「大型店問題に関するアンケート調査」の集計結果について

平成9年5月12日
日本商工会議所
 日本商工会議所(会頭:稲葉興作)は12日、「大型店問題に関するアンケート調査」集計結果をとりまとめた。
 この調査は、今年度に予定されている大店法の見直し審議が本格化するのに先立ち、2月下旬から3月上旬にかけて全国の515商工会議所を対象に、最近の各地における大型店の立地状況、大型店出店による影響、今後の出店規制のあり方など大型店問題全般について、アンケートを行ったもので、384商工会議所から回答を得た(回答率は74.6%)。
 集計結果からは、近年の大店法の規制緩和によって、特に郊外立地の大型店の出店が増加しており、これらが地域商店街の衰退や空き店舗の増加など都市中心部の空洞化の大きな原因となっていること、また、各地域では、大型店出店に対する規制は現行程度の水準を維持すべきであり、現行大店法における調整権限の都道府県への委任を一層進めるべき等の意見が多いことが明らかになった(集計結果のポイントは別紙)。
 日商としては大店法の見直し問題について、今後、本調査結果、及び、4月17日に発表した「地域間競争下における街づくりと商店街の活性化に関する提言」(※)の趣旨を踏まえて対応していく予定。

(※)
 「地域間競争下における街づくりと商店街の活性化に関する提言」では、「大型店問題への対応」「地域をあげた街づくりの推進」「都市中心部における人口の増加策」など、総合的な提案を行っているが、大型店問題についての内容の要点は次の通り。

  1. 大店法の規制緩和はその目的を十分達成している一方、空き店舗の増加等、都市中心部の空洞化をもたらしているため、これ以上の規制緩和は避け、現行法の枠の中で弊害の除去に努めることが重要。
  2. 近年の大型店問題は経済的規制の範囲を超えているため、地域環境への悪影響がないことの証明等を出店届出の要件とし、地方自治体による事前協議手続きの制度化も大いに検討すべき。
  3. 地方自治体の裁量の余地を拡大するため、第二種大型店の店舗面積の引き上げも検討すべき。
  4. 大店法の運用面からは、地元の街づくり努力へ一層配慮し、地元意見をさらに尊重されたい。
【本件問い合わせ先】
日本商工会議所 流通部
中山・高橋  電話03−3283−7840

【集計結果のポイント】

  1. 大型店の出店増加による地域への影響
    「既存商店街の客足減少や売上減少」(93.5%)、「転廃業が増え空き店舗が増加」(87.5%)、「商店街が衰退し高齢者・身障者等に不便」(50.8%)、「街づくり推進に支障」(48.4%)、「交通渋滞の激化」(43.5%)など、大型店出店の増加による地域へのマイナス面の影響が多くとりあげられた(複数回答)。

  2. 今後の大型店出店に対する規制のあり方

    (1)「大型店出店に対する規制の水準を現行程度に維持すべき」とするのが6割以上(236地域、61.5%)、「規制を強化すべき」とするのが約3割(114地域、29.7%)と多数を占め、「規制の緩和もやむを得ない」(7.6%)、「規制を緩和すべき」(0.8%)等は少数に止まった。

    (2)また、「規制を強化すべき」とする114地域からは、その強化すべき事項として「店舗面積」(70.2%)が多くあげられ、以下、「閉店時刻」(37.7%)、「休業日数」(35.1%)の順(複数回答)。さらに、規制強化の方法としては、「総合的な街づくりの観点に立った新規立法による規制」(38.6%)、「大店法に加え地方自治体による規制」(35.1%)の指摘が多い。

  3. 現行大店法における調整権限の都道府県への権限委任
    「現行大店法における調整権限を全面的に都道府県に委任すべき」とするのがほぼ半数(50.1%)、「委任の程度は現行通り」が約4割(38.2%)を占めた。

  4. 現行大店法の運用上の問題点
    「大店審の結審理由の開示が不十分」(60.2%)を筆頭に、「大店審審議に街づくり努力や意見集約結果が活かされない」などの事項が多く指摘された(複数回答)。
【参考:大型店出店の現状】
  1. 回答を得た384地域に立地している大型店は、平成6年から8年にかけて、店舗数で1,907店(増加率で14.9%)、店舗面積では、6,323千u(同17.7%)と各々大きく増加している。

