平成14年度 事業承継円滑化のための税制改正に
関する要望

平成13年9月19日
日本商工会議所
東京商工会議所

 わが国経済は、グローバル化の進展による競争激化、バブル経済崩壊の後遺症に加え、株価や地価の低迷による物価の下落や、米国景気低迷を主因とする輸出の減少等、非常に厳しい情勢となっている。
 こうした中、政府では、持続的な経済成長を目指して、「聖域なき構造改革」に取り組まれているが、その実現には、わが国企業の大多数を占める中小企業が、ダイナミズムの源泉として、創意工夫を生かして活躍し、経済の牽引車となることが不可欠である。
 このような継続事業体(ゴーイング・コンサーン)である中小企業が、長期にわたって事業を継続し、成長・発展する過程では、多くの場合、相続が発生する可能性は避けて通れないが、相続の発生により相続税という資金負担が求められ、事業継続の基盤が損なわれかねない。相続税負担やその準備としての資金手当てが、元来、キャッシュフローの余裕に乏しい中小企業経営を圧迫しているほか、近年の経済環境や金融情勢を背景に、納税のための追加的な資金の借入れが難しくなっているという現状も見られる。
 今後、わが国全体の高齢化がさらに進む中で、中小企業経営者の高齢化も進行していくことから、経営資源の有効活用をいかに図るか、事業体を毀損することなく、事業の継続・発展をいかに円滑に実現するかが、わが国経済の発展のためにも求められている。
 事業体の継続・発展という観点からは、経営革新に加え、事業の承継、さらに経営資源を活かした後継者による新規事業の展開(「第二創業」)等の方法があるが、多様で活力ある中小企業の継続・発展により、わが国経済の活性化と構造改革の着実な実現を図るためにも、現行の相続税・贈与税を見直し、事業用資産に対する新たな事業承継税制を確立していくことが必要である。このため、我々としては、来年度の税制改正にあたり、下記の事項の実現を要望する。



 1.事業用資産に対する包括的な事業承継税制の確立等

(1)事業用資産に対する包括的な事業承継税制の確立
 現在、個人事業主等に対して小規模事業用宅地の課税軽減措置が設けられている等、中小企業の事業承継円滑化のための手当てが一部なされている。こうした既存の措置のほか、事業用資産(事業の用に供している土地・建物および未上場自社株等)に対する相続税については、諸外国の例に見られるように、例えば、5年程度の事業の継続を前提に、課税対象額の5割を控除するといった新たな制度を創設し、中小企業の事業用資産に対する包括的な事業承継税制の確立を図るべきである。

(2)取引相場のない株式の評価等の更なる改善
 取引相場のない株式の評価については、平成12年度改正において、類似業種比準方式による評価方法が、より収益性を加味するものとなったことにより、一部の収益性の高い企業の株式評価額が改正前よりも上昇してしまうケースも見られる。こうしたことに鑑み、類似業種比準方式における大会社・中会社の株式評価に適用される減額率を小会社と同様に0.5とする等、取引相場のない株式の評価等について、更なる改善を図るべきである。
 また、納税資金が手当てできない場合の対応策として物納制度があるが、取引相場のない株式の物納について、買い戻し条件付きでなければ事実上認められない場合があることに鑑み見直しを行う等、運用基準を緩和・明確化すべきである。


 2.相続税・贈与税の税率構造の見直し  わが国の相続税の最高税率は、諸外国と比べて相当高い水準にあり、その引き下げの方向が示されたにもかかわらず、実施が先送りされている。また、税率構造についても、国際的に見て、極めて累進的であることから、経済活力の阻害要因となっている。このため、相続税と贈与税について、最高税率(現行70%)の50%への引き下げを含め、税率全体の引き下げおよび累進構造の緩和を図るべきである。

以 上


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