日本商工会議所（小林健会頭）は、本日、「地域を支える中小企業の自己変革による持続的な成長に向けた意見」を取りまとめ、公表しました。

　地域経済社会を支える中小企業・小規模事業者は、物価高などコスト増、人手不足対策としての防衛的な賃上げ等の厳しい環境変化に対応するため、自己変革による新たな付加価値創造・拡大に挑戦しています。

　本意見は、全国の商工会議所からの現場の声や要望等を取りまとめたものです。商工会議所は、足元の環境変化を「停滞から成長」への好機と捉えて、企業の経営力強化と地方創生に総力を挙げて取り組む所存です。

内閣総理大臣、経済産業大臣をはじめ政府・政党など関係各方面に提出し、今後５年間を経済好循環実現への集中期間と位置づけ、我々民間の挑戦を強力に後押しするため、本意見に掲げる国民と企業の成長期待を高める大胆な経済財政政策や支援の拡充、ビジネス環境整備等の実現を強く働きかけてまいります。

 

■地域を支える中小企業の自己変革による持続的な成長に向けた意見（概要）

■地域を支える中小企業の自己変革による持続的な成長に向けた意見（本文）

■同 2024年度政府予算等に対する要望項目

 

＜本意見の概要＞

【Ⅰ．足元の課題克服へ早急に取り組むべき対策】

１．「価格転嫁の商習慣化」など取引適正化の推進

（１）政府の対応：政府の監視機能を活用した取引適正化のさらなる推進

（２）受注者の対応：労務費ガイドラインの早期提示、受注者の価格交渉力強化への環境整備

（３）制度普及促進：「パートナーシップ構築宣言」企業数拡大に資するインセンティブ拡充

（４）発注者の対応：自発的に取組める環境整備（労務費ガイドライン周知、独禁法Ｑ＆Ａ明示）

（５）国民意識醸成：ＢtoＣ含め、生産コストに見合う適正価格で売買することへの理解促進

２．賃上げと中小企業の人材確保・定着の支援

（１）賃上げや省力化等への支援：賃上げ税制の延長・拡充、省力化・省人化投資減税の拡充

（２）人材の確保・定着への支援：専門人材等の兼業・副業・再雇用マッチング、シェアリング

（３）外国人の就業環境整備：中小企業の実態を踏まえた技能実習後継制度の創設、生活支援強化

３．収益力改善・事業再生など自己変革への挑戦支援

（１）企業の経営実態に即したきめ細かな資金繰り支援、経営者保証に依存しない融資慣行の確立

（２）経営者の決断と自己変革を促す、早期経営相談を通じた事業継続・事業再生支援体制の強化

 

【Ⅱ．中小企業の持続的な成長に資する自己変革への挑戦支援】

１. 中小企業の自己変革による新たな付加価値創出・拡大

（１）企業変革を促す事業承継の推進：事業承継税制の延長・恒久化

（２）産学官金連携による新産業創出：イノベーションボックス税制の創設、中小製造業の重点支援

（３）海外展開・輸出拡大支援強化

（４）地域経済を牽引する中堅企業に成長する企業への継続的な支援

２．地域を支える中小企業・小規模事業者の持続的な成長支援

（１）デジタル実装による生産性向上

（２）中小企業の省エネ・脱炭素を加速させる大幅な支援

（３）伴走型経営支援体制の拡充

（４）地域の需要・消費喚起による小規模事業者の所得拡大

３．民間の挑戦を支えるビジネス環境整備

（１）安定・安価な電力供給と電力需給逼迫解消に資する、安全性最優先での原発再稼働

（２）中小企業の負担に配慮した経済安全保障の推進とビジネス環境整備

（３）国民の消費や経営者の賃上げ・投資意欲に水を差さない政策運営、社会保障改革等による将来不安の払拭

 

＜７月28日追加掲載＞

■中小企業庁・須藤治長官（右）へ日本商工会議所・立野純三中小企業委員長（大阪商工会議所・副会頭）（左）

から意見書を手交（７月28日）