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「こども未来戦略方針」について議論(こども未来戦略会議)

 政府は6月1日、第5回こども未来戦略会議(議長・岸田文雄首相)を首相官邸で開催し、少子化対策の実現に向けた「こども未来戦略方針」について議論した。会議に出席した日本商工会議所の小林健会頭は、方針案で経済成長の実現に先行して取り組むことや徹底した歳出改革を行う方針を示したことを評価。少子化対策の財源確保について、「『構造的賃上げと官民連携による投資活性化に向けた取り組みを先行させる』とされたことは極めて重要であり、心強く思う」と期待を表明した。

 政府には、「持続的な経済成長に向け、地方への一層の投資促進、良質な雇用の創出、地域の中小企業の事業機会拡大、収益力強化が実現するよう、民間の活力を引き出す力強い政策を打ち出してほしい」と要請するとともに、「特に、投資と賃上げの好循環を持続的に実現することが重要」と強調。中小企業が厳しい環境下で必死に賃上げに取り組んでいることに触れ、「財源確保が、賃上げ効果を減殺するものにならないようにしてほしい」と指摘した。

 また、「社会保障制度はひずみが広がっており、抜本的な見直しを断行すべきだ」との考えを表明。こども特例公債の発行については、「将来世代に債務だけが残ることのないよう、これで賄う対策の普段の検証・見直しとともに、できるだけ短期償還で実施することを明示すべきだ」と要請した。

 岸田首相は少子化対策について、「若い世代の所得を増やす」「社会全体の構造・意識を変える」「全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する」の3つを基本理念に、抜本的に政策を強化するとともに、「加速化プランの内容を具体化することに加え、前倒しして実行する」と述べ、対策の規模については、「全体で3兆円半ばの充実を図る」との考えを表明。財源については、「まずは徹底した歳出改革などによって確保することを原則とし、少子化対策の財源を確保するために、経済成長を阻害し、若者・子育て世代の所得を減らすことはあってはならない」と述べ、経済成長の実現と歳出改革の取り組みの徹底や、既定予算を最大限活用することにより、「国民に実質的な追加負担を求めることなく、少子化対策を進める」と強調した。