02.06.28 カナナスキス・サミットに対するコメント


   
 今回のサミットは、議長国の意向で首脳同士の率直な意見交換を重視するものとなった。形式主義を排し、世界のリーダーが膝を交えて率直に意見を交わすことができたのは評価できる。政治の側面では、グローバル化の進展がもたらす歪みをいかに是正するかが大きな課題だが、今回のサミットでアフリカ諸国支援のための行動計画について合意ができたのは一歩前進と受け止めている。また、テロの撲滅について、先進国が共同歩調をとることを確認できたのも歓迎できる。さらに、ロシアがG8に完全参加することになったのも、世界の平和と安定に向けた枠組みを一層強固なものにするのに寄与しよう。
 一方、現実の経済は、米国経済の先行き懸念からドル安が急進し、世界同時株安という緊急事態の下でのサミットとなった。これにどう対応するかが注目された。今回は一貫して政治優先の首脳会議であったため、経済については各国の利害を背景に十分な議論が行われなかったのはやや残念である。今後とも、市場の信頼回復に向け、各国が協調を図り、経済危機の回避に努めてほしい。
 また、小泉総理が説明した「骨太の方針・第2弾」について、参加国からは一定の理解が得られたようだが、日本の景気回復の筋道はまだ見えていない。サミットでシリアスな議論にならなかったからといって安心してはならない。真に国際的な責任を果たそうとするなら、まずデフレの脱却に全力を挙げ、景気浮揚のための経済政策にも軸足を十分に置いて、一日も早く景気を着実な回復軌道に乗せるべきである。

以上



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