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平成17年度中小企業関係施策に関する要望 平成16年6月17日 わが国経済は、マクロ的には景気回復基調を強めているが、これは経済成長を続ける中国や米国の好況を受けたデジタル家電関連業界などの好調、とりわけ大企業製造業がその牽引役を果たしているのが実情であり、中小企業や地域経済への本格的な広がりには至っていない。むしろ、長期に亘ったデフレ不況と内外の構造変動の波に洗われて、中小企業は危機的状態から脱し切れていない。 マクロの景況感に明るさが広がりつつある今こそ、中小企業の再生を図る絶好機であり、政府は、景気回復の基調が地方経済にまで確実に広がるよう、警戒感を緩めることなく、金融・財政政策をはじめ地域経済や中小企業の活性化を支援する諸施策の実施や規制改革を推進していくべきである。 また、わが国の生産活動や雇用維持に大きな役割を果たし、地域経済の活力の源泉である全国469万中小企業の活性化と自助努力への支援策の強化・拡充が不可欠である。
このため三位一体改革の進展如何に拘わらず、中小企業対策予算については、国及び都道府県がそれぞれ責任をもって、充分かつ安定的に確保すべきである。 ちなみに、中小企業は、企業における雇用の約7割を支えており、わが国経済に極めて大きな貢献をしている。しかしながら、国の中小企業対策予算は、16年度においても1738億円であり、政府予算全体の中で余りにも小さな規模にとどまっている。 以上のような観点を踏まえ、中小企業対策予算の拡充強化など平成17年度中小企業関係施策に関して、下記事項の実現を強く要望する。 記 <重点要望項目> T 創業促進と経営・技術革新など中小企業の成長支援 地域活性化や雇用創出に貢献する、新規創業及び第二創業への取り組みを強力に支援していくために、「創業塾」及び「第二創業コース」の拡充はもとより、新たに@経営上の困難を乗り越える知識やノウハウが乏しい“創業直後の事業者へのフォローアップ事業”、A中小企業経営者や個人の意識を喚起し、創業や第二創業を実施する層を掘り起こすための“創業・第二創業支援セミナー(仮称)”を創設されたい。 U 金融セーフティネットの整備・充実と中小企業の再生 挑戦する意欲と能力のある中小企業や、債務を抱えながらも本業が順調な中小企業が貸し渋りや貸し剥しにより経営破綻に追い込まれることがないよう、中小企業の金融セーフティネットの充実と地域における金融機能の一層の安定確保に引き続き注力されたい。また、中小企業再生を促進させるため、@過度な個人保証や第三者保証の制度見直し、A中小企業再生支援協議会の一層の機能強化、B再生ファンドの設立促進、C産業再生機構の中小企業分野での機能発揮と他の再生関連機関との連携を強化されたい。 V 小規模事業対策推進のための万全な予算措置 三位一体改革は進めるべきであるが、その改革の進展により小規模事業対策が大きく後退し、各地商工会議所・商工会における地域小規模事業者のための相談指導体制が弱体化していくことがないよう、国及び都道府県はそれぞれ責任を持って、経営改善普及事業をはじめとする小規模事業対策予算並びに経営指導員等補助対象職員の人件費の安定的かつ充分な確保を図られたい。 W 中小企業の活力増進のための税制改革 わが国経済の安定化のためには、中小企業の体質強化と活力増進を図ることが不可欠であることから、以下の措置を実施されたい。 (1)中小企業の事業用資産の承継については、本来、非課税とすべきであるが、当面少なくとも欧州諸国の例に見られるように、例えば5年程度の事業の継続を前提に課税対象額の5割を控除する制度を創設するなど、抜本的な事業承継税制の確立。 (2)同族会社の留保金課税は、中小企業の経営基盤強化、新規事業展開などに必要な内部留保の拡充を阻害する。法人税率と所得税最高税率との格差が大幅に縮小され留保金課税の存在意義は失われており、同制度は直ちに全面的に廃止。 (3)ベンチャー・新規創業企業の支援のため、繰越控除期間の延長など、エンジェル税制の拡充等。また、非上場株式を含め金融所得課税の一元化を図り、税制面から「貯蓄から投資」への流れを促進し、ベンチャー企業や中小企業に対し、多様な資金を円滑に供給。 (4)真の地球温暖化の解決にはつながらないだけではなく、地域経済や雇用に多大な影響を与えることが懸念される「環境税」の導入には断固反対。 X 総合的な街づくりの推進および地域産業の振興 中心市街地・商店街の衰退、産業の海外移転、公共事業の縮小などから、地域経済の疲弊は深刻な状況にある。そのため、各地域における「顔の見えるネットワーク」づくり、人材育成をはじめ地域戦略の策定、新たな需要を創造する地域ブランドづくりなどの取り組みを支援するため、以下の措置を実施されたい。 (1)中心市街地活性化対策の拡充強化を図るとともに、地域事情に沿った大店立地法の運用を確保する等のほか、街づくり条例制定を支援。 (2)「観光立国」にふさわしい観光政策の実現と観光振興予算の拡充を図るとともに、人材育成など地域における観光振興の取り組みを支援。 (3)「JAPANブランド育成支援事業」の大幅拡充をはじめ、地場産品・伝統的工芸品産業の振興、対日投資促進への支援など地域産業振興策を拡充。 Y グローバル経済下の中小企業の海外展開支援 国家戦略としての自由貿易協定(FTA)の推進に当たっては、国内産業にも十分配慮しつつ、関税や非関税措置だけでなく、投資、サービス、貿易円滑化をはじめ、中小企業分野での協力を含めた包括的な協定とし、中小企業にも恩恵のあるものとされたい。