確定給付企業年金法〈仮称〉に関する要望


平成13年2月15日
日 本 商 工 会 議 所
東 京 商 工 会 議 所


 現在検討されている確定給付企業年金法〈仮称〉は、企業年金制度における受給権確保の明確化と各企業年金制度間のルール・税制・支援策の共通化・公平化とともに、現在企業年金制度を持っている企業において将来にわたる安定的な制度の維持を図るものでなければならない。
 したがって、確定給付企業年金法〈仮称〉の内容及びその運用にあたっては、労使合意のもとでの柔軟な制度とするとともに、制度設立や運用、現行制度からの移行を行うにあたり基準を必要最低限にとどめ、事務処理や情報開示の面で過度な負担とならぬよう、下記の事項に最大限の配慮を願いたい。
 また、現行の適格退職年金を持つ中小企業においては、厳しい運用環境による積立不足解消の資金手当てに加えて、財政再計算等に係るコスト負担の増大が懸念されるため、企業年金制度そのものを廃止せざるを得なくなるおそれがある。経営破綻した企業や労使合意により制度を解散した企業における年金資産の個々人への配分と他の年金制度等への移管に関しては、中小企業の実情に充分配慮されたい。
なお、厳しい状況にある企業年金の受け皿の一つとして、中小企業も導入しやすい確定拠出型の年金制度の創設が期待されており、確定拠出年金法案の早期成立を強く求めるところである。




 1.特別法人税の廃止

 企業や個人の拠出金の積立・運用時非課税、給付時課税を原則とし、とくに現在、時限措置として適用が停止されている企業年金に係る特別法人税は絶対に廃止すべきである。また、企業の拠出は損金算入、個人の拠出は、給与所得控除とされたい。


 2.支払保証制度の導入反対  企業年金は私的年金であり、自己責任が強く求められるので、財政検証・ディスクロージャーなどを徹底することが必要である。また、運用・給付事務の受託金融機関等についても情報開示を徹底し、経営の健全性や運用実績の比較などが中小企業にも容易にできるよう、環境整備を進めるべきである。
 支払保証制度は、破綻企業への一種の所得移転となってしまうとモラルハザードが懸念されると同時に、健全な企業年金にとっては際限なくコスト負担増になる恐れがあるので、絶対反対である。 

 3.企業年金の財政計算に要するコスト負担の抑制について  中小企業の企業年金管理は、財政検証も含めて預託先の金融機関に一任されており、税理士も新しい退職給付会計についてまだ十分には対応できていないのが実情である。新しい企業年金では財政再計算を年金数理の専門家に依頼する必要が生じるため、運営管理コストの増大が懸念される。
 したがって、財政再計算の簡易な基準については、企業年金の運用コスト抑制のため、専門家の手をわずらわせずに簡便な数式計算によるなど具体的な方法を提示すべきである。また、その適用対象となる企業規模は、少なくとも単独設立の厚生年金基金の設立要件である500人を基準とされたい。

 4.厚生年金基金の代行部分返上について     厚生年金基金の加入者数の半分を占める総合型は、数多くの中小企業が加入しており、代行部分の負担が個別企業に重くなっていることから、代行部分の返上にあたっての返還金額は、解散時と同様の最低責任準備金同等額とし、現物など金融証券市場にあまり影響を与えないような方法での返還を認めるべきである。なお、代行返上を選択する場合の具体的要件や手続きの内容を早急に明確化されたい。

 5.受託者責任について     中小企業の場合、一般的に年金専任の管理運営者がいない場合が多く、専門知識や十分検討する時間的余裕も無いため、委託金融機関の破綻などの際に素早い対応は難しい。このため、受託者責任の行為準則を明確化するにあたっては、中小企業の実情に十分配慮されたい。    

以 上


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