(日本商工会議所の月刊誌「石垣」98年7月号より)
 
大分市竹町通商店街
”暮らしの楽園”をコンセプトに市民に新たな憩いの場を提供


 大分市内で最も歴史が古く、豊前・肥後に通じる街道筋の商店街として栄えたのが大分市竹町通商店街だ。全国の商店街が窮地に立たされている中、竹町は1994(平成6)年に日本一のドーム型アーケード・カラー舗装を完成させ、都市型商業空間「暮らしの楽園・ガレリア竹町」として、魅力ある街に生まれ変わった。
 「巨大なドームがお客を迎え入れる」。そんな第一印象を受けた。商店街の入口には、イベント会場としても利用されている「竹町ドーム広場」がある。広場の中心にあるポルトガル帆船のモニュメントは、大分市が日本とポルトガル友好450周年を記念してつくったものだ。「何時に帆船の前ね」と、市民の待ち合わせの場所として親しまれている。
 ハードの完成で大きな注目を集める大分市竹町通商店街振興組合の園田孝吉理事長に話を聞いた。


▼イタリア・ミラノの街をモチーフに
 全国的に商店街が窮地にたたされている中で、歴史ある竹町通商店街も例外ではなかった。大型店の出店、モータリゼーションの流れは、買い物客の減少と売り上げの伸び悩みの原因となっていた。こうした中、同商店街では、91年に商店街近代化委員会を組織し、街の活性化に向け検討を開始した。
 「どうしたらよりよい街にできるのかということで、多摩大学の望月照彦先生にご協力いただき、当初は全国の商店街の視察を積極的に行いました」と、園田理事長は当時を振り返る。「特色ある街づくり等について検討を繰り返した結果生まれたのが、ヒューマン・サンクチャリー(人間のための楽園=暮らしの楽園)というコンセプトです。そして、大分の自然と文化が美しく共存する21世紀に向けた商業空間を目指し、アーケードとカラー舗装の建設を計画しました」。
 こうして94年にイタリア・ミラノをイメージしてアーケードがつくられ、「ガレリア竹町」として生まれ変わったのである。竹町を、何百年と繁栄し続けるミラノの街のようにしていこうとする組合員の願いが込められている。
 
▼多方面から注目集まる
 完成した商店街の中には、大分市記念事業としてつくられた「ポルトガル帆船」をはじめ、3丁目と5丁目にオリジナルのモニュメントがある。「商店街を買い物だけの場と思わせるのではなく、市民が『集える、憩える、出会える』といった、常に楽しみを感じてもらえる場所にしていきたい」と園田理事長が語るように、商店街にはヨーロッパ風の個店がつづき、華やかさを感じさせるばかりか、細部まできめ細かく配慮が成されている。お客の利便を図って、共同駐輪場、公衆便所が設置されているところも魅力的だ。  こうしたアーケードの完成による効果は計り知れないものがある。特に商店街の知名度は上がり、完成以来、年平均30件近く視察の申し込みがあるそうだ。また、イベント広場を備えていることも幸いし、トークショー、バンド演奏等の各種イベントの申し込みが絶えない。
 
▼「OASISひろば21」オープンで相乗効果狙う
 96年には、市内の商店街と大型店から成る「大分都市街づくり委員会」が組織された。「これから中心市街地はさらに厳しい状況になります。特に九州においては、高速道の開通により都市間競争が激化しています。そのためにも、市内中心部の商店街、大型店が一体となって活性化していかなくてはならないのです」と園田理事長がいうように、竹町通商店街にも、中心市街地を襲う波が押し寄せている。
 ただ、竹町にとっての吉報もある。それは今年、商店街のすぐ近くに文化ホール、ホテル等が複合した施設「OASISひろば21」がオープンし、98年10月には国民文化祭が開催されることになっているからだ。「この施設ができることによって、多くの人が街を訪れます。人が通り抜けるのではなく、集客力を増していけるようソフト面の強化をしていきたいです」と抱負を語る園田理事長。「これからの商店街づくりは、どれだけお客さんとの結びつきを強くしていけるかということなのではないでしょうか。『竹町にいったら何かある。楽しいことがある』といった、買い物以外の楽しさを感じてもらえるような空間をつくっていきたい」。
 竹町を歩いて感じることは、街の完成度の高さである。細い道を通ったら、オープンカフェがあったり、小さなパティオがあったりと驚かされることが多い。まさにハードが完成している分、大きな可能性が秘められているといってよいだろう。ヒューマン・サンクチャリーの街を目指し、ソフト面の強化を進める竹町通商店街の新たな挑戦に期待してやまない。
 



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