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【最新海外事情レポート】訪日オーストラリア人の取り込み(オーストラリア)

 ▼オーストラリア人の休暇取得

   オーストラリア人はAnnual Leave(年休、年間20日)をしっかりと取得する傾向が強い。自分の時間や家族との時間を大切にするお国柄であることも要因であるが、Fair Work法(日本の労働基準法に相当)の規定により、未取得の年休が消滅することなく無制限に繰り越されることも大きな要因であろう。繰り越された年休は退職時に払い出す必要があり、年休を大量に繰り越されることは会社にとって負債となるため、会社側も休暇取得を奨励する。

 

   このため、関係先の担当者から「明日から1か月不在にする」等の連絡を受けることは珍しくない。また、オーストラリアは先進国の中でも給与水準が高く、物価も高いため、比較的物価の安い外国へ長期の旅行に行く人も多い。

 

▼旅行者の特徴

   前述のとおり、オーストラリアは長期休暇を取得しやすい労働環境であるため、旅行先での滞在期間も長い傾向にあり、観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、オーストラリア人の平均宿泊日数は13.3泊となっている。また、一人当たりの平均消費額は約245,000円で全体トップとなっている。

 

   滞在期間が長いこともあり、消費の内訳は宿泊・飲食・交通・娯楽等サービス費の割合が高く、モノよりもコトの消費に重点が置かれていることが特徴的だ(資料1参照)。

 


▼オーストラリア人の訪日動向

   JNTO(日本政府観光局)の発表によると、日本を訪れるオーストラリア人は年々増加傾向にあり、2018年は過去最高の55万人超(前年比11.6%増)を記録した(資料2参照)。2017年9月にJALが成田-メルボルン便を就航し、今年9月にはANAが成田-パース便を就航した。来年3月には羽田空港発着のオーストラリア方面の枠が4枠拡大されることも発表JALANA、カンタス航空、ヴァージンオーストラリアが各1便)され、選択肢が増えることで利用者の利便性も向上する。また、便数が増えることで運賃の値下がりを予想する声もあり、今後も訪日オーストラリア人は堅調に増えることが予想されている。

 

 

▼中小企業のビジネスチャンス

   和食や着物、盆栽、アニメ、日本式の旅館など、様々な日本文化を「クール」ととらえているリピーター(日本ファン)も多く、筆者の知人にも毎年日本に旅行しているという人が何人かいる。東京・京都・北海道(スキー)といった定番の訪問先だけでなく、穴場のスキー場や秘境の温泉、日本の伝統文化の体験などを目的とする人も増えていると聞く。

 

   一方、最大のネックになるのが言葉の問題である。多くのオーストラリア人はインターネットで旅行先の情報を得ているが、英語対応でなければ検索にかかることもできない。現在訪日外国人客が多くない宿泊施設やレジャー施設、飲食店等でも、英語対応のHPSNSリーフレット等を作成することで、滞在期間が長く消費額も大きいオーストラリア人需要を取り込むチャンスは広がるだろう。

 

    資金や人材の不足で海外進出・海外投資が困難な中小企業であっても「内なる国際化」は実現可能な目標となり得るのではないか。

 

                                                   (シドニー日本商工会議所 事務局長 原田 芳明)