(日本商工会議所の機関紙「会議所ニュース」98年6月21日号より)
 
浜松商工会議所:「手さぐりの都心再生」

 
 近年、中心市街地の空洞化問題は、全国的に都市の共通課題としてクローズアップされているが、浜松市中心部においても歩行量の減少、回遊性の狭あい化、周辺市町村からの流入率の低下など、厳しい状況が続いている。
 浜松商工会議所(静岡県)では、激変する商業環境の変化に対応するため、広域から人が集まる魅力ある街づくりの方策を検討することを目的に、平成7年7月に「浜松市中心商業地活性化研究会」を設立した。広域商圏調査などに着手すると共に、所内に若い感性で都市の魅力について研究するプロジェクトチームを発足させ、多面的に街の活性化策についての検討を進めていた。
 しかし、西武百貨店の撤退表明(平成9年12月に撤退)により、「中心部の地盤沈下は予想以上に深刻な問題」として全市的な危機感が募り、官民一体の中心市街地再生に向けた取り組みが急務とされた。そこで、同年10月に浜松市と共同で中心部の再生に向けた「浜松市中心市街地街づくり推進協議会」を設立した。
 同協議会は、県・市・会議所・学識経験者・商業者・消費者・自治会役員・再開発関係者計30人で構成する。さらに、これをフォローするため商業者を中心にしたワーキンググループと、行政として何ができるかを検討する市庁内ワーキンググループを組織。
 中心部の核形成の1つとして期待される再開発事業(西武跡地を含む3.3ヘクタール)を、今後の街づくりへインパクトのあるものとして誘導すると共に、これを生かすべく既存商店街の今後の取り組みについての総合的検討を行う事を目的に、1年半にわたり研究・検討を重ね、平成9年3月に「都心再生に向けての提言」として取りまとめた。
 提言書では、再生に向けた考え方を、モノを消費する場(中心商業地)から「都市的機能・役割の複合する都市文化の母体」へ質的に転換した。それに伴い活性化の視点を商業振興・都市基盤だけの発想から、「市民・産業界・商業者・行政などが協力し合い、新しい社会資本としての『街』づくりに取り組む」というスタンスが必要であるとし、基本コンセプトを「個性・楽しみ・感動が集い、広がる街〜ヒューマン・アンサンブル・ステージ」と位置づけた。その上で再生に向けた課題を7つに整理し、再生の基本方向(スタンス)を定め、その推進に向けた5つのアクションプログラム構想を提案した。
 中心市街地の活性化は、現状分析から検討・実行の段階に移った。当所では平成9年9月、構想実現に向けて今後の街づくりについての支援・調整機能を担う新たな組織として「浜松市都心再生推進会議」を設立。街づくりに関する施策や事業の進ちょく状況に関する情報を常に確認・把握し、整合性のある調和のとれた街づくりが推進されるよう、関係機関への取り組みを促すことを目的とした活動を展開している。これにより再開発ビルへの県・市公共スペースの誘致、全国初のトランジットモール実験(今秋)、夜間演出事業の実施など具体的成果もではじめてきている。
 街づくり関連3法が成立し、今後は街づくり施策の新たな展開が予測されるが、57万都市商工会議所としてのスタンスを持ち、臨機応変に取り組んでいきたい。
 



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