また、グローバル化する経済競争に打ち勝つために、東アジア地域等へ進出する中小企業への支援措置、中小企業の輸出振興のための支援措置などの一層の強化を図られたい。 Z 中小企業の人材育成支援等 産業構造の変化など雇用労働問題を巡る環境が大きく変化している中で、若年層の高失業率やフリーターの増大などを放置すれば、産業の競争力への悪影響など、日本経済の活力低下につながりかねないため、教育・雇用・産業に係る政策連携の強化、人材育成への政策資源の重点的投入と、その効率的活用を図られたい。また、個々の企業の枠を超えて、社会全体として地域・中小企業の人材育成を図るため、商工会議所を活用したeラーニングシステムの整備などを強力に推進されたい。 重点要望項目(個別事項)について T 創業促進と経営・技術革新など中小企業の成長支援 1.創業・第二創業(経営革新)支援 (1)創業直後の事業者へのフォローアップ事業の創設 創業直後の事業者は、経営上の困難を乗り越える知識やノウハウが乏しいため、事業から退出する危険性が高いことが明らかになっていることから、創業直後の事業者が一定の経験を積むまでの期間(創業後5年程度まで)の支援策として、当該事業者が行う他の事業者との交流・情報交換や事業計画策定などのフォローアップ事業を創設されたい。 (2)創業・第二創業(経営革新)支援策の拡充強化 地域の活性化や雇用の創出に貢献する新規創業を支援するため、創業塾事業を一層拡充されたい。また、新たな事業展開を図る中小・小規模事業者や若手後継者を支援するため、第二創業コースについても一層の拡充を図るとともに、中小・小規模事業者に第二創業の必要性を啓発し、新たな事業展開を検討する契機を提供するための「創業・第二創業支援セミナー」(仮称)を創設されたい。 (3)経営革新支援に対する金融・税制面での優遇措置の拡大 中小企業の生産性の向上や経営合理化さらには新事業への展開など経営革新の裾野拡大のため、金融・税制面での各種優遇措置を拡大するとともに、中小企業の経営革新支援に向けたアドバイザー派遣など指導体制の充実強化を図られたい。また、平成16年度中に予定されている中小企業経営革新支援法、新事業創出促進法、中小創造法の抜本的な見直しにより、国民に使いやすくわかりやすい一体的な体系を構築されたい。併せて、新しい法律体系の中で、成長を遂げた企業の顕彰制度や、受賞企業を対象とした支援措置を創設されたい。 2.中小企業の成長支援とモノづくり力強化 (1)産学官連携による技術開発の支援促進 @産学官連携による技術開発を支援促進するため、商工会議所や中小企業支援センターにおける大学・TLOと中小企業を結びつけるためのコーディネート事業の創設や、TLOや商工会議所の産学連携コーディネーターの人材養成等支援を拡充されたい。 A中小企業と大学、研究機関による研究開発により新事業を創出する中小企業地域新生コンソーシアム(共同研究体)研究開発事業を拡充されたい。 (2)SBIR(中小企業技術革新制度)の支出目標額の一層の増額 中小企業の技術開発を支援するSBIR(中小企業技術革新制度)について、より多くの中小企業者の利用が可能となるように支出目標額(特定補助金等)の一層の増額を図られたい。また、各制度の周知期間・募集期間を十分に確保するなど中小企業者の応募の利便性の一層の向上を図られたい。 (3)企業等OB人材活用推進事業の拡充について 中小企業やベンチャー企業と、退職後も自らの知識や経験を活かしたいという意欲ある企業等OBとのマッチング支援のための「企業等OB人材活用推進事業」の推進拠点である“地域協議会”を全国47都道府県に設置・展開し、推進体制を大幅に強化するとともに(平成16年度は32箇所)、同事業を地域中小企業の間に広く普及浸透させ積極的な活用を勧めていくために必要かつ充分な予算措置を図られたい。 (4)中小企業のIT化支援策の総合的推進 @電子署名・認証システムに関する周知・啓発の推進 「e-Japan戦略」に基づき、総務省、国土交通省をはじめ、都道府県等の入札が電子化されるなど、電子政府・電子自治体、即ち行政手続きの電子化が本格化しつつある。これらの各種行政手続きを中小企業者がインターネット上で行うためには、電子署名・認証システムの理解や認識が必要不可欠であるため、政府におかれては、中小企業に対する周知・啓発なども含めてe-Japan戦略を総合的に推進されたい。 A電子商取引の円滑な導入・普及の推進 IT(情報通信技術)革命の進展が、企業活動に大きな変革をもたらしている中で、中小企業が積極的にITを活用した事業展開・経営革新が図れるよう、企業のIT化を推進する知識・スキルをもつ人材の育成を図るとともに、指導者の育成やカリキュラムの策定等、中小企業IT化施策を推進されたい。 B税務書類の電子保存範囲の拡大 税法で民間に7年間の保存が義務付けられている帳簿書類については、一貫して電子計算機を使用して作成する場合、いわゆる電子帳簿保存法により電子保存が認められているが、契約書など取引の相手方から紙で受け取る書類等については、電子データによる保存は認められていない。ついては、受け取る書類や手書きの帳簿等についても、できる限り早期に電子保存が認められるよう関係法規の改正を行われたい。 (5)会社法制の抜本改正に関する周知活動等の実施 現在、株式会社と有限会社を一つの会社類型として規律する方向で、商法第2編・有限会社等を含めた会社法制の抜本的な見直しが進められているが、施行に際しては、既存の中小企業が円滑に対応できるよう、周知活動等のきめ細かな施策を実施されたい。 (6)ADR(裁判外紛争処理)制度の普及浸透 商事取引に関するトラブルに当事者