(日本商工会議所月刊誌「石垣」2000年2月号より)

 

荏原町商店街(東京都品川区)

消費者本位のサービスに徹する城南の下町商店街

 

 
  東京都品川区中延5−6−16
  荏原町商店街振興組合
  理事長 中村 義

  ◎ポイント

  • 区の補助事業を商店街活動に活用
  • ファンクラブ結成し多くの会員特典を付与
  • 商店街全体で取り組むポイントカード事業

 


 荏原町商店街はJR京浜東北線大井町駅から9分の東急大井町線荏原町駅前エリアに広がる商店街だ。東京城南の下町商店街として地域住民に親しまれ、常に活気にあふれている。「気良い、買い良い、暮らし良い」をモットーとする荏原町商店街振興組合の中村理事長にお話を伺った。
 

▼商店街ファンクラブを結成

 荏原町商店街は本通り、縁日通り、中央通り、弁天通りの4つのブロックから構成される。商店街全体として約200店舗あり、業種構成は食料品、物販、飲食店が各3割と、非常にバランスがとれている。「当商店街はもともとT字型をしており3部制をとっていたが、商店街活動がやりにくいことと、客に対するアピールが弱いこともあって、便宜上、通りの名称ごとに4つのブロックに分割した。これにより、商店街を面としてとらえることができるようになりました」と中村理事長。それぞれの通りの入口には共通のアーチを設置している。
 平成7年に商店街のファンクラブを結成し、その会員証として「キミカ」というカードを発行した。「キミカ」は商店街が行うイベントのマンネリ化を防ぎ、もっと商店街にお客が来るようにということから導入された。現在会員数は16,000人で会員はさまざまなイベントに無料参加できるほか、売り出し期間中には、各種割り引きや粗品進呈などのサービスが受けられる。
 カードの発行は、品川区の「にぎわい創出事業」(年間10回以上行う販促事業に対して2分の1、最大200万円を助成)と「地域活性化(地域イベント)事業」の2つの助成を受けて行っているが、「助成を受ける際、にぎわいがどれだけあったかという効果測定が問題とされ、それなら各個店の売上高で測るのではなく、ファンクラブの会員数が増加すれば、にぎわいの効果が一目瞭然になるという発想でこの事業を始めました」と中村理事長は経緯を語る。
 

▼無料健康相談の特典を付与

 また、ファンクラブ会員を増やし、商店街をより強く支持してもらえるよう、ファンクラブ「キ・ミ・カ」が1周年を迎えた平成8年には、健康相談・医療機関の情報サービスである「ハロー健康相談24」もカードに付加した。これは、家族の一人が「キ・ミ・カ」の会員であれば誰でも、年中無休で24時間、全国どこからでもフリーダイヤルで健康・医療相談、夜間・休日の医療機関の案内、介護などシルバー情報の提供、医薬品に関する相談が受けられるというもの。
 

▼「ポイントキミカ」は商店街全体の事業

 平成10年7月に隣接する商店街への大型店出店を機に、キミカカードをポイントカードに切り替え、昨年にはそれまでの磁気カードからICカードへと移行し、ポイントキミカとして本格的に実施している。「キミカ」には、"キ"て"ミ"て"カ"ってという意味が込められており、当初カードには、商店街のマスコットキャラクターの"ホチュベエ"(各通りの名称の頭文字から命名)をプリントしていた。現在"ホチュベエ"はカードには使用していないが、街路灯のペナントやチラシなどに登場している。
 同カードは商店街界隈では1世帯当たり1枚以上有し普及しているが、稼働率が低いのが悩み。ポイントカードの使い方がお客に浸透していないため理解を深めてもらう一方、ポイントを多く貯めるという意欲の向上をはかることが課題という。「そのため、加盟店を示すペナントやポスターなど目に見えるものから整備徹底させるなど、カード事業は商店街全体の事業という姿勢を打ち出していく必要がある」と中村理事長は話す。
 

▼カードの使用促進が目標

 現在組合員200店舗中売り出しに参加するのは150店舗で、そのうち80店舗がポイントキミカに加盟している。これを100店舗に増やすこと、お客にカードをスニーカー感覚で扱えるものと認識させ、「現在25%の稼働率を50%にしたい」と、カード使用を促すことを目標に取り組んでいる。
 ポイントキミカについては、本当にやる気のある店だけでやった方が得策であり、やる気のない店を無理に加盟させる必要はないと考えている。また、「現加盟店に対しても、ポイントを発行すればそれだけで売上が上がると考えずに、あくまでもポイント発行事業はお客様の流出防止であり、囲い込みである点や、この事業によって得た情報を各店でうまく活用することによって、売上にも貢献できる点などの理解を徹底させていかなければならない」とも話す。その一環として、青年層に商店街の役員をさせたり、毎月"オニオン"というニュース誌を組合員向けに発行することで、組合員の意識向上にも努めている。
 

▼将来的にはデビットにも対応

 「現端末機は、デビットカードにも対応できるので、若手役員がデビットの研修を受けています。また、将来、宅配システムや高齢化にも対応できるよう、ソフト・ハード両面の充実した街づくりを目指しています」と中村理事長は抱負を語る。
 消費者本位のありがたいサービスを打ち出していく荏原町商店街。これからも、ますますそのファンを増やしていくことだろう。
 



 
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