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【最新海外事情レポート】カメラとスマホとお天道様(北京)

 

  日本でも大きく報じられたことと思うが、10月下旬に安倍首相が中国に来訪し、これに合わせて、日中双方の経済人等総勢1300名が参加した第三国市場協力フォーラムが、人民大会堂で開催された。

 

 人民大会堂は、セキュリティ・チェックが厳しい。参加登録時には顔写真も要求されていたので、顔認証によるスムーズな入場を期待していたのだが、入場証やパスポートによる本人確認の長い行列ができた。過去に参加した民間の会合では、実際に顔認証システムが使用されていたこともあるのだが、人民大会堂ではまだ導入されていないようだ。

 

 行列に並ぶ間、ふと見上げるとカメラが設置されていた。中国では街のいたるところでカメラを見掛ける。このカメラを防犯カメラとみるか監視カメラとみるかは、人それぞれである。

 

 昨今の中国の顔認証技術の精度は実用に耐えるまでに上がってきている。今年の初めには犯罪データベースと結びついたサングラスを警察が導入し、容疑者の逮捕につながっていると報道されているし、北京市の副都心となりつつある通州区のある交差点では、信号を無視して横断しようとする歩行者を大スクリーンに映し出すようになっているが、顔認証技術により、国民のデータベースと照合して、どこの誰か名前を呼びかけることも技術的には可能と言われている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、少し寒さが厳しくなってきた北京の空の下での行列を終え、やっと人民大会堂へ入場。人民大会堂は、カメラの持ち込みは不可だが、カメラ機能付のスマートホンは認められており、原則、撮影も可能である。中国では日本以上にスマホが必需品で、今回のフォーラムではビジネスマッチングなども行われていたが、名刺代わりにSNSIDを交換し、SNS上で商談を進めるのが最近のスタイルなので、人民大会堂がスマホ不可ならば他の会場が選ばれていたことだろう。

 

 このように中国人は名刺を持たず、また、現金を持たず、全てをスマホで済ます。更にはインターネットの閲覧の多くもスマホで行われており、PCの利用も相対的に少なくなっている。

 

 

 そのような状況下では、企業からの情報発信も、内容や対象によってはWEBよりもSNSが主流となる。ファーストフード・チェーンを例にすると、新メニューなど消費者向けの発信はSNSで行われ、WEBサイトをみるとチェーン加盟募集などビジネス向けの情報しか掲載されていなかったりする。

 

 スマホを中国語では「手機」という。進化した電話と言うよりまさに手の中にある万能機械で、前述のとおり、生活のかなりの部分で活用している。

 

 日本人である筆者は、多くの中国人に比べまだまだ手機の活用範囲は限られているように思うが、それでもSNSでの交友関係、ネットでの閲覧や検索、日々の購買記録、GPSでの位置情報、移動に利用した交通機関などの情報が手機を通じてネット上に蓄積されている。

 

 北京の大気汚染は一時期よりもだいぶ改善したが、太陽が出ているとお天道様に見守られていると実感する。街中のカメラと手中のスマホも私たちを見守っている?

 

 

 

(中国日本商会 事務局長 渡辺 泰一)