平成11年12月16日
都市計画法の抜本改正の実現を求める
(まちづくり推進連絡協議会構成11団体)
日本商工会議所
全国商工会連合会
全国中小企業団体中央会
全国商店街振興組合連合会
協同組合連合会日本専門店会連盟
協同組合連合会日本商店連盟
全日本小売商団体連盟
社団法人日本ボランタリー・チェーン協会
協同組合全国共同店舗連盟
全日本商店街連合会
全国小売市場総連合会
地域の空洞化を克服するため、街づくりへの取り組みが重要課題となっており、街づくり促進には計画的な土地利用規制の制度整備が不可欠な条件である。今般、都市計画中央審議会(都計審)が、近年の経済・社会環境の変化に対応するため、土地利用規制の中核的役割を担う都市計画法の抜本改正も視野に入れた意欲的な検討を行っていることは、まさに時宜を得たものであり、その成果が大いに期待される。
空洞化に歯止めがかからない中で、仮にも、今回の抜本改正の内容が不十分なものに止まるならば、「都市型社会」への対応や「都市の再構築」を標榜した抜本改正の趣旨にもとることになり、都市計画区域外における開発や農地転用規定の利用など、規制の空白地帯を狙った無秩序な郊外開発が続き、地域が取り組む街づくりに重大な支障をきたすことが真剣に憂慮される。従って、都計審としては、空洞化の現状とその原因を再認識するとともに、実効性ある都市計画法の実現を目指し、「中間とりまとめ」において謳われた「都市計画区域の内外における大規模な建築物等についての届出制度の導入」など、「抜本」の名にふさわしい内容を備えた改正を検討されるよう、下記事項の実現を強く求める。
なお、我々が7月に提出した「総合的な土地利用規制の確立のための方策に関する要望」において指摘した通り、当面、都市計画法など土地利用に関する個別法の抜本改正を急ぐ必要があるが、中長期的には、空洞化問題の根本的な原因と考えられる各種の土地利用規制のタテ割り的な存在を改め、都市と農村を通じた総合的な法体系「都市・農村計画法」(仮称)の創設に向けた検討が望まれる。従って、今回の都市計画法の抜本改正もその一過程として捉えられるべきであり、引き続き、「計画なきところ開発なし」とする理念に基づく、政府が一体となった総合的な土地利用規制の確立を目指す必要がある。
記
| 1.広域的観点に立って「都道府県マスタープラン」を創設すること |
(1)現行の市町村マスタープランとは別に、都道府県全域をカバーする「都道府県マスタープラン」を創設することとし、その決定・変更に当たっては、住民・商工団体等の意見を反映させるために必要な措置を講ずること。併せて、関係市町村・都道府県の都計審からの意見聴取などの手続きを定めること。
(2)現行の市町村マスタープランは、地域住民等の意思に基づく都市計画づくりに資するものとしてその策定促進が図られるべきであるが、車社会の進展等によって市町村相互があらゆる面で影響し合っている今日、行政区域を越えた広域的な観点に立った調整が重要である。広域調整の機能が不十分なものであれば、自地域のみの都合で大規模集客施設を誘致して税収や雇用の増加等を図る、いわゆる「財政ゾーニング」が横行し、地域全体として膨大な不効率が生じる恐れが強い。このため、市町村マスタープラン相互の調整はもとより、都市計画区域外等との調整を図るため、都道府県マスタープランの創設が不可欠と考える。
(3)また、都道府県・市町村の各マスタープランには、各種の社会的課題に対する考え方を明記するとともに、同プランの決定・変更に住民や商工団体等の参画を促すため、制度の分かりやすさ、使いやすさに十分留意し、PRを徹底すること。
| 2.開発許可基準に「無秩序な郊外開発の抑制・中心市街地の再構築」の趣旨を盛り込むこと |
(1)開発許可の技術的基準に地域特性を反映させるため、地方公共団体が条例で基準を強化または付加できるようにすること。また、技術的基準のみならず、欧米諸国同様、成長管理的な考え方に立ち、開発許可基準に「無秩序な郊外開発の抑制・中心市街地の再構築」の趣旨を盛り込むこととし、中心市街地活性化法に基づく活性化計画・事業をはじめとする公的な開発計画・事業や都道府県・市町村マスタープランとの整合性、都市機能や用途地域など既成市街地における土地利用規制への影響等との整合性を図ること。
(2)開発許可の適用除外(地方公共団体等による開発や医療・福祉・教育施設等の開発、一定規模未満の開発)を廃止するとともに、現行の用途地域規制における店舗等の立地に関し、規模制限を免れるための複数分割による開発を不許可とすること。また、工場跡地を活用した開発についても厳格な開発許可を行うこと。
(3)市街化を抑制する区域としての「市街化調整区域」における開発許可の基準の緩和は、線引き制度の実効性を低下させる恐れが強いためこれを回避すること。なお、スプロール化の原因の一つとなっている「既存宅地の認定制度」を廃止すること。
都市計画区域外における大規模集客施設の立地など都市的土地利用が増大し、周辺地域の自然・社会・経済環境に影響を及ぼしている実態を踏まえ、市町村が機動的に「準都市計画区域」(仮称)を指定し、用途地域規制、開発許可制度が適用できる仕組みを創設すること。また、この場合の開発許可基準については「無秩序な郊外開発の抑制・中心市街地の再構築」の趣旨を盛り込んだものとすること。
| 4.都市計画区域内外を問わず、大規模建築物等について届出制度を導入すること |
