(日本商工会議所の機関紙「会議所ニュース」99年10月21日号より)

 

宇都宮商工会議所

“餃子パワー”で街づくり


 

 東京駅から新幹線で56分、北関東最大の都市(中核市、人口44万人)、商工業の一大拠点都市としての機能を有している「宇都宮市」の最大の悩みは、その地名から連想するイメージの希薄さであった。
 宇都宮商工会議所では、誇りと愛着の持てる街づくりにより地域アイデンティティを確立し、他都市との差別化が重要であるとの認識に立ち、宇都宮市制百周年の年(1996年)を契機に「宇都宮再発見事業」(当所単独事業)をスタートさせた。
 この事業は、宇都宮市の歴史、文化、伝統などをもう一度見直すことによって、隠れた地域資源を有効に活用し、これ以上拡大の望めない商圏人口に都市観光による交流人口を付加することで地域活性化を図ろうとするものである。この事業を推進する中で発見したことは、われわれが認識する以上に県外の数多くの人たちに、「宇都宮市といえば餃子」(一世帯あたりの餃子消費額日本一)というイメージが定着していたことであった。しかし反面、宇都宮市を訪れた人からは、「小規模の餃子店がばらばらに点在しており、どこに行けばよいのかわからない」との指摘を受けた。これを受け入れる市民の側からも「中心市街地に餃子街をつくれ。ビジネスチャンスを逃すな」との意見が数多く当所に寄せられるようになった。
 このような背景の中で1998年、提案公募型地域活性化事業補助金を活用し、商工会議所が直営の「おいしい餃子とふるさと情報館"来(き)らっせ"」をオープンさせることとなった。
 建物については、空き店舗を家主の好意により低価格で借りることができ、店舗の1階(10坪)には観光情報と土産品の販売、2階(50坪)には宇都宮餃子会の協力を得て市内13店舗の餃子が食べ比べできるレストランを開設した。
 「来らッせ」は、オープン当初からマスコミ各社に取り上げられ、来店客も予想をはるかに超える月平均7,000人が訪れた。宇都宮市以外からの来店客が7割を占めていたことから、都市観光事業としての事業目的は十分達成できた。しかし、店舗側の事情を言えば、厨房関係者はプロであったが、その他の従業員全員が飲食店での勤務経験がなく、また、商工会議所としても直営で飲食店を経営するのは初めてであったため、最初の3カ月はつらい経験を味わった。
 同事業では店舗の運営のみならず、地元食品加工業者との共同研究により、お湯を入れて簡単に食べられる水餃子「カップ餃子」を開発し、1999年3月販売を開始した。現在、順調な売り上げを示し、新しい宇都宮の土産品として定着しつつあることから、さらに販路を開拓すべく地元業者と研究を進めている。
 空洞化しつつある中心市街地の真ん中に「来らっせ」が位置していることから、今後はこの店舗を拠点に面的回遊性をもった街づくりへ向け、本事業をさらに推進していきたいと考えている。課題は山積みだが、事業の進捗につれ行政、周辺商店街、地域住民からも期待が寄せられ、積極的な協力要請も出てきており、当所では事業成果が着実に出てきているものと確信している。
 当所は、2000年度TMOの認定を受けるべく、現在TMO構想計画を策定中である。この構想計画の中でも、空き店舗対策の一環として、都市観光を絡ませた事業計画が策定できないか、現在模索中である。

(街づくり推進室長 金子 敏)

 



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