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【最新海外事情レポート】シンガポール日本商工会議所におけるコロナウイルスの状況・取り組み(シンガポール)

シンガポールは、東南アジアにある小さな都市国家で、東京23区と同程度の国土(約720㎢)に人口約569万人(2020年データ)を擁する。外国人が多く、人口のうち、シンガポール国籍を持つ人は62%程度であり、多様な人種が混在する国際色豊かな国である。2019年に公開された映画『名探偵コナン 紺青の拳』の舞台でもあり、マリーナベイサンズやマーライオンを思い浮かべる方も多いのではないだろうか。

シンガポールにおいても周辺国同様にコロナウイルスの影響は非常に大きく、国境を超える移動の規制や部分的ロックダウンの実施などは、経済を停滞させ、大きな爪痕を残している。同国のこれまでの状況とシンガポール日本商工会議所(JCCI)の取り組みについて紹介したい。

 

<シンガポールのコロナウイルスの状況・取り組み>

シンガポールでは、1月23日に初めて中国人の感染者を確認してから、国内での感染の広がりをうけて大規模イベントの禁止、入国制限など様々な対策が講じられた。しかし、2月末には100名だった感染者数は、4月1日に1,000名を超えることとなり、さらなる対策強化策として、4月7日から、学校や大半の職場の閉鎖、不要不急の外出禁止を含む部分的なロックダウン「サーキットブレーカー(CB)」が発動された。CBは6月1日まで約2か月間に及び、政府の承認なしには、職場での勤務ができなくなるなど、感染を封じ込めるために強い措置が取られたが、建設現場などで働く外国人労働者用の寮を中心とした感染拡大が防げず、感染者数は4月17日に5,000名、22日に10,000名、5月6日には20,000名を超えることとなった。

 CB解除後からは、5人以下での会食が解禁となり学校が再開され、6月中旬からは、日本から赴任等の長期滞在を目的とした渡航ができるようになるなど、徐々に規制が緩和され、9月には日本との間で短期での商用渡航を目的とした“ビジネス・トラック”が開始された。感染者数は9月30日の数値では、合計57,765名と発表されているが、うち約95%が外国人労働者用の寮の居住者であり、市中での感染はあまり広がっていないと認識している。

 

 シンガポール実質GDP成長率

 

 現在、他国同様にマスク着用の義務化、入国者への防疫措置、感染者との接触確認アプリの配布などが行われているが、加えて、オフィスビルやショッピングモール等への入館時には、体温チェックや“Safe Entry”というシステムを活用した入館情報の登録などが課されている。入館の度に手間はかかるが、徹底的に取り組んできたからこそ、感染者数が抑えられてきているのだと感じている。

 

Safe Entryの画面.jpgSafe Entryの登録画面

 

入館チェック(体温・Safe Entry).jpg体温とSafe Entryの登録確認を入館時にチェックされる

 

<シンガポール日本商工会議所(JCCI)の状況・取り組み>

JCCI事務局も在宅勤務を余儀なくされ、結果として2か月半ほど、ほぼ出勤をせず在宅勤務を行った。当初は多少、混乱もあったが、思いのほか、インターネット環境さえあれば業務は行えるもので、むしろ、感染リスクを抑え、通勤も不要で、家族との時間が増えることを、好意的に捉える事務局員も多かったのではないだろうか。ただ、一つ残念なことは、長期間、職場が閉鎖されたことで、オフィス中、カビが繁殖してしまったことである。久しぶりに座ろうとした私の椅子は、まるで粉砂糖が振りかけられたかのようにうっすらと白くなっていた。

JCCIの活動はほぼ全てオンライン化し、セミナーや情報交換会、会員同士のPRイベントをZOOMTeamsなどで実施するほか、各会員企業の取り組みや課題についてアンケートを行い、会員企業の動向を把握するとともに、他の会員企業の対応について情報提供を行ってきた。また、大使館、ジェトロと連携したビジネス相談窓口の設置や、対面での面談が制限される中で新規でのビジネス開拓が行えない、という会員企業の要望に応え、当地で販路を持つ会員企業とのマッチング事業なども実施している。セミナーなどはオンライン化することで、これまでより参加者数が大幅に増え、バンコク、ジャカルタ、マレーシアとつないだセミナーなどは各地の日本商工会議所の協力もあり、900名近くが参加した。またマッチング事業では、会員企業からの紹介を受けた日本の中小企業からの申し込みが多数あり、従来のような自由な往来が行えない環境下でJCCIに求められる役割も変わりつつあると感じさせられた。

 会員各社においても、長期での在宅勤務を経て、駐在員の役割や当地に拠点を置く意義について見直す動きが少なからずとも出ており、今後、規制の緩和に伴って従来の活動を再開させることに加え、“ニューノーマル”に対応したJCCI活動を実施してくことになるだろう。

 

(シンガポール日本商工会議所 事務局長 清水 僚介)