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【最新海外事情レポート】新政権発足1年後の韓国(韓国)

 <高い支持率を維持>

 文在寅(ムン・ジェイン)氏が韓国大統領に就任してから1年余りが経過した。前大統領の弾劾の後、国民の圧倒的な指示を受けて誕生した現政権だが、現在の韓国内の状況はどうなっているだろうか?これまでの1年間を振り返るとともに、現在の状況を眺めてみることとしたい。

  

 文政権の支持率は発足当初より低下したとは言え、現在でも60%前後を維持している。直近はやや低下傾向ではあるものの、比較的高い水準であると言えるだろう。こうした高い水準を維持できている理由は主に対北朝鮮政策をはじめとする外交政策が評価されてのものだという声が大きい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  

 

 

 

 ※直近はやや低下傾向であるものの、支持率は高い水準を維持している(韓国リアルメーターの調査をもとに作成)

 

<なかなか成果が見えない経済政策>

  一方で経済政策はどうであろうか?残念ながら目に見える成果は出ていないというのが正直なところだろう。直近の支持率の低下も経済政策が影響していると言われており、とりわけ来年2019年)の最低賃金の決定に因るところが大きいと見られている。

 

具体的に見ていくと、2019年の1時間当たりの最低賃金は2018年から約10%アップの8,350ウォン(約835円)となった。2017年から2018年も164%アップ(6,470ウォン→7,530ウォン)しているので2年続けての大幅上昇である。こうした急激な上昇に対しては小規模企業を中心に強い不満の声が上がっている。また、在韓日系企業の中では工場を持っている企業を中心に影響が出始めているようだ。

 

企業活動だけではなく国民生活にも影響が出始めている。最低賃金の上昇に合わせ、食料品など身近な商品の価格が目に見えて上昇しているのだ。

 

 国民の所得を増加させ、経済に好循環をもたらそうという現政権であるが、現在のところは失業率が高止まりしていることに加え、今年2月以降、就業者数の増加幅が減少するなど負の側面が目立っている状況だ。果たして、これが産みの苦しみなのかどうかが注目されるところであろう。

 

 

 

 

 

 
※失業率に大きな変動は見られないものの、今年の2月以降、急激に就業者数の増加幅が減少している

                                       (韓国統計庁資料から作成)


<好循環を生み出せるか?>

 現政権は高い支持率を保つ一方で、経済政策で課題を抱えている状況だ。そんな中、最も注目されているのは最低賃金を含む労働政策と思われる。例えば、労働時間の短縮(週の労働時間の上限を68時間から52時間に短縮)は大きな注目を集めている。これはワークシェアリングを意図していると言われており、雇用を増加させる政策の一環だ。同制度は大企業を対象に始まっているが、急激な最低賃金の上昇と同様、あるいはそれ以上に企業にとって負担が重いという声も根強い。こうした「所得主導型」の政策が韓国経済に好循環を産み出すことができるかどうか、引き続き注目だ。

                                  

                           (日本商工会議所 ソウル事務所長 関口 正俊)