全国商工会議所役員・議員大会 決議


平成13年11月20日
日 本 商 工 会 議 所


 わが国経済は、極めて深刻な状況にあり、加えて、アメリカの同時多発テロにより、世界同時不況を招く懸念が高まりつつある。
 「聖域なき構造改革」の断行は、日本経済を再び持続的成長路線に戻すために不可欠であることは十分認識しており、商工会議所としても構造改革を率先して推進する気概をもって支援していきたいと考えている。しかしながら、現下の深刻な経済情勢の下、財政再建を優先させるならば、景気はますます落ち込み、不良債権が増加し、構造改革の推進は困難になるとともに、苦境の中、懸命に経営努力を続ける意欲ある中小企業まで存続の危機に追い込み、結果として、日本経済のダイナミズムを喪失しかねない。
 このため、小泉総理大臣の政策方針である構造改革を成功に導くためにも、わが国経済社会における中小企業の重要性に鑑み、中小企業が厳しい経済環境を克服し、活力ある成長発展を遂げるよう、大胆な景気対策の追加等、下記の措置の実現に国を挙げて取り組まれるよう強く要望する。


1.構造改革の円滑化に資し、かつ、マイナス成長を回避するための大胆な景気対策の追加等

 少なくとも平成14年度はマイナス成長とならないよう、大胆な景気対策の追加等を内容とする第二次補正予算の編成に可及的速やかに着手すること。具体的には、ブロードバンド化に対応した情報通信インフラ、地方の個性ある活性化や都市再生に資する交通インフラの整備など、その使途を十分吟味し、当面の景気浮揚にも効果的で、かつ将来の日本経済の活力強化に役立つ分野への大胆かつ重点的な投資が必要であり、来年度予算とあわせた15カ月予算の考え方に立って所要の措置を講ずること。
 さらには、こうした投資のほかにも景気浮揚効果がある政策減税などを実施すること。


2.中小企業対策の拡充・強化等 (1)中小企業セーフティネット対策の拡充・強化等
 今回の補正予算において、中小企業のための貸付制度や信用保証制度などの金融面でのセーフティネット対策が盛り込まれたが、不良債権処理にあたっては、健全な中小企業が連鎖倒産に巻き込まれるなど、不当な影響を受けることがないよう、今後とも、中小企業金融について、特段の配慮をすること。
 また、現在、特殊法人改革の一環として、政府系中小企業金融機関も含めた抜本的な見直しが検討されているが、融資環境が厳しさを増していることから、中小企業に対する公的金融サービス機能が低下するような見直しは、当面行うべきではない。
 なお、来年4月に迫ったペイオフ解禁は、平成11年の年末に延長が決定された時より経済情勢はさらに悪化しているため、引き続き慎重な対応が必要である。
(2)創業・経営革新支援策の充実
 厳しい経済環境の中で、困難を切り開く新事業への挑戦により、力強い中小企業群を創生させることが、構造改革後の日本の飛躍の基礎となるため、創業を積極的に支援するとともに、創業者融資制度の創設・拡充、また創業を希望する者や経営革新を図る中小企業者を対象に行う、能力開発支援やマッチング支援等の事業を推進すること。

3.税制問題 (1)法人事業税の外形標準課税導入に絶対反対
 法人事業税への賃金等を課税標準とする外形標準課税の導入は、何よりも雇用の維持・創出に重大な影響を与えることは明白である。賃金等を課税標準とする外形標準課税の導入は到底受け入れられない。これは、産業界の総意である。
(2)新たな事業承継税制の確立等
 中小企業の後継者の4割は、代替わりを契機に、新分野への進出、「第二創業」を行うなど、生き残りをかけて努力しているが、依然として相続税負担は重く、「事業体」の継続・発展の大きな障害となっている。
 このため、事業の用に供している土地・建物や機械設備、未上場自社株等の「事業用資産」に対する相続税については、諸外国の例に見られるように、少なくとも、例えば、5年程度の事業継続を前提に、課税対象額の5割を控除するといった新たな制度を創設し、中小企業の事業用資産に対する包括的な事業承継税制の確立を図ること。
 また、取引相場のない株式の評価方法の一層の改善や、相続税の最高税率の引き下げを含めた、税率全体の引き下げや累進構造を緩和すること。
(3)中小企業関係税制の一層の改善
 同族会社の留保金課税制度を全面的に廃止すること。「中小企業投資促進税制」及び「中小企業技術基盤強化税制」については、来年3月となっている現在の適用期限を延長すること。
(4)ベンチャー・新規創業支援のための税制措置の拡充等
 ストックオプション税制要件の拡大などベンチャー・新規創業支援のための税制措置や、資産デフレ対策としての土地の有効活用と流動化を促進するための税制措置の拡充、民間住宅投資の促進など、税制面等の環境整備を図ること。

4.地域特性を活かした街づくりの推進等  TMO(タウンマネージメント機関)の運営に対する支援など、中心市街地・商店街活性化対策を一層推進すること。また、超高齢時代に対応した「ユニバーサル・デザイン」の考え方に基づく街づくりや、TMO・商店街等による地域密着型の生活サービス提供事業である「コミュニティ・ビジネス」の振興を促進すること。
5.医療制度の抜本的改革  政府は平成14年度医療改正にあたり、医療保険の破綻を一刻も早く防止し、高質な医療サービスを実現するため、新たな高齢者医療制度の創設、医療費の適正化、医療提供体制の見直し、保険者機能の強化の抜本的な改革に取り組むこと。
6.地球温暖化問題への対応  京都議定書は日本にとって著しく不公平な負担を強いるものであり、加えて米国が参加しないままの枠組みでは温暖化防止の効果も半減するため、京都議定書の目指す温室効果ガス排出量の削減目標の実現は大いに危惧される。いずれにしろ、京都議定書によるわが国の削減目標を達成しようというのであれば、その履行義務が国民生活や経済に及ぼす影響について、正確な情報を広く提供・説明し、国民が十分理解のうえ納得のいく枠組みおよび方法を選択すべきである。
 産業界は温室効果ガス削減の努力を惜しむつもりはないが、温室効果ガスの排出量削減のために安易な規制や課税の強化などを採用することは、構造改革の趣旨にも反することであり、政府はこれを厳に慎むべきである。

以 上


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