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【最新海外事情レポート】タイ進出企業が直面する国税還付金遅延問題(タイ)

 

盤谷(バンコク)日本人商工会議所では、タイに進出している日系企業に対して、年に2回景気動向調査を実施しており、景況感のほか、タイ政府への要望事項についても意見聴取し、弊所のタイ政府への要望活動に活用している。

 

その中で、毎回上位にランクする政府への要望事項が、「法人税など税制の運用改善」であり、最新の調査では、回答者数583社のうち30%にあたる173社が、改善が必要と回答した。

 

理由は、国税還付金の遅延問題にある。日本の消費税にあたるVATや源泉税の還付が慢性的に遅く、還付までに1年以上かかるケースが多発しているのだ。

 

特にVATについては、タイ税制上の構造的な問題もあり、解決には根本的な政府の対応が必要だ。VATの負担者は最終消費者であるものの、事業者にも納税義務があるため、仕入VATが売上VATを上回る場合においては、還付を受ける必要性が生じる。

 

通常のビジネスであれば、仕入VATが売上VATを超えるタイミングは多くはない。大量の仕入や設備投資を行うなど仕入VATが増えてしまうケースでも、過払いとなった場合は、翌月以降の繰越が可能なので、将来の売上VATからの控除が選択可能だ。

 

だが、特に日系企業の集積が進んでいる製造業者で輸出を伴う場合、輸入取引には7%のVATが負荷されるものの、輸出取引については、免税となっており、恒常的にVATの還付申請を行う必要がでてくる。

 

還付を申請すると、税務調査がセットとなり、当局の多忙を理由に1年以上も還付がなされず、弊所まで相談に来られるケースが後を絶たない。20181月に実施した調査では、全体で41件の遅延報告、最長で7年、最大で約3億バーツの遅延が発生していた。

 

国税還付金遅延問題については、日タイ経済連携協定(JTEPA)に定められたビジネス環境小委員会のタイ政府との対話の中でも要望を行い、遅延が発生している企業のリストを提出し、改善を求めるなどの対応を行っている。政府への要望以降、一部企業からは改善があったとの報告もあったが、全体的な解決には至っていない。

 

弊所では引き続き高い水準で問題が継続していると捉えており、今後も改善に向けて取り組んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

ビジネス環境小委員会の会合前の弊所幹部とタイ政府幹部

 

 

(盤谷日本人商工会議所 事務局長 堤 陽一)