第17代 日本商工会議所会頭 山口 信夫
「健康な日本」のさらなる飛躍に向けて 〜自助・自立の精神で、勇気と積極性をもとう〜 (会頭再任にあたっての所信)
|
1.はじめに |
これからも激しく変化する国際経済社会の中で、「健康な日本」のさらなる飛躍に向けて取り組むにあたり、その基本的な考え方は特に次の4つであります。
第1は、人口減少に歯止めをかけたいということです。人口が減少して栄えた国はありません。 日本商工会議所は、この問題を今年の夏季政策アピールで提起したところ、大きな反響を得ました。そこで「健康な日本」をめざす具体策の第1として、この問題に真正面から取り組み、単に政策提言するだけでなく、出産・子育てにやさしい経済社会をつくることを、我々の運動として積極的に進めていくこととしました。また、企業としてできることを自ら実行していくことは、企業の社会的責任でもあると言えましょう。 若者たちが安心して子供をつくり、その子供たちをたくましく育て、この国の新たな担い手とすることに誇りを持つような国にしていくことが何よりも重要であります。 第2は、活力があり、誇りをもてるようなまちづくりを進めるということであります。 今、国と地方の役割が見直されていますが、これを契機に、それぞれの地域がユニークで、独自の個性を持つようになることが求められています。しかし、現状は中心市街地の空洞化問題や地場産業の低迷などの難問が山積しています。 そのためにはまず、事業を相続する若者が希望をもてるような事業承継税制の確立や、大型店との共生問題などを解決し、さらには他地域に出た若者も戻ってきて親のつくった事業を受け継ぎ、自らの力で事業をさらに発展させ、その地域に住む人が誇りをもてるようなまちづくりを積極的に推進していきたいと思っています。 これによって、地域の大事な文化や歴史が守られ、高齢者にもやさしい街に戻り、「健康な日本」の裾野が次々と広がるきっかけになるでしょう。 第3は、勇気をもって創業や企業革新を志すビジネスリーダーを積極的に発掘・支援していくということであります。 日本経済の活性化のためには、企業再生だけでなく、一方で新たな産業や新たな市場をつくり出すことが不可欠であることは言うまでもありません。 日本商工会議所では、各地商工会議所との共催により、創業塾や、経営革新・新事業展開を支援する第二創業セミナーを全国で実施しておりますが、引き続き強力に支援してまいります。また、既に一部の商工会議所では、勇気をもって事業の創造を実現している中小企業経営者を顕彰しています。このような取り組みが全国に広がって、革新的でスピードを重視するビジネスリーダーの多くの発掘につながり、その人たちが核になって、「健康な日本」の担い手となってもらうことが重要であると考えます。 第4は、商工会議所のさらなる活性化と、組織・財政基盤の強化であります。 率直に申し上げて、いま、商工会議所は長い歴史に安住して改革の気概を失っている部分があるのではないかという危惧を覚えます。そこで、「健康な日本」をさらに飛躍させる中心的な存在になるために、商工会議所はどうすればいいのか、ということを原点に立ち返って再確認し、行動に移していかなければなりません。 私は就任以来、できる限り全国各地を訪問するとともに、会頭・ 副会頭会議や議員総会の活性化、他団体との連携強化などをはかってまいりました。今後は、さらにまちづくりや中小企業施策をはじめとする政策提言力とその実現力を高めていきたいと思います。 そして、これらを実効あらしめるためには、組織の強化・拡大と、財政基盤の確立が大事であります。そのため、私は皆さんとともに力を合わせ、魅力ある商工会議所づくりに励み、なお一層信頼される日本商工会議所となるよう全力をあげて努力する所存であります。 以 上 平成16年11月18日 |
「健康な日本」の創造〜行動しよう、乗り越えよう、明るい未来へ〜 (会頭就任にあたっての所信) |