静岡県掛川市

住民参加の街づくりを推進

 


 掛川市は、東海道五十三次の日坂宿、掛川宿の2つの宿場町、掛川城を中心に形成された城下町として発展してきた都市である。現在も東海道新幹線、東海道線、国道1号線、東名高速道路のインターチェンジ等、交通の要衝としてエコポリスなどの企業誘致にインセンティブを発揮している。

▼日本初の生涯学習都市宣言

 1979年、同市では市制25周年を記念し、全国に先駆けて「生涯学習都市宣言」を行った。これは、「生涯学習市民、選択的定住民の育成が街の活性化には不可欠」との観点から、生涯学習社会への変革の必要性を訴えたもので、@住むに値する都市、A頼るに値する社会、B信ずるに値する未来、C公平・公正・安心な地域・都市システム、の構築を目的としている。さらに、90年には、「地球・美徳・徳育」都市宣言を行うとともに、生涯学習10カ年計画パートUを開始し、生涯学習運動のより一層の深化推進を図っている。
 また91年3月には、土地利用をコントロールすることが街づくりのベースであるとの考えから、@公共性に基づいて適正に利用することが大切であるという土地に関する生涯学習のすすめ、Aスプロール化の防止と開発・保全を並行共存させる土地利用の推進、B住民主体の「街づくり計画」の策定、「五共益五良質」体制(地権者、周辺住民・自治区、開発ゼネコン、誘致企業、掛川市の五者がともに益し、ともに良質である体制)による適正な土地利用、を目的とした「生涯学習まちづくり土地条例」を制定した。

▼市民募金で住民財産

 こうした取り組みによる大きな成果として挙げられるのが「新幹線掛川駅」(写真)「掛川城」の建設で、住民財産の価値を高めるという観点から、行政主導ではなく、住民の参画を得て、官民一体となった取り組みを行ったことにその特徴がある。どちらも市民募金を原資に建築が行われており、施設に対する愛着、街づくりの方向づけ、といった波及効果を生んだ。
 88年に誕生した新幹線掛川駅は、市民募金30億円を原資に総額136億円で建設された。南北駅前広場に100本植えられた街路樹、駅構内に周辺市町村の特産物を販売する物産販売店「これっしか処」の運営、新幹線駅として唯一第三セクターの鉄道が分岐しているなど、様々な特色を備えている。
 また、94年に再興された掛川城は、日本初の天守閣木造本格復元を成し遂げたこともあり、オープン以来3年間で100万人の登城客を集め、観光の目玉として成功を収めている。これをきっかけに中心市街地を市の活力の中心であり続けようという気運が高まり、現在、建物や景観デザインを統一した城下町風の街づくりが進められている。

▼住民主体の街づくりシステム

 同市の街づくりのポイントは、「生涯学習運動=街づくり・人づくり」という観点から、住民に分かりやすく、かつ住民参加を求めたフラットなシステムを構築したことにある。現在でも、住民主体の街づくりを推進するために、自治区の役員など地域の世話人を市民総代として市政運営の中に位置付ける「市民総代システム」により、地区集会、中央集会を繰り返し、住民意見・要望の吸い上げやアイデア交流を展開するなど、あらゆる行政の施策分野おいて住民の主体的な参加を求めた街づくりが進められている。



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