(1)幹線道路沿いへの立地が顕著なショッピングセンターやアミューズメント施設などの大規模な建築物等について、都市計画区域の内外を問わず、都道府県知事への届出、及び勧告制度を導入すること。その際には、周辺市町村・住民・商工団体等からの意見を聴取するとともに、当該建築物等の建築に伴う都市構造・機能等に対する影響、及び都道府県・市町村の各マスタープランとの整合性に留意し、それらを勘案して勧告を行うこととし、併せて、勧告の実効性を担保する仕組みを確立すること。
(2)本提案に対しては、「大規模建築物等のみを対象とした届出制の導入に反対」とする意見や「都市計画区域外の立地案件に対して都市計画法によって規制できる理由があるのか」といった疑問が出されている。しかしながら、大規模建築物等は、その建築物単体で、周辺地域の都市計画・事業、街づくり計画・事業等が想定した前提条件を覆し、都市の発展方向や街づくりに影響を与え得るものであり、空洞化をもたらす主要因として多方面から実例とともに指摘されている。特に、都市計画区域外への立地は、周辺地域の都市計画や街づくり等とは無関係に行われるにも拘わらず、それらが想定した効果を一方的に脅かす結果となりかねない。都市計画等の実効性を担保すべき都市計画法が、自らの実効性を担保するために都市計画区域外の立地案件を規制することには立法論からも実態論からも十分な根拠があると考えられる。これらの点は、都計審において既に検討済みのものと承知しているところであり、届出制の導入は地域の実情を踏まえた合理的な対応策であると考える。
(3)また、「大店立地法と同様の届出手続を設けることは不要」「大店立地法との重複を避けるべき」との意見もある。しかしながら、「街づくり3法」(大店立地法・改正都市計画法・中心市街地活性化法)の制定に当たっては、平成9年12月の産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会流通小委員会合同会議答申を踏まえ、都市計画法によって大型店立地の適否を判断することとされ、その上で、大店立地法は立地に伴う周辺地域の生活環境への影響の緩和を役割とし、また、中心市街地活性化法は活性化対策の推進のための役割を担うことが前提とされた。従って、異なる役割を持つ大店立地法と都市計画法の2法おいて、手続の重複を問題視することに合理的な理由はないと考える。
(4)上記の役割分担を前提に「街づくり3法」の立法作業が行われたが、法案作成・審議の過程、また、大店立地法に基づく指針の策定過程においては、都市計画法をはじめとするゾーニング規制の効果が大規模集客施設の郊外立地、特に、都市計画区域外への立地に対しては限定的であることが改めて認識された。このため、本年5月の産構審・中政審合同会議答申においても、「今後、近年の土地利用状況を踏まえ、現行都市計画法の大枠である都市計画区域、市街化区域及び市街化調整区域の区域区分、開発許可を含め、地域の実情に応じた必要かつ十分な規制・誘導が行えるよう全般的な都市計画制度の見直しが強く期待される」と述べられているところである。
(5)これら「街づくり3法」制定までの経緯、それに続く大店立地法に基づく指針策定の経緯等を踏まえると、都市計画法によって立地の適否を判断して街づくりを支援することが立法府・行政府のコンセンサス事項であったと考えられる。このため、既成市街地における都市計画の実効性や都市機能に影響を及ぼす恐れがある大規模建築物等の立地については、都市計画区域の内外を問わず、都市計画法が適切に対処し得るようにすることが必要であり、これは3法の実効性が確保されるか否かの問題の核心をなすものである。
(6)仮に、この大規模建築物等の届出制の導入が実現しない場合、空洞化をもたらす主要因への対応が極めて不十分なものになると考えられる。即ち、土地利用規制の空白地帯が残ったまま、都市計画区域外への立地、農地転用による立地などが続き、また、「財政ゾーニング」に対する実効性ある広域調整は困難となり、結果として、国の土地利用規制では空洞化問題に対応できないという極めて憂慮すべき事態が想定される。このため、今回の抜本改正の大きな背景となった空洞化問題の重大性と、それへの対処としての「都市の再構築」の重要性を改めて想起し、都市計画区域の内外を問わず、大規模建築物等に対する届出制の導入を実現すべきである。
| 5.都市計画に関する住民案の検討を市町村に義務付けるとともに、市町村に対する支援を強化すること |
(1)地域の実情に対応した市町村マスタープランの策定、特別用途地区の設定等を促進するとともに、これらの策定・設定を住民・商工団体等が発意した場合、市町村にその案を検討するよう義務付けること。また、住民・商工団体等が計画策定等の希望を持つ場合、国は人材の確保・育成・派遣、情報提供等の支援を行うこと。
(2)法定の「都市計画基準」を充実させ、国は自然・社会・経済環境に関する社会的課題と都市計画による対応の考え方を「都市計画ガイダンス」(仮称)として地方公共団体に積極的に提供すること。
(3)地方分権によって都市計画の決定等の事務が自治事務となることに伴い、都市計画決定手続を条例によって手厚くすることができるよう法律上明確にすること。また、市町村における専門家養成を進めること。
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