ゼロ金利政策解除の決定について

 今回の日銀の決定は大変残念であり、甚だ遺憾である。ゼロ金利政策は確かに緊急避難的措置ではあるが、同時に景気浮揚策の柱であり、自律回復がはっきりと見えてこない現状では、その役割を終えたかどうかを判断するには根拠が乏しいと思う。
 日銀の独立性を確保すべきという意見にはもとより異論はないが、金融政策については、そもそも政府の経済政策の基本方針との整合性を確保すべきことが日銀法で明記されている。日銀は解除した後も引き続き緩和基調を維持すると言っているが、政策転換のメッセージ効果は決して小さくない。長期金利や株価、為替相場の反応がどう出るのか、心配な要素が増えたと言えるだろう。
 景気は全体としては回復基調にあるのは間違いないが、依然として高い失業率など雇用不安は払拭されておらず、先行き不安が消費を抑制している状況に変りはない。デフレ圧力はまだ根強いというのが実感である。日本商工会議所が毎月実施しているLOBO(早期景気観測)調査によれば、全産業合計の業況DIのマイナス幅が最近2カ月連続で拡大し、しかも先行きの見通しも厳しいとの結果が出ており、中小企業の景況感は楽観できない状況が続いている。こうした微妙な局面を迎えているいまは、ゼロ金利を解除する状況にはない。金利負担増は特に中小企業の経営を圧迫し、景気回復にとってはブレーキとなる懸念を否定できない。

                                 

以 上
                                 



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