(日本商工会議所月刊誌「石垣」97年8月号より)

 

ながはま御坊表参道商店街(滋賀県長浜市)

駅前から山門が見える歴史と文化の商店街

ながはま御坊表参道商店街振興組合
長浜市元浜町18−15
理事長 小倉 勝彦
長浜商店街連盟
長浜市高田町10−1
会長 漣 正行

◎ポイント
・伝統的な街並みの復活を目指した改装事業
・「あせび展」「文化塾」などのイベント
・個性ある役員たちの団結がエネルギーの源

 


 かつては御堂前商店街と呼ばれ、桃山時代の文化財を数多く擁することで知られる大通寺の門前町として繁栄を極めた「ながはま御坊表参道商店街」。現在、大通寺を目玉商品とした街並みを整えながら、観光客と地元市民が行き交って賑わう商店街づくりに、官民一体となって取り組んでいる。

▼きちんとした方向性と実行力が大事

 ながはま御坊表参道商店街に入ると、真正面にデンと構える大通寺。この大通寺を核とした街区イメージの刷新と、様々なイベントを実施しながら賑わいを図る同商店街では、長浜市郊外への大型店の進出などをきっかけに、何度か改造計画がもち上がった。「昭和60年の商業近代化計画、そして平成3年には第2弾の近代化計画として地域への定住化を促進、そのために住環境を良くしていこうという方向性を出して進めてきた」と長浜商工会議所の吉井茂人課長は語る。
 大通寺の門前町の商店街をイメージし、駅前から大通寺の山門が見えるようにと、県内で2番目に設置したアーケードを昭和63年に取り外した。さらに2カ年事業で商店街の両側をそれぞれ1.2〜1.3mずつセットバックし、統一改装事業を完成させた。もちろん組合員の説得には幾多の困難があった。長浜商店街連盟の漣正行会長は「もともとあった古い歴史と文化をもった街並みを復元するのだから、それほど費用はかからない。今やらないと県や市の補助金が出なくなる」と説得してまわったという。商店街の中心にある針尾橋を境に、南を第1期として昭和63年、北を第2期として平成元年に工事し、徐々に改装計画を進めていった。
 同商店街では当初長浜観光物産協会と長浜料理飲食協同組合から支援を受け、観光物産センター「お花館」を経営している。これは統一改装事業の見本として、また、雁木式モデル店舗として組合が率先して空き店舗を改修したものだ。お花館の名前は、大通寺に昔住んでいたというキツネの名「お花」に由来する。様々な伝説が残されていることから、お花ギツネに関するオブジェが、参道の入口や針尾橋の欄干のデザインなどに使われ、商店街のシンボルとして統一的に使用されている。
 改装事業で大きく変わったことは、「観光客を意識して、電気屋が業種転換して土産物屋などになったことと、各店が独自の観光客向けの商品を置くようになったこと」だと吉井課長。ただし、「景観というハードは組合が提供したが、地元客を大事にしながら観光客を引きつけるためには、個店それぞれが創意工夫を重ねていく努力をしないと何も変わらない」とながはま御坊表参道商店街振興組合の小倉勝彦理事長は言う。

▼歴史・文化性を軸にイベント

 「改装と同時に、賑わいを創出するためのイベントなど、視点を変えたソフト面の展開をしてきたことが評価につながっている」と吉井課長は言う。昭和62年、組合員の一人の長老が馬酔木(あせび)という花を山から採取してきて花のある商店街づくりを提案した。市役所と商工会議所の職員らが長老の思いを実現しようと馬酔木を山へ取りに行き、大通寺の山門で「馬酔木展」を開催。以後毎年の恒例行事として賑わいを見せている。その他にも5年前から、琴、尺八、太鼓など邦楽に主眼をおいたイベント「文化塾」を継続的に実施し、邦楽の普及・継承と文化芸術に接する機会をつくっているほか、長浜市全体で「きもの大園遊会」や「長浜出世まつり」などのイベントを実施している。
 同商店街の目玉には大通寺と、もう一つ全国的にも知られる「黒壁」の存在がある。イベントの賑わいと、黒壁を訪れた観光客の表参道への誘導という足並みを有効活用するため、街の回遊性の演出が今後の課題だという。「単なる買い物をする場でなく、市民の生活の場であり、観光客が訪れる場でもある。街づくりという大きな枠の中で、それぞれの機能の役割分担の相乗効果を狙えるよう、機能のネットワーク化を図ることが重要ポイントとなる」と吉井課長は話す。

▼やる気・本気・根気と攻撃的な挑戦!!

 「まずは、考えすぎずにアクションを起こすこと。口先だけでなく、自ら率先して動くこと。前向きに挑戦するという姿勢が必要」と吉井課長。「そのためには、普段から信頼関係を築いておくことが肝心」と小倉理事長が続ける。漣会長は「親分肌の理事と実務面で補佐できる人がいて、“やる気”と“本気”と“根気”があればまとまっていく。役員がまとまっていれば、組合員もおのずとついてくる」。同商店街は、他の商店街からもうらやましがられるほど役員同士の仲が良いことが特徴としてあげられる。
 街全体を高める意識をもった船頭役がまとまることで信頼関係が生まれ、自然と人の輪がエネルギーになっている商店街だ。



一覧へ戻る一覧へ戻る