「法人事業税への外形標準課税導入に重ねて反対する」
(中小企業関係4団体共同要望)


平 成 12 年 7 月 11 日
日 本 商 工 会 議 所
全 国 商 工 会 連 合 会
全国中小企業団体中央会
全国商店街振興組合連合会


  現在、政府税制調査会で示されている事業活動価値などの外形標準課税の導入には、別紙に掲げるように、企業の雇用や投資活動を抑制するほか、国境税調整が困難、国際的潮流に反する等、多くの問題点があることから、われわれ中小企業関係4団体は、かねてからその導入に反対を主張しているところである。
  しかしながら、東京都および大阪府での大手金融機関に対する外形標準課税導入を契機に、全国一律の形で早期導入すべきとの声が政府税制調査会や全国知事会を中心に高まっており、われわれ中小企業関係4団体は、極めて憂慮している。そのため、ここに重ねて外形標準課税の導入には絶対に反対である旨を表明する。
  また、赤字企業等への配慮として、現在の所得課税と併用することによって外形標準課税の負担感を軽減する考え方のあることが仄聞されるが、併用であっても担税力のない赤字法人等への課税強化は明らかであるほか、基準の併用は税制の複雑化をもたらし明らかな事務負担増になるなど、とても配慮とは言い難い。
  そもそも、地方自治体の財政安定化が外形標準課税を導入すべきとする理由の一つにあげられているが、最初に安定化ありきでは地方行政事務の合理化への努力に水を差し、本末転倒となりかねない。まずは納税者が納得できる行財政改革を徹底的に行うことが前提であり、安易に税制の見直しによる税収確保の方策を求めるべきではない。今後、景気回復が確実になった段階で、税の自然増収や行財政改革による経費節減効果を明らかにし、そのうえで、わが国税制の中長期的課題である直間比率の見直しを含めた税体系の抜本的見直しを行うなかで、国・地方を含めた総合的税体系の再構築を行うべきと考える。
  今後、仮に法人事業税への外形標準課税の導入が強行されるならば、われわれ中小企業関係4団体としては、将来における直間比率の見直しなどの抜本的な税制改革への協力が極めて困難になると言わざるを得ない。

以 上



別紙
外形標準課税の問題点

1.企業の雇用や投資活動を抑制

 投資のグローバル化の一層の進展によって生じる世界的な大競争時代に対応するためには、「雇用と投資」を拡大させる税制が必要である。賃金、固定資産等を課税標準に採用する外形標準課税は、企業の雇用や投資活動に抑制的に作用し、企業に固定費負担が重くのしかかるため、経済活力を削ぐ恐れがあるとともに、景気回復の足かせとなりかねない。


2.国境税調整が困難  国境税調整が難しく、国際競争力の低下をもたらすとともに、生産拠点の海外移転などわが国産業の空洞化を一層促進させる。それは、内外の企業にとって活動しやすい事業環境の整備を図ろうとする法人課税改革の基本理念と矛盾する。


3.国際的な潮流に逆行  外形標準課税は、ドイツやフランスでは企業の雇用や投資活動に抑制的に作用すること等から廃止や見直しの方向にあるとともに、外形標準課税の典型例として頻繁に引用される米国ミシガン州の単一事業税でさえ、経過措置を取りながら段階的に廃止されることとなった。
 これら諸外国の動向からも外形標準課税の導入は国際的潮流に反する。

4.納税・徴税コストの増大
 賃金や支払利子等の範囲・基準の取り方によっては、課税標準の確定等をめぐって企業と税務当局とのトラブルの発生が予想されるなど、徴税・納税コストが増大する恐れがあるとともに、結果として、企業間で税負担の不公平が生じかねない。


5.税負担の大幅な変動  原則として所得を課税標準とする現行制度から外形標準課税への切り換えは、業種や企業規模で税負担の大幅な変動が生じるおそれが極めて大きい。
 特に、付加価値や給与に対する課税は、労働集約的な業種や中小企業の税負担が増大することになる。


6.新規創業支援に逆行  ベンチャー企業など新規創業企業は、設立当初は所得がないのが通常であり、外形標準課税はそうした新規創業企業の税負担を増大させ、その成長・発展を阻害しかねない。これは、日本経済をけん引する新規創業企業を支援することで産業再生を図るという政府の方針に逆行する。


7.既存の税との関係が不明確  企業はすでに所得の有無に関わらず、行政サービスの対価として法人住民税均等割、固定資産税、事業所税等の外形課税的な税を負担しており、これら既存の税との関係性を整理することなく、法人事業税に外形標準課税を導入することは、納税者に対する説明責任を欠いている。           

以 上


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