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【海外最新事情レポート】商工会議所について及び会員企業がマレーシアを選んだ理由について(マレーシア)

≪商工会議所について≫

 まず私共マレーシア日本人商工会議所(通称:JACTIM)は、当時のマハティール首相と中曽根首相の間で合意後、マレーシア国際貿易産業省認可にて1983年(昭和58年)に設立され、来年には設立40周年を迎える。

 

 設立当時の総会時に、初代会頭である松本会頭(味の素)は、「昨今のルックイースト政策とも相まってマレーシア政府当局からの日本企業の期待は一段と高まり日本の経済システムの導入など、われわれ日本企業とマレーシアの係わりは益々深くなりつつある。一方、新経済政策の進展に関連してブミプトラ化(民族間における経済地位格差の是正)促進に伴う諸問題等われわれの直面する問題も複雑多岐に亘る。これらは一進出企業の枠内ではとうてい取り扱えない」と発言している。

 

 この発言を背景としたJACTIMの設立意義は、現在も本質的には同様であり、当時の設立趣意書にもある「政府の政策について民間の立場から協力すべきは協力し無用な誤解等あればこれを避けるための必要な努力を行う」ということであり、2022年度総会のおり児島会頭からの運営基本方針説明にあった「会員企業の衆知を集める運営を運営基本方針として、会員企業のビジネス支援や政策要望を着実に展開する」ということである。

 

 設立時の趣意書や本年度の基本方針、そして日本の商工会議所法においても、地域の意見に傾聴し纏め大きな声をあげていくことは、ひいては商工会議所の最も重要かつ地域唯一のビジネスモデルでもある。今後もその先達の思いは常に忠実に肝に銘じていきたい。

 

 

≪日本企業が当地を選ぶ理由≫

 そのためにも、常に輪を大きくしていくことは我々の最大の命題であり、会員企業とともにマレーシアの魅力についても語り続けていきたい。一部会員企業の生声を下に記す。

▶まず社会全体で、親日的かつ安全であり、国民が英語を話し、天然災害も少ない。

国内の多くの産業が諸外国への輸出に取り組んでおり、東南アジアのなかでも有数の輸出大国であるため、人口規模以上に産業

 の需要は大きい。

2021年末のマレーシアへの対内直接投資残高の統計では、日本は第3位であり、特に今迄の累計製造業投資額においては日本

 が最大の投資国になっており、日本企業のプレゼンスと信頼は極めて高い。

 

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▲累積製造業投資額としては日本が一位(MIDA資料)

 

石油・ガス等の豊富な資源を持ち、アジアの中ではエネルギーコスト、土地、オフィス賃料なども比較的安価。

中華系・インド系も多く存在する非常に穏やかなイスラム教国として、バングラ・パキスタン・中東各国へのゲートウェイとし

 ての役割も魅力の一つ。

特に、食品分野において、日本からマレーシアへの農林水産物・食品輸出額は、コロナ禍でも堅調に拡大しており、日本企業に

 よる小売店へのハラルコーナーの設置や、ハラル商品の現地生産によりムスリムを中心とした中間層獲得を目指す動きも数多く

 見られる。コロナ過で、EC市場・フードデリバリー市場も拡大。

 

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▲増加する日本産農林水産物(JACTIM撮影)

 

 

 上記の様に、多種多様な魅力があるマレーシアであるが、JACTIMでは当所設立当初より、当地の日本国大使館、JETRO、JAMECA/MAJECAなどと様々な関連機関と一丸となって日本企業をサポートする体制も構築している。

 

 当地マレーシアは、新型コロナウイルスのエンデミック(風土病)段階への移行に伴い本年4月1日より国境を再開し、他国と比較しても極めて早い段階で外国人投資家に入国を認めた国でもある。現在続々と投資家や観光客が入国しており、当地の様々なビジネスチャンスを日本に所在する企業においてもいち早く掴んでいただきたいと願う。

 

(マレーシア日本人商工会議所 事務局長 田中 大輔)