街づくり促進に関する提言 =市民コンセンサスを踏まえた中心市街地の再構築に向けて=
平成13年3月22日
※提言の概要はこちらです(PDF形式)。
【街づくりの必要性・重要性】 少子高齢化の急進、モータリゼーションの進展に伴う公共施設・住宅や大型店の郊外立地の増加、地球環境問題への関心の高まりなど、地域を取り巻く社会経済環境は大きく変化している。また、近年では地域間競争の激化、地方財政のひっ迫なども加わり、多くの地域で中心市街地の衰退・空洞化が進み、中心部人口の減少、空き店舗の増加、大型店の撤退などが顕著である。 【街づくりの現状】 3法制定から3年目を迎え、各地におけるTMO(タウンマネージメント機関)の設立、大店立地法の運用開始、都市計画法の抜本改正、等々の動きが続いている。また、高齢者・環境対応など身近な生活ニーズに応える多様な活性化事業の広がり、市民出資による街づくり組織の設立、さらに、独自の観点からの「街づくり条例」の制定など、多様な事例が出てきている。 【今後の方向】 街づくりは長期・継続的に進めていくもので、拙速に結果を求めるべきではないと考えるが、上記の状況を踏まえ、街づくりを運動としてさらに盛り上げていくためには、街づくり3法が一体的に運用されること、政府・地方公共団体による支援策が拡充されること等に加え、行政機関や関係団体等のみならず市民全体が街づくりの重要性について考えを共有することが不可欠である。
記
◆政府・地方公共団体に対する要望 T.中心市街地活性化問題への対応 1.中心市街地活性化対策の一層の推進 (1)中心市街地居住の促進等 高齢化などの社会環境の変化に対応して、中心市街地の居住環境の面的な整備を進め、「コンパクトで、歩いて暮らせる街」を実現されたい。また、都市型産業の振興等による職住一致を促進して中心市街地居住者の増加を図ることが重要であり、中心市街地において次の施策が実現されるよう配慮されたい。
(2)都市型産業、及び都市型観光の振興 中心市街地におけるITを活用したSOHOやインキュベーション施設の設置・運営、また、ファッション、ソフトウェア等、地域特性を踏まえた都市型産業の振興を図られたい。 (3)「中心市街地活性化モデル都市制度」(仮称)の創設 関係8府省庁の中心市街地活性化対策の拡充を図るとともに、公募方式によって中心市街地を選び関係府省庁が数年間にわたり集中的な支援を行なう「中心市街地活性化モデル都市制度」(仮称)を創設されたい。
2.TMOなど街づくり組織の運営への支援等 (1)TMOの財政基盤の確立、及び人材の確保・育成に対する支援 TMOが継続的に事業を行っていくためには財政基盤の確立と、人材の確保・育成が重要であり、次の施策が実現するよう配慮されたい。 (財政基盤の確立)
(人材の確保・育成)
(2)市民参加型街づくり組織に対する支援 TMOに加えて、市民の自発的な出資等による多様な街づくり組織が、各々の地域事情に応じて設立されることが予想されるが、それら組織の立ち上げ・運営についても支援を行なわれたい。 (3)街づくりの事例紹介等 TMOをはじめ、市民・団体・NPOなどが参加する多様な街づくりの方法や事例、さらに、街づくりに関する市町村やTMOの役割分担例をガイドラインとして示されたい。
U.大型店問題への対応 (1)地域事情に沿った大店立地法の運用の確保 地域事情に沿った大店立地法の運用が厳正に行なわれるべきであり、政府は法運用主体である都道府県・政令指定都市、及び大型店設置者に対し、機会ある毎に、中心市街地活性化などの街づくりへの配慮を謳った「大店立地法指針」における基本的配慮事項の趣旨を徹底されたい。また、都道府県等の意見・勧告について、大型店の開業後の遵守状況をフォローすることも重要である。 (2)大型店撤退への対応 中心市街地からの大型店撤退に伴う地域経済への影響の大きさに鑑み、政府は大型店側に対し、撤退が回避できない場合、相当の時間的余裕を持った事前通告、撤退後の施設活用等に関する協議など、撤退の影響を最小限に抑えるための最大限の努力を行うよう強力に要請されたい。
