トップページ > 国際関連情報(中小企業国際化支援ナビゲーター) > 【海外最新事情レポート】日越両国関係とCOVID-19下におけるベトナム(ハノイ)

国際関連情報(中小企業国際化支援ナビゲーター)

【海外最新事情レポート】日越両国関係とCOVID-19下におけるベトナム(ハノイ)

日越両国関係

 日越両国関係と言えば、多くの方は、古くはベトちゃんドクちゃん、最近では、ベトナム人技能実習生のことを思い浮かべる方が多いだろう。日本で働く外国人172万人の内、ベトナム人が44万人を占め、最も多い国となっている。中国との領有権問題等で、安全保障上も歩調が合い、共産圏の中では珍しく、日本の戦略的パートナーとして互恵関係にある。昨年10月には菅首相就任後の外遊先として、安部前首相と同様に、ベトナムが最初の国となった。

 

 日越両国関係の歴史は古い。8世紀に遣唐使として唐の国へ留学した阿倍仲麻呂は、唐王朝の官吏となり、当時、唐の支配下におかれていたベトナム北中部を治める安南都護府(現在のハノイ市)の長官として派遣された。

 

 その後、ベトナムは10世紀に独立国となり、13世紀には蒙古がベトナムに進攻したが、チャン・フン・ダオ(TRAN HUNG DAO)将軍率いるベトナム軍が蒙古軍に壊滅的な打撃を与えたことで、蒙古は日本への3回目の進軍ができなくなり、日本が救われたとも言われている。ベトナムではチャン・フン・ダオ将軍はベトナムを救った英雄の一人として、現在でも、ハノイ市内には、同将軍の名前を冠した通りが存在している。

 

「チャン・フン・ダオ将軍の名前の付いた通り」.JPGチャン・フン・ダオ将軍の名前の付いた通り

 

 17世紀には、朱印船貿易の相手国として一番取引が多かったのがベトナムとされている。ベトナムからの輸入品は主に生糸であり、日本の貿易量の約半数を占めたと言われている。

 

 第2次世界大戦中には、日本軍は、フランス領となっていたベトナムに進駐し、終戦まで実質的支配下に置いた。大戦後、ベトナムはフランスからの独立戦争となり、残留した元日本兵や軍属600名程度がベトナム軍への支援を行った。

 

新型コロナウイルス下におけるベトナム

 新型コロナウイルス(以下「コロナ」)に対して、ベトナムは、いち早く水際対策を強化し、感染拡大の兆候があれば、素早く対象地域をロックダウンし、感染源を追跡・特定、隔離を徹底することで、抑え込みに成功してきた。コロナ抑え込みに成功した国として、オーストラリア、台湾、ニュージーランドといった国が取り上げられることが多いが、ベトナムはこれらの国々とは違い、国境線は地続きの3か国と接し、人口も1億人近くと多いにも関わらず、累計感染者数8,580名、死者53名(2021年6月6日現在)と、オーストラリア(30,173名、910名)、台湾(10,956名、224名)、ニュージーランド(2,682名、26名)と同等の実績となっている。

 

 市中感染者が発生したら、厳しい社会隔離を行い、完全に抑え込めた後は、大胆に、経済・社会生活を平常に戻すというメリハリの付いた対策を行った結果、2020年は、経済成長率2.91%を実現している。

 

 一方で、2021年4月下旬からベトナムでは感染の第4波が拡大している。バクニン省(首都=ハノイ市から北東に40キロ)やバクザン省(首都から北東に120キロ)において日本企業の工場からもクラスターが発生し、ハノイを含む北中部全域に感染が広がっている。バクザン・バクニン省では多い日には1日で300名を超える感染者が出ており、省内の全ての工場の操業が禁止された。両省とも日本企業を含む外国企業が多く工場進出をしており、自動車や電子機器などグローバルなサプライチェーンに影響が出始めている。こうした事態を受け、弊所では、両省政府に対して、工場操業再開のための条件の明確化や条件の緩和を要望した結果、両省政府から条件の明示や緩和条件を示されているが、まだ十分なものではなく、引き続き予断を許さない状況である(6月6日現在)。

 

 また、ベトナムでのワクチン接種は遅れており、現状の接種率はベトナム政府が接種対象とする7,500万人の内1%に留まっている。今後、より感染力の高いコロナが次々と発生した場合、いままでの対策では十分に機能しなくなるリスクがあり、コロナ感染対策と、経済発展の両輪を目標とするベトナム政府としては、工場がクラスターにより停止するような事態を防ぐためにも、計画を前倒してワクチンを確保する必要性に迫られている。こうした中、日本政府が外国への直接のワクチン提供先として、台湾に次いでベトナムにも支援を表明したことは、在越日本社会にとって朗報である。

 

 

 (ベトナム日本商工会議所 事務局長 八田 城之介)