(日本商工会議所の月刊誌「石垣」99年4月号より)

 

那覇市国際通り商店街(沖縄県・那覇市)

観光に特化し“奇跡の1マイル”復活を

那覇市国際通り商店街振興組合連合会
那覇市久茂地3−29−73
理事長 浦崎 政克

◎ポイント
・1万人のエイサー踊り隊
・グレードアップ委員会の設置
・店舗の4割が観光土産品店

        

 空港から車で10分ほどに位置する全長約1.6kmの国際通り商店街は、第2次世界大戦後に形成された商店街だ。戦争で廃墟となった那覇市の中でいち早く復興へと歩み、1952(昭和27)年にはアメリカの新聞記者から「奇跡の1マイル」と評された。しかし、沖縄を代表する商店街に発展した国際通りも平成に入り、郊外型大型店の出店等によりその繁栄に陰りが見えはじめている。「奇跡の1マイルを復活させたいんです」と語る浦崎政克理事長に、新たな街づくりのポイントを伺った。

▼観光客に快適な歩行空間を整備

 「国際通りは観光客が主流。土産品店だけの組織を立ち上げ、大型店との差別化を図ることによって、観光客向けの商店街として成長していきたいのです」と、浦崎理事長は商店街の将来像語り始めた。沖縄の観光客は年々増加し、最近では370〜400万人が訪れる。それに伴い国際通り商店街のテナントも、4割以上が土産品店となっている。「国際通りは、家賃が高いことからそのほとんどがテナントです。住民向けの商売では採算に合わないことから、土産物店のテナントが増えていったのです」と浦崎理事長は商店街の実態をこう語った。同商店街では、今後、国のシンボルロード整備事業を利用して、歩道の拡幅、ポケットパークの設置等、歩行空間の整備が進むことになっている。また最近では、家賃の比較的安い裏道に、若者のデザイナーショップが進出しており、「こうしたベンチャー精神もうまく取り入れたい」と浦崎理事長は話す。

▼交通体系の整備が課題

 商店街を歩くと、1日の歩行者数は約2万人だが、何よりも常に渋滞している車の数に驚かされる。1日に国際通りを通過するバスは2000台を数えるという。「この渋滞解消が課題の一つです」と浦崎理事長は語る。国際通りでは、電線の地中化や歩行空間の充実に向け「グレードアップ委員会」を組織、毎週木曜日に定期的な会合を重ねてきた。車を締め出すと人も少なくなるという発想から、これまで交通問題はタブー視されてきた。しかし、商店街にとって本当に大切なことは魅力ある国際通りの復活であるとして、交通問題も検討課題であるとの認識に至った。「数年後には那覇市内を走るモノレールが開通するので、国際通りの交通体系を見直す時期に来ていると思います。国際通りに電気自動車のようなトランジットモールを走らせることも視野に入れて交通問題を考えていきたい」と浦崎理事長は語る。

▼1万人のエイサー踊り

 国際通りでは、毎年8月に「1万人のエイサー踊り」というイベントを行っている。郊外型大型店の進出等で危機感を覚えた商店街の若手グループが中心となり、1995年から始めたものである。7000人ほどの踊り手が沖縄県各地から集まり、「エイサー」という念仏踊りを踊る。「エイサーは沖縄各地で古来継承されてきた沖縄独特の伝統芸能で、各地域で振り付け等に微妙な違いがあり、地域毎に団結し互いに競い合うことで、地域活性化と連帯意識の向上が図れます」と浦崎理事長。
 当日は、10数万人の来街者であふれ、セールやコンサート等のミニイベントも開催される。イベントの経済効果は、当日の飲食部門の売上が伸びるだけで収支的には赤字だが、「国際通り」を認知してくれる効果は大きいという。このイベントは、企画・制作・実施に至るまでプロに頼ることなく、商店街経営者の手で事業に取り組んでいる。

▼商店街づくりではなく街づくりを

 国際通りは4商店街の集合体で、さらに平和通り商店街、市場本通街といった商店街が近接し、中心市街地を構成している。「今まで、隣の商店街がイベントをやる当日までそのことを知らないケースもあり、横の連絡が取れていませんでした。街づくりは面で考えなければ効果があがりません。このことからも、商工会議所には各商店街間の調整役をお願いしたい。これからは、商店街をどう活性化していくかを考えるのではなく、街をどう活性化するかを考えていかなければならないのです」。商売のしやすい街づくりではなく、お客様が喜ぶ街づくりをしたいと語る浦崎理事長は、“奇跡の1マイル復活へ向けてスタートを切った。                                                                                  

 



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