2013年9月10日 14:11
中国有数の観光地、桂林の風景
8月中旬に夏休みを利用して広西チワン族自治区の桂林を訪れてきた。桂林は中国有数の観光地として以前から日本でも有名であり、その山水画のような風景は、中国の20元札の裏面にも描かれている。
桂林は20元札の裏面に描かれている
上海から空路で桂林に到着して、まず驚いたことは、夏休みにも関わらず大手旅行会社の在上海日本人向けパック旅行「桂林2泊3日」への参加者が、私と家内の2人だけだったということである。桂林
空港では、1グループ30~40人の多数の中国人団体観光グループとともに、10~20人程度の欧米系の団体観光客グループもいくつか見かけたが、日本人観光客は全く目立たなかった。日中関係が冷え込む中で、日本から中国への観光客が激減しているが、上海には十万人以上の日本人が滞在しており、中国全土を考えれば相当数の日本人がいるはずであるのに、これほどに日本人観光客が少ないとは思わなかった。
我々2人の専属となったガイドに連れられて、初日に訪れた鍾乳洞では、中国人用の入口には100名以上の人が列を作って入場を待っているのに対して、中国人から見えない外国人用の入口に行くと、エアコンの効いた待合室には誰もおらず、直ぐに鍾乳洞に入ることができた。鍾乳洞の中では、30人程度の中国人観光客グループが30メートルごとにそれぞれのガイドの説明を受けながら見学している隙間で、我々2人だけが日本語でガイドの説明を受けていた。鍾乳洞内の最も広い場所では、千人以上の中国人観光客に対して、欧米系の少人数クループが少々見られた程度であり、中国人対外国人の比率は100:1くらいに感じられた。
翌日の漓江クルーズは、桂林から4~5時間かけて陽朔という観光地まで、山水画のような景色を楽しむ桂林観光のハイライトである。定員150人程度の観光船が、3分間に一隻というような間隔で出港していく。どの船もほぼ満員となっているほか、川下りの途中の景色の良いところでは、隊列となった観光船の周辺をプラスチックのパイプを束ねたエンジン付きの筏が観光客を乗せて数えきれないほど行き交っていた。我々の船では、外国人をまとめるように座席が指定されていたが、欧米人観光客はおらず、ここで初めて日本人観光客3人と出会った。1人は北京在住の50才代の男性で、我々と同様に専属ガイドが付いていた。残る2人は個人で中国を旅行しているという30才前後のカップルであった。彼らも他の日本人観光客には会わなかったようであった。
クルーズ船が行き交う漓江の様子
過去の中国の観光の位置付けは、海外からの団体観光客を誘致することで外貨獲得の大きな手段としていたと思うが、GDP世界第2位となった現在、上述のように中国人の観光客は、海外だけでなく国内でも急速に拡大している。有名観光地では、何をするにもまずは列に並ばなければならいようである。広大な中国にはまだまだ開発されていない観光資源が多数あるだろう。観光交流の拡大は、相互理解の促進にもつながるものであり、今後の中国の観光の発展に期待したい。
(上海日本商工クラブ 事務局長 中村 仁)