  2. この3年間の地域の小売店全体に占める大型店のシェアの変化を見ると、店舗数で0.2ポイント、店舗面積では5.5ポイント拡大しており、平成8年の店舗面積シェアは全国合計で5割以上(52.0%)に達している。店舗面積シェアの大きい地域は東京近郊に多く、シェアが9割程度になっているケースもある。

  3. 平成8年時点の大型店の立地タイプを見ると、店舗数では中心部立地が4分の1(25.5%)に対して、郊外立地は半分以上(54.7%)、店舗面積でも郊外立地が43.9%と中心部立地の36.2%を上回っており、郊外型の大型店が多くなっている。

  4. 平成8年の1年間に、都市中心部の衰退や大型店同士の過当競争の結果等により大型店の撤退・閉鎖があったとする地域は150地域、回答全体の約4割で、撤退・閉鎖店舗数の合計は278店、1地域当たり1.9店になる。回答の中には1年間に8店もの撤退・閉鎖があったとする地域もある。

「大型店問題に関するアンケート調査」の集計結果について

平成9年5月12日
日本商工会議所
◎調査期間等
  • 調査期間:平成9年2月20日〜3月10日
  • 調査対象:全国515商工会議所
  • 調査方法:アンケート方式

◎回収状況

  • 回答商工会議所数:384地域
  • 回収率:74.6%

◎集計結果【( )内は回答地域数・〔 〕内は回答全体に占める割合】

  • 大店法の規制緩和に伴う大型店の出店増加による地域への影響について
    (5つまでの複数回答、上位10位まで)

    1. 商店街の客足が減り、売上げも減少した(359)〔93.5%〕
    2. 小売業者の転廃業が増加し商店街に空き店舗が増えた(336)〔87.5%〕
    3. 商店街が衰退し商店街を利用する高齢者・身障者等に不便を及ぼしている(195)〔50.8%〕
    4. 地元の街づくりの推進に支障を来している(186)〔48.4%〕
    5. 大型店利用客の車の増加で周辺地域の交通渋滞が激しくなった(167)〔43.5%〕
    6. 車の利用者には買い物が便利になった(150)〔39.0%〕
    7. 消費選択の幅が拡がり、余暇時間が充実するなど消費者利便が向上した(103)〔26.8%〕
    8. 新しい商業集積づくりに寄与している(44)〔11.5%〕
    9. 青少年の溜まり場となり教育上好ましくない影響が見られる(40)〔10.4%〕
      地域における雇用が増加した(40)〔10.4%〕

  • 大店法による規制を含め今後の大型店出店に対する規制のあり方について

    1. 規制のあり方
        @規制の水準を現行程度に維持すべきである(236)〔61.5%〕
        A規制を強化すべきである(114)〔29.7%〕
        B諸般の情勢から規制の緩和もやむを得ない(29)〔 7.6%〕
        C規制を緩和すべきである(3)〔 0.8%〕
        D規制を撤廃すべきである(2)〔 0.5%〕

    2. 前項1.のA「規制を強化すべきである」と回答した114地域のみについて

      A.規制を強化すべき事項(選択数は任意の複数回答)
       @店舗面積(80)〔70.2%〕   
       A閉店時刻(43)〔37.7%〕
       B休業日数(40)〔35.1%〕   
       C開店日 (15)〔13.2%〕
       Dその他 (32)〔28.1%〕
          

      B.規制強化の方法
       @総合的な街づくりの観点に立った新規立法による規制を強化する(44) 〔38.6%〕
       A大店法の規制に加え、地方自治体による規制を行う(40)〔35.1%〕
       B運用強化を含め、大店法による規制を強化する(27)〔23.7%〕
       Cその他(3)〔 2.6%〕

  • 地方分権の観点から、大店法における調整権限に関する国から都道府県への委任の程度について

    @大店法による調整権限を全面的に都道府県に委任すべきである(112)〔50.1%〕
    A委任の程度は現行通りでよい(84)〔38.2%〕
    B国から都道府県に調整を委任されている第2種大型店[注]の店舗面積を引き上げ、委任される部分を拡大すべきである(14)〔6.4%〕
    Cその他(8)〔3.6%〕
    ※無回答(2)
    [注]第2種大型店:店舗面積500u超3,000u未満(東京都特別区、政令指定都市は6,000u未満)の店舗

