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【最新海外事情レポート】新型コロナ禍でのカンボジア日本人商工会(JBAC)の取組(カンボジア)

 他のASEAN諸国同様に、カンボジアでも3月以降Covid-19の影響が出始めた。しかし、ロックダウン、外出規制などされず、その後も感染が広がることはなく、5月半ばには終息した。累計感染者は8月26日現在、273名に留まっている。5月半ば以降も新たな感染者は増えているが、全て海外から戻ってきたカンボジア人や、入国規制が緩い外交官等を含む新たに入国した外国人だ。感染者の検査体制、医療体制などに課題はあるものの、カンボジアは最も新型コロナの影響が少なかった国の一つだろう。

 

 そのような中で、在カンボジア日系企業の動向、カンボジア日本人商工会(JBAC)の取り組みを紹介したい。

 

カンボジアの新型コロナの影響

 3月以降、小学校から大学まで全ての学校が閉鎖され休校、劇場・博物館・映画館・ジム・スポーツ施設などに閉鎖命令が出された。しかし、レストラン、スーパー、ショッピングモール、オフィス等は閉鎖命令もなく通常営業。我々も、何日か試しにテレワークをしたこと以外は、毎日オフィスに出勤していた。恐らく普通に出勤していたのはASEAN諸国ではカンボジアだけではないだろうか?在留邦人の間では、感染者数が少なすぎ、検査が出来ていないだけ、政府が感染を把握していないだけで危険があるのではと心配もあった。しかし、5月に4週間以上新規感染者が出なかったことから、医療関係者からは国内感染は終息したとの意見が出され多くの在留邦人はホッとした。

 

 しかし、カンボジアでも経済、産業への悪影響は大きかった。製造業では海外からの注文の停止や大幅な減少が生じた。労働集約型の製造業が多いため、感染防止のため生産ラインの間引き、人員配置の修正で、生産性に大きな影響があった。飲食・サービス業・小売業も4~5月は大幅に客が減り、ジム・バーなどは閉鎖命令があり大きな影響があった。カンボジアにとって大きな外貨獲得手段である観光業は壊滅的な打撃を受けた。

 

 また日本に一時退避した駐在員や日本人幹部がいたこと、4月中旬のクメール正月休暇は、時期未定のまま急遽延期になり(その後8/17~21に延期された)、多くの会員企業でオペレーションの見直しや余計なコストが生じるなど事業運営上大きな影響があった。

 

カンボジア日本人商工会(JBAC)の取組

 そのような中JBACでは、3月下旬に会員企業に対し、駐在員、現地採用日本人スタッフ、帯同家族の「一時退避のアンケート」を取り、会員企業動向の把握と共に、判断に迷っている他の会員企業に参考となる情報提供をした。

 

 また、4月末から5月上旬にかけて、全会員企業に対し「新型コロナの影響アンケート」を取った。事業運営の状況、課題、資金繰り、日本人駐在員の動向を把握すると共に、日本政府・カンボジア政府への要望等を聴取した。その中で一時退避帰国した駐在員等の再入国、労働関連通達等による労働者の扱いについて、課題と改善要望が多く寄せられた。

 

 そのためJBACでは、日本大使へ会員日系企業の事業状況と課題の説明、相手国政府への改善申入れの是非を相談した。そして、JBAC会長と事務局長にて、各関連省庁等に対し、日系企業の事業動向の説明とともに改善に向けた要請を行った。

 

カンボジア郵政情報通信大臣と協議する宮尾事務局長(ジェトロプノンペン所長).jpgカンボジア郵政情報通信大臣と協議する宮尾事務局長(ジェトロプノンペン所長)

 

 特に駐在員、技術者、帯同家族の入国規制や入国時の扱いの改善は、関係省庁の閣僚や幹部のみならず、影響力のある経済財政省長官やカンボジア縫製業協会(GMAC)会長などにも働きかけを行った。5月半ばには空港周辺に立地する衛生状態の悪い空軍基地に入国者は隔離されていたこと6月には入国デポジット3千㌦等を要求されていたものが、8月上旬になり条件を満たす法人等の従業員等の入国については、デポジットを免除されつつ、隔離先に高級ホテルを選ぶことが出来るなど、改善されていった。

 

 コロナ禍における唐突な労働関連通達に対応しきれない日系企業の課題について、労働省長官と直接面談し解決法を探った。日系企業はこの厳しい時期にも解雇を極力せずに、従業員を家族のように扱っていることを強調し、真摯に検討、対応してもらうことが出来た。

 

カンボジア商工会議所会頭と協議するJBAC神田会長.jpgカンボジア商工会議所会頭と協議するJBAC神田会長

 

 また、長らく運休していた日本との直行便について、日系コミュニティの利用希望・再開要望が強く、日本人会、ジェトロなどと共に、再開の働き掛け(署名活動、ビデオ作製等)も行ってきた。その効果もあったからなのか、日本との直行便再開に向けて動き始めている。

 

 コロナ禍で在カンボジア日系企業は相変わらず厳しい状況にあるが、JBACは大使館、JICA、ジェトロ、日本人会などと連携し、少しでも日系企業活動の改善につながるよう尽力している。

 

カンボジア商業大臣、貿易支援局長等との面談後の記念撮影.jpgカンボジア商業大臣、貿易支援局長等との面談後の記念撮影

 

(カンボジア日本人商工会 事務局長 宮尾 正浩)