(日本商工会議所月刊誌「石垣」99年8月号より)

 

観音寺市上市商店街(香川県観音寺市)

常に5年後の夢を語る

観音寺市観音寺町町甲3368番地
観音寺上市商店街振興組合
代表理事 三谷 章雄

◎ポイント
・商店街活性化街路事業
・イベント事業と商売人の養成でソフトを充実
・街並みを維持する「街づくり協定」

 


 香川県の西端に位置する観音寺市は、かつて四国88カ所霊場巡りのうち、68番札所神恵院、69番札所観音寺の門前町として大いに栄えた。複数の商店街が集まり中心市街地を形成しているが、上市商店街はその中で最も古い商店街で、にぎわいの中心であった。しかし、近年のモータリゼーションの進展と大型店の郊外シフトに伴い、昔のにぎわいを失っていった。こうした中、平成に入って上市商店街は、県道の街路事業に合わせて商店街近代化事業を実施し、街区を一新した。「往時の街のにぎわいを取り戻したい」と語る上市商店街振興組合の三谷代表理事にお話を伺った。

▼街路事業が商店街活性化の起爆剤に

 平成9年10月、商店街活性化街路事業を完了した上市商店街がグランドオープンした。平成2年に商店街振興組合を設立し、以来7年の歳月と総事業費100億円をかけ、商店街の直線部分265m区間を一新した。「道路拡幅に反対する人もいて、組合員を説得することに苦労しました。商店街活性化の話は20年前から持ち上がっていましたが、今回実施された街路事業(県道の道路拡幅)を活性化の起爆剤として利用しようという話でまとまりました。平成6年に小売商業振興法の事業認定を受け、商店街近代化事業として高度化資金の融資が可能となったことが事業推進の追い風となりました」と、三谷代表理事は当時を振り返る。また、組合では、平成3年から組合員、市、隣接の商店街を対象に「上市新聞」を週刊で発行しているが、これに事業の進捗状況などを逐一掲載したことも事業を進める上で大いに役立った。

▼整合性のある街並みづくりに配慮

 各店舗は、固有の文化に根付いて時間の経過で陳腐化することのないものを目指し、明治、大正、昭和初期のファザードとし、歩道はレンガ色に統一、整合性のある街並みづくりに配慮している。これら街並みは、『街づくり協定』により末永く維持されるが、さらに協定では、看板を設置するときは建築協定委員会と協議するよう取り決めたほか、道路に物を置かないことなども申し合わせている。また、人だまりや滞留する場所として、コミュニティホール・街角広場・街路灯・七福神のモニュメントなどを商店街の要所に配置した。中でもランドマークとして設置した七福神のモニュメントは、「上市=神位置」という街のアイデンティティを表現している。
 上市商店街ではこれらハード事業のほか、「カルチャーフロント上市」「ショッピングフロント上市」という基本コンセプトのもとに、新しい「生活劇場」ゾーンの創出を目指してソフト事業にも力を入れている。商店街の中心に設けられたコミュニティホールやイベント広場では、歌謡ショーなどのイベントや定期市、住民参加のフリーマーケットなどが開かれ、また、通りでは、七福神にちなんだイベント"上市七福通り恵比寿市"を開催している。

▼後継者など商売人の養成に注力

 「ハードが整備された現在、イベント事業と後継者を含めた商売人の養成に力を入れています。具体的には毎月1回講師を招いた商業政策研究会を行っているほか、組合員の希望に応じて個店診断指導を行っています。これらはすぐに個店の売上げには結び付かないでしょうが、継続が力となっていくと信じて、組合員の商売が繁盛するためにもやらなければならないと思っています」と三谷氏は話す。
 2万5000円の個店診断指導料のうち2万円を組合が負担するなど、今では、組合の賦課金や組合がイベントなどで得た収益のほとんどを勉強代に使っている。イベントは毎週土曜日に行っているが、特に、毎年7月、2万人の人出がある"銭形まつり"に合わせ行っている市では露天商の出店申し込みが多く、出店を断わざるを得ないほどの盛況である。

▼にぎわいを取り戻すことが最終目標

 「将来のビジョンというものはないが、昨日よりは今日、今日よりは明日というような姿勢で取り組んでいます。組合員には絶えず5年先の夢を語り、また、街の住民に組合は一生懸命街づくりに取り組んでいると認識されるよう努力しています。組合員の質の向上を目指し、若い人を育て、昔のにぎわいを取り戻すことが最終目標です」と、三谷氏は意欲を燃やす。
 組合では現在、5年後を目途に、空地にふれあい広場をつくるパティオ事業を進めているほか、平成12年度には商店街のうち未整備となっている50mの街路事業に取り組む予定で、「当分は代表理事をやめられそうにない」と三谷氏。
 街並みというハードの整備が進んだ今、そのハードを活用したさまざまなソフトの充実を図ろうと、上市商店街の新たな挑戦が始まっている。



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