V.総合的な土地利用規制の確立 (1)改正都市計画法の活用 政府は、改正都市計画法(平成10・12年)の改正内容を積極的にPRするとともに、「特別用途地区」「特定用途制限地域」「準都市計画区域」等の活用促進を地方公共団体に対して要請されたい。また、「土地利用に関する総合的枠組みのあり方についての検討」「情報提供や専門家育成などの地方公共団体への支援」等、国会の附帯決議の趣旨の実現に一層努められたい。 (2)「都市・農村計画法」(仮称)の創設 各種の土地利用規制がタテ割り的に存在することが無秩序な郊外開発を招き、空洞化をもたらす原因の一つと考えられるため、都市と農村を通じた土地利用に関する総合的な法体系「都市・農村計画法」(仮称)の創設を検討されたい。 (3)「関係省庁連絡協議会」(仮称)の設置等 自由民主党「日本経済を活性化し中小企業を育てる会」の「大規模店舗と共存問題分科会報告書」(平成12年4月)で提言されたように、政府は、「土地利用と街づくりに関する関係省庁連絡協議会」(仮称)を早急に設置するとともに、地方公共団体に対し、土地利用規制に関するタテ割り行政の回避について要請を行なわれたい。 (4)国土利用計画法に基づく委任条例の創設 比較的規制が緩いために無秩序に開発されやすい地域を対象に、市町村が国土利用計画法の委任を根拠とし、土地利用規制を行なうことができる条例を制度化されたい。
◆商工会議所・商店街等の取り組みに対する提言 T.中心市街地活性化問題への対応 1.TMO事業の推進等 (1)身の丈に合ったTMO事業等の推進 地域の主体性、自己責任を基本としつつ、中心市街地活性化法の一層の活用を進めていく必要がある。特にTMO事業等については地域特性・継続性・採算性に留意し、空き店舗対策やイベントなどのソフト事業を柱に、身の丈に合ったものとすることも検討されたい。 (2)市民参加型街づくり組織との連携強化等 街づくり組織の形態は地域ニーズによって異なると考えられ、また、現実に多様な組織が生まれている。商工会議所等は、日頃から市民・住民団体等との連携を強めるとともに、条件が整えば、市民出資等による市民参加型組織の立ち上げ・運営を積極的に支援することが望ましい。 (3)大学など地域の教育・研究機関との連携強化 地域にある大学等教育機関との連携を強め、それらの人材・機能などを街づくりに活かすことが有効と考えられる。このため、空き店舗等を場とした生涯学習講座や各種フィールドワーク、起業支援、産学連携などを呼びかけていく必要がある。また、地域の大学等に対し、地域問題に関する学科の新・増設について働きかけることも考えられる。
2.「生活総合サービス業」「コミュニティ・ビジネス」の促進 地域においては、商工会議所、TMO、商業者、住民、高齢者、学生など様々な主体を担い手とし、多様かつ複合的な活性化事業が誕生している。これらは「生活総合サービス業」、あるいは「コミュニティ・ビジネス」の性格を有し、ビジネスとボランティア、アミューズメントと社会貢献活動等々が混在し、将来に向かって地域が取り組むべき一つの方向を示しているとも考えられる。民間サイドでこうした動きを加速・拡大していくことが、中心市街地活性化をはじめとする街づくりには有効と考えられ、特に次の事業が各地域において複合的に実施されるよう支援していく必要がある。
U.大型店問題への対応 (1)大店立地法の個別案件・運用問題への積極的対応 個別案件や法律運用について、街づくりの観点に立って積極的に意見を述べていくほか、個別案件の届出内容の通知・周知や、個別案件を扱う審議機関の設置、当該機関への関係者の参加等について要望を行っていくことが期待される。また、地域によっては、都道府県等の意見・勧告について、大型店の開業後の遵守状況のフォローも考えられる。 (2)地域事情に沿った独自手続きの制定 大店立地法対象外の店舗等の立地について、中心市街地活性化などの街づくりとの関係や地域ニーズに沿って条例・要綱の制定を要望していくことが考えられる。
V.総合的な土地利用規制の確立 大型集客施設の立地の可否など、街づくりの基本的条件としての土地利用規制の重要性を再認識することが重要である。このため、改正都市計画法の活用や街づくり条例の制定等について積極的な検討を行なうとともに、実現のためのコンセンサス形成活動や、地方公共団体に対する要望活動を行うことが期待される。
|