(日本商工会議所月刊誌「石垣」97年6月号より)

 

西門商店街(神奈川県相模原市)

全国初の駐車場ポイントサービスを導入

西門商店街協同組合
相模原市相模原6−20−1
理事長 浅川 逸雄

◎ポイント
・サーガナイスカード事業
・西門コミュニティ・プラザ
・立体駐車場建設
・FM事業

 


 JR横浜線相模原駅から約1q離れたところにある西門商店街は、全国有数の商業激戦地である。生き残りをかけて、全国初の駐車場ポイントシステムを導入した「サーガナイス」カード事業をはじめ、商店街情報などを提供するFM事業、立体駐車場の建設、「ねぶたカーニバル」のイベントなどを通して、積極的に固定客の増加を図っている。西門商店街協同組合理事長の浅川逸雄氏に話を聞いた。

 人口58万人を抱える相模原市の商圏は隣の町田市に大部分をとられ、西門商店街だけでは効果を期待できないと、平成2年に相模原駅周辺の相模原東、同西、同中央の4つの商店街協同組合が結束し、相模原西門都市整備委員会を設置した。浅川理事長は「まずは、しっかりとした組織をつくることが大事」と語る。
 西門商店街は、駅から、離れ不便なところに位置していることから、昭和49年ごろから駐車場を所有。組合事務局のある西門プラザと立体駐車場の土地もみんなで出資して買い、その収益で現在4カ所に250台の駐車場を確保している。
 また同商店街には夫婦づれで買い出しに来る客が多く、駐車場には買い物用のカートが常備されている。「この駐車場の確保が、現在同商店街が生き残っている重要なポイント」と浅川理事長は言う。

▼全国初の駐車場サービスを開発

 カード事業では、ポイント・プリペイド・クレジットサービスに加え、買い物に応じてカードに点数を入力し駐車場が無料で使える。しかも当日だけ有効(翌朝9時には駐車場ポイントだけが消える仕組み)の、独自に開発した全国初の駐車場サービスを加えた4機能を備え、さらに駅前の商店街を含む4商店街で利用できるという特色を持たせた。普通のポイントと駐車場のポイントが同時に入るようになっている。
 「カード事業は、現在43店舗が加盟。決して成功とは言えないが、中には売上を伸ばしている店もある。お客様がカードを出すと損と考える店は駄目。来店したお客様すべてにカードを勧め、“買い物するときは必ず持ってきてね”と声をかけ、自分の店のカードのように使いなさい」と積極的に指導する浅川理事長は、毎日食事や飲み会を兼ねた会議を実施し、自分の店を他人に任せて組合に常勤している。

▼何か行動を起こすことが大事

 「駅から離れた不便な商店街はいつも何かやっていないと衰退する。便利で遊びがないと人は集まらない」と浅川理事長は強調する。そこで4つの商店街で力を合わせてイベントをやろうと、友好都市の秋田県能代市から「ねぶた」を借りて「ねぶたカーニバル」を開催し、大成功をおさめた。「このイベントの大成功は4つの商店街で力を合わせれば何かできるという自信となり、足並みをそろえる良い機会となった」と浅川理事長は語る。
 さらに顧客への情報提供という観点から、コミュニティFM事業をスタートさせた。コミュニティFMのほとんどは第三セクター方式だが、「FMさがみ」は市内の企業と市民が出資して設立された純民間の放送局。午前中に商店街からFAX情報をもらい、無料でイベント情報を提供する。「1日約100件の情報が寄せられる」という。市民に親しまれている「夜桜まつり」の公開生放送や、タクシー会社やガソリンスタンドの協力を得て、市内各所の道路情報などを提供している。

▼やる気のある人で仕掛けていく

 西門商店街は生鮮食品店が多く、お客は買い物するとすぐ帰ってしまう。「買い物のついでにお茶を飲み、おしゃべりができる遊びのある楽しいまちにしたい。そのためにはカード事業にしても、各店が独自のより良いサービスを提供する努力が必要」と話す浅川理事長は、「将来、南プロバンス風の街並みづくりをしていきたい」と自分も参加して「プロバンス」という2階がカフェと輸入雑貨の販売、1階は低価格で花を売るお店を97年4月にオープンさせた。
 「組合全体を活性化させるのはなかなか難しい。あとは個店の努力しかない。やる気のある人が業種転換し、手を加えたいいものを売る店や、弱い業種を逆に誘致したりして商店街を活性化し、一つひとつ街の雰囲気を塗りかえていきたい」と浅川理事長。また、近々、商店街の近くに高齢者住宅がオープンする予定で、将来的には「商店の上に高層住宅をつくりたくさんの人に住んでもらい、下に個性ある店がある街づくりを仕掛けていきたい」と夢を語る。今、商店街に最も必要なのは、こうした熱心な仕掛人かもしれない。



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