで2回の公募を実施しており、3回目以降も年度内に募集を行う予定となっている。

 詳細は、https://www.inpit.go.jp/katsuyo/ipl/index.htmlを参照。

 

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