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【海外最新事情レポート】整備進むバンコクの都市交通インフラ ~都市鉄道「レッドライン」の開通~(バンコク)

 皆様は、バンコクの交通事情と言えば、「渋滞」をイメージされる方も多いのではないだろうか。とくに雨季の時期になると「車が全然動かなかった」「歩いて10分の距離が車で1時間かかった」などといった話をしばしば耳にする。

 

 バンコクの発展とともに過密化が進んできたことに伴い、1990年代から都市内の渋滞解消などを目的とする都市鉄道の開発に目が向けられるようになり、中心部では高架鉄道や地下鉄が開通し運行されている(コロナ前は多くの乗客が利用していたが、現在は感染拡大防止の観点から乗車人数は少ない)。

 

 現在、バンコクでは周辺部や隣県へ向かう郊外路線の整備が進められており、今後5~6年の間に様々な路線の開通が予定されている。そこで本稿では、今年8月に開通した新たな都市鉄道「レッドライン」を紹介したい。

 今回開通した総延長約41kmの都市鉄道レッドラインは、バンスー中央駅をターミナル駅として、約26kmのダークレッドライン(バンスー・ランシット間)と、約15kmのライドレッドライン(バンスー・タリンチャン間)という2つの路線によって構成される鉄道であり、タイ国鉄が主体となって建設及び計画を進めてきた路線である。このうち「ダークレッドライン」については、日本のODAによる支援が行われており、その内容は、バンスー中央駅の駅舎建設や日本企業が製造した車輛や電気システム等の納入、運用トレーニングの実施などであり、まさに日タイ友好・協力の象徴となる路線と言える。

 

 とくに、今回開通したダークレッドラインは、地上を走る現行の国鉄線に並行して高架化された路線をして建設されており、バンコクのドンムアン空港(かつてのバンコクの基幹空港。現在はLCCが運行する国内線や国際線が就航)を経由していることから、これまで同空港へのアクセスは、主にバスかタクシーであったバンコク住民や旅行客にとって待望の路線である(現在の基幹空港であるスワンナプーム国際空港には、鉄道は乗り入れている)。筆者も実際に乗車してみたが、日本で製造された車両が高架線路を高速で疾走する様子は、さながら日本の大都市を走る電車に乗っている感覚である。

 今後、既存の路線も活用しつつ、世界遺産や工業団地のある古都アユタヤ方面への延伸も計画されており、出張や観光などにおいて、更なる利便性が向上するものと期待される。

 

 将来、バンコクを訪れた際には、日本の大都市のように様々な場所へ都市鉄道に乗って気軽に足を運べるようになり、バンコクで悩まされている渋滞は、「過去の出来事」として取り上げる時代になってほしいものである。

 

写真1.jpg                  ▲バンスー中央駅に停車するレッドラインの日本製車両

 

 

         写真2.jpg        写真3.jpg

 

 

        ▲8月から11月までは、無料で乗車が可能      ▲車内の様子。椅子は固いプラスチック

        (バンコクの新規開通区間ではよく行われ      製だが、それ以外は一見、日本国内の車両

        ており、新路線の宣伝や乗務員のオペレー      と変わらない。

        ション習得を目的としている)。改札には

        QRコードが記された紙が貼られており、

        乗車の際にスマートフォンで読み取ると、

        乗車駅と降車駅を入力するサイトにつなが

        る。これに利用者が入力することで、利用

        客の需要ニーズの調査などを行っている。

 

    (バンコク日本人商工会議所 事務局長 坂本 直樹)