(日本商工会議所月刊誌「石垣」9911月号より)

 

柏二番街(千葉県柏市)

土地柄生かし、若者をターゲットにした商店街

 

柏市柏1−4−5
商店街振興組合 柏二番街商店会
理事長 山田俊一

◎ポイント
・客層のターゲットを絞った商店街戦略
・若者の感性にどう訴え、どう呼び込むか
 日々戦略を立てる個店努力
・「常に調整し続ける」がスピリット

 


 大型店の進出や長引く景気の低迷により各地で商店街が苦戦を強いられる中、JR柏駅東口前にある柏二番街(山田俊一理事長)は県内で指折りの元気な商店街である。若者があふれ、東京の渋谷を連想させることから「東の渋谷」といわれる町並みの一角を形づくっている同商店会の石戸新一郎専務理事に話を伺った。

▼1972年、県内初の全蓋式アーケードを完成

 柏市の商圏は県北西部、茨城県南部、埼玉県の一部と広域なのが特徴だ。商圏人口は214万人、このうち柏市への吸引人口は約60万人と推定されている。とりわけ、JR柏駅周辺の吸引力は高く、柏二番街は元気な商店街の筆頭格とされている。柏二番街商店会は1972年、県内で初めて全蓋式アーケードを完成させた。きっかけとなったのは、柏駅周辺の再開発事業である。大型百貨店二店舗の進出を商店会は快く受け容れ、ともに明日への街づくりをしようと、商店会も千葉県初のアーケード建設着工に立ち上がった。それから20年を経て老朽化したアーケードを95年にリニューアルした。加入店舗総がかりで丸6年をかけて完成した現在のアーケードは、白を基調にしたモール型で、ネオパリエ(ガラス繊維を粉にして固めたもの)の柱、床に御影石を使い、開閉設備を備えた半月形の高い屋根が明るい雰囲気を出している。また、アーケードのリニューアルに合わせて全店舗もリニューアル、これが商店街全体の活気を保ち続ける原動力となった。「商店街は運命共同体。個店が繁盛する時は商店街全体が良くなり、ダメな時は全部ダメになる。ある店だけが繁盛するということはない。それぞれの店がばらばらに動いていたら、いずれ沈んでいってしまう。だから店のリニューアルも全店に協力を仰ぐため奔走した」と石戸専務は当時を振り返る。

▼最も多い客層が20代という商店街

 柏二番街は、日曜・祝日で約3万人、平日でも2万人を超える人が訪れる。若い女性を中心に自転車の主婦、サラリーマンまで終日人の流れが止まることはない。リニューアルを機に客層が変わったという。「今、うちの客層の中心は10代から20代。私が学生だった頃から柏駅は学生が帰り道に立ち寄る駅といわれていた。リニューアルを機に、各店舗も若い層にターゲットを絞り込み、店舗レイアウトや商品構成、販売戦略を練っていった。興味を持った若者がどんどん立ち寄るようになって、顧客吸引力が大幅にアップしました」と柏二番街の強みを語る石戸専務。昨秋のマーケティング調査でも、20代が最も多く29%、20代未満が19.7%30代・40代が14%。「普段、買い物する店」では柏二番街が51%で、柏高島屋ステーションモール(45.5%)、柏そごう(41.9%)を抑え、堂々のトップだった。こうした顧客の流れに対応し、商店街メンバーの長崎屋柏店でも若者中心の店に衣替えした。商店街が大型店を取り込んだ珍しい例といえる。個店が商店街の方針に賛意を示していることが三千万円という年間予算からも伺える。その予算が次の夢を実現するための原資となる。

▼商店街一丸の恒例イベントがない柏二番街

 商店街では、四季折々のイベント開催が販促の手段となっているが、ここ柏二番街では、決まった恒例イベントを開いていない。石戸専務はその理由を次のように語る。「販促の仕方は商店街それぞれケースバイケースだが、うちは客層のターゲットを絞ることを戦略としたことで商店街のカラーが出せた。個店それぞれが若者の感性にどう訴え、どう呼び込むか日々戦略を立てて、若者を呼び寄せているんです。商店街は情報発信の場と私は考えています」。同商店街では、情報発信の1つの手段として2年前からタウン誌『パサージュ』を年4回発行している。各店舗の紹介のほか、巻末に「二番街いまむかし」と題して、商店街にまつわる話をコラムにして載せている。また、商店街は情報発信の場という考えから、現在、商店街にサテライトスタジオを作り、ケーブルテレビとタイアップしてコミュニティチャンネルを流す計画を進めている。「柏二番街に来れば何か情報が得られるというイメージを作りたい。ホームページも作成中で、インターネット上で買い物できるバーチャル商店街も考えている。消費者向けの情報提供をいろいろな形で行っていきたいと思っています」と石戸専務は今後の方針を熱く語った。

▼スピリットは“常に挑戦し続ける”

 若者の心をつかむ商店街として新たな商店街像を確立した柏二番街。この商店街の強さは、個店それぞれが常に前向きな姿勢を保ち、時代の流れをすばやくキャッチしていきながら、一つの商店街としてまとまっているところにあるといえる。「一番ではなく常に挑戦し続け、可能性を求める二番(街)でいこう」商店街の名前の由来そのままに、未来を見つめる柏二番街の今後が楽しみだ。



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