  • 現行大店法の運用において問題と思われる点(5つまでの複数回答、5割以上の回答項目)

    @大店審の結審理由の開示が不十分であり、とくに、大店審審議結果が地元意見と乖離した場合の理由説明が不十分(227)〔60.2%〕
    A商工会議所意見の提出期限が2週間以内では短い[注1](220)〔58.4%〕
    B大店審審議に地域の「街づくり努力」が配慮されない(216)〔57.3%〕
    C大店審審議に意見集約結果[注2]が尊重されない(213)〔56.5%〕

    [注1]大店法第7条に基づく商工会議所意見は、大店審または都道府県大店審が商工会議所に対して意見照会を行った日から2週間以内に提出することとされている。

    [注2]大店法第7条の規定により、大店審は消費者等の意見の聴取をした上で、さらに必要があると認める場合に、商工会議所に対し地元の消費者等の意見の聴取・集約を依頼する。依頼された商工会議所が事務局となって、地域の小売業者、消費者及び学識経験者で構成する意見集約会議を開催して意見の集約を行い、その結果を書面で大店審に提出することとされている。

    (参 考)大型店出店の現状

    (1)大型店の店舗数等
      ※大型店は回答商工会議所の属する行政区域に立地するもので第1・2種の合計。
      ※店舗数シェア、店舗面積シェアは各々市内小売店の合計に占める割合。
    平成6年末平成8年末増  減
    ○店舗数12,813店14,720店+1,907店(+14.9%)
    ○店舗数シェア1.4%1.6%+0.2ポイント
    ○店舗面積35,677千u 42,000千u+6,323千u(+17.7%)
    ○店舗面積シェア46.5%52.0%+5.5ポイント

    [注]

    • 第1種大型店…店舗面積3,000u以上(東京都特別区及び政令指定都市は6,000u以上)の店舗
       
    • 第2種大型店…店舗面積 500u超3,000u未満(東京都特別区及び政令指定都市は 500u超6,000u未満)の店舗
    • 店舗面積…商店が商品を販売するために実際に使用している延べ床面積のこと。ただし、牛乳、自動車、畳の各小売業、ガソリンスタンド及び新聞小売業を除く。大店法上の店舗面積は、店舗内の通路など小売業者が他の小売業者と共用している部分を除いた面積。なお、商業統計上は「売場面積」と称される。

    @大型店の店舗数シェアが大きい地域(平成8年末時点)
     渋川(4.2%)  北見(4.0%)  小牧(3.9%)  長井(3.5%)  登別(3.4%)  江南・箕面・防府(3.3%)

    A大型店の店舗面積シェアが大きい地域(平成8年末時点)
     多摩(89.3%)  厚木(88.3%)  立川(81.4%)  千葉(77.2%)  江南(76.5%)  
     むさし府中(74.8%)  町田(74.2%)  伊予(74.2%)  成田(73.7%)  高砂(73.3%)

    (2)大型店の立地タイプ(平成8年末時点)
    ※中心部と郊外のタイプ分けは回答商工会議所の判断による。

    @店舗数
    中心部立地 3,755店( 25.5%)
    郊外立地8,050店( 54.7%)
    不 明2,915店( 19.8%)
    合 計14,720店(100.0%)

    A店舗面積
    中心部立地15,219千u( 36.2%)
    郊外立地18,449千u( 43.9%)
    不 明8,332千u( 19.8%)
    合 計42,000千u(100.0%)

    (3)平成8年1年間に撤退・閉鎖した大型店

    @撤退・閉鎖の有無

    • 「ある」と回答した地域は150地域(40.8%)
      「ある」とする150地域の店舗数合計は278店、1地域当たりでは平均1.9店
    • 「ない」と回答した地域は218地域(59.2%)

    A大型店の撤退・閉鎖が多い地域
     仙台・西宮(8店)  広島・防府(6店)  上越・太田・町田(5店)
     秋田・宇都宮・成田・岡崎・四日市・宇部(4店)



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