(日本商工会議所の月刊誌「石垣」99年1月号 より)
 

高崎中部名店街(群馬県高崎市)
ホームページが生んだ個店の特徴づくり

 

 高崎中部名店街は、JR高崎駅より歩いて10分の距離にあり、市内一番店であるスズランデパートを核に、中心商店街の一翼を担っている。性格の異なる3つの通り(大手前通り・さやもーる・さくらばし通り)で構成されたH型の商店街は、それぞれの特徴を最大限に生かし、補完し合いながら積極的な活動を展開している。ホームページを開設し、個店の販売促進に力を入れる商店街振興組合高崎中部名店街の綱島信夫理事長にお話を伺った。

▼環境整備で組合員の危機意識高める
「『大手前通り』は家族、『さやもーる』は若者、『さくらばし通り』は中高年層が対象なんです。性格の違う3つの通りがH型の街区を形成しているのが当商店街の特徴です」と綱島理事長は話す。「常にそれぞれの特徴がかみ合うように活動を展開しているんです」。
 H型の街区という、一見変わった街を形成している同商店街は、老朽化する街の環境整備に目をやり、対応を進めている。1992(平成4)年に実施したさやもーるの改築を皮切りに、94年にはさくらばし通りを改築、そして現在、大手前通りの整備が進められている。「環境整備事業を着手するにあたり、綿密な計画立案を行うことで、組合員の危機意識・参画意識を高められたのが事業推進につながりました」と綱島理事長は話す。

▼若手が活性化事業の中心に
 同商店街のよい点は、来街者に飽きられないように積極的な事業活動を展開していることにある。その背景には、役員の若返りがあげられる。96年から根付いているフリーマーケット(毎月第3日曜日に開催)をはじめ商店街のイベントは、すべて若手が手掛けた事業だ。「新しい発想に対し、OBの方々が後押しをしてくれたからこそ、事業を成功させることができたのです」と話す綱島理事長を中心に、若手の献身的な活動が商店街の活力となっているのは間違いない。
 若手が活躍することによって生まれた事業はこれだけではない。インターネット上に開設したホームページもそうである。昨年10月には各個店がホームページを持ち、販促活動を展開している。
 「一昨年の夏、商店街の案内やイベントの紹介を目的にホームページを開設したのですが、予想以上にアクセス数が多いことから、各個店の販売促進につなげていこうということになったのです」と綱島理事長。そこではじまったのが各個店の特徴探し、『一店逸品運動』である。
 「ホームページづくりに生かすため、商店街診断の名のもと、経営コンサルタントに各個店の特徴探しをしてもらいました。一店逸品運動は、新しい商品をつくり出すということだけでなく、各個店が自分たちの個性を再認識するという、意識のレベルアップにつながっています」と話す綱島理事長の言葉には、事業の手応えを感じる。

▼少子高齢化社会に対応した環境づくり
 さらに同商店街では、「お買い物ボランティア」を97年6月から実施している。これは、商店街に住む健康なお年寄りが、高齢者や体の不自由な方々に付き添って、買い物の楽しみ方を手助けするもので、毎週月曜日、買い物の手伝いのほか、バス停までの送迎を行っている。
 「これからは少子高齢化社会という想像もつかないような社会が訪れます。この問題を見据えて商店街活動をしていく必要があるのです。他の地域に先駆け少子高齢化社会に対応できる環境づくりをし、元気のあるお年寄りが積極的に地域活動に参加できる社会を構築していきたい」と綱島理事長はこの事業を説明し、「元気なお年寄りが体の弱いお年寄りを支えていけるような社会を構築しなくてはならないのです」と強調した。

▼住民の理解を得て街の文化育成へ
 全国的に中心市街地の空洞化が問題となっているが、同商店街を取り巻く環境も例外ではない。隣接していた市庁舎が移転し、来街者は減少傾向にあるのだ。
 「全国的に中心市街地活性化の動きがある今、商店街は千載一遇のチャンスと捉え、市民がコンセンサスを得られる街づくりを進めていかなくてはならない。これからの商店街活動は営利だけを目的とするのではなく、社会に貢献できる事業活動も進めていくことが大切なのです。住民の理解をいただき、一緒になって街の文化を育成していくことが求められるのです」と話す綱島理事長は、交通の要衝である高崎市はが活性化に向け大きな可能性を秘めているのだと言う。
 街の文化育成に向け、若手経営者たちはどのような商店街づくりを進めていくのか。街のために動き出した高崎中部名店街のさらなる挑戦ははじまったばかりだ。

 
 



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