平成13年度 事業承継円滑化のための税制改正に
関する要望

平成12年9月20日
日本商工会議所
東京商工会議所

 (はじめに)
  わが国経済は、バブル崩壊から10年余が経過し、政府の経済対策など各種の政策の効果もあり、長く続いた低迷状態からようやく脱しつつある。しかし、失業率は依然として高水準のまま推移しており、雇用不安は払拭されておらず、先行き不安が消費を抑制しており、未だ景気回復を実感するには至っていない。
  今後わが国経済が本格的な回復軌道に乗るためには、企業の大多数を占める中小企業が、「わが国経済のダイナミズムの源泉」として、創意工夫を生かして活躍し、経済の牽引車となることが不可欠であり、事業の継続を通じて将来に渡りその活力を維持することが極めて重要である。
  しかしながら、現行の相続税の課税理念には、事業の承継という概念がなく、財産の承継という考え方となっているため、中小企業者の多くが、後継者への円滑な事業承継に腐心したり、経済フロンティアへ挑戦する事業意欲を喪失するなど、事業承継時の相続税負担が中小企業の活力維持への阻害要因となっている。また、中小企業の事業継続には、単に事業用財産だけでなく、経営者個人の信用や人脈、経営スキルなど経営上の諸要素が加味されることが特に重要である。
  以上の観点から、多様で活力ある中小企業の継続・発展を図り、21世紀における経済社会の新生を実現するためにも、現行の相続税・贈与税を見直し、新たな事業承継税制を確立していくことが必要である。
  こうしたことから我々としては、来年度の税制改正にあたり、下記の事項の実現を要望する。



 1.事業用資産に対する新たな事業承継税制の創設等

  事業用資産(個人事業主の事業用資産およびオーナー等の自社株等)に対する相続税については、相続時に課税総額の一定割合を納税したうえで、残額部分については、原則、営業譲渡または株式公開等までの間は利子税なしで課税を繰り延べ、例えば10年間事業を継続した場合には納税を免除する、といった新たな事業承継税制を創設すべきである。
  また、納税資金が手当てできない場合の対応策として物納制度があるが、土地・建物等の物納は事業の継続に直接影響を及ぼすことが多く、取引相場のない株式の物納について、柔軟に対応すべきである。


 2.相続税・贈与税の見直し   相続税と贈与税の最高税率を50%まで引き下げるとともに、税率の累進構造を緩和すべきである。また、贈与税については、昭和50年の改定以来60万円に据え置かれている基礎控除額を大幅に引き上げるべきである。

 3.取引相場のない株式の評価方法の更なる改善   平成12年度改正において、取引相場のない株式の評価方法が改定され、類似業種比準方式による評価方法が、より収益性を加味するものとなったことから、一部の収益性の高い企業については、株式の評価額が改定前よりも上昇してしまうケースも見られる。
  取引相場のない株式の評価にあたっては、類似業種比準方式における大会社・中会社の株式評価に適用されている斟酌率を小会社と同様に50%とすることや、中会社・小会社においても大会社と同様に、類似業種比準方式または純資産価額方式の選択適用を認めること等、更なる改善を図るべきである。 

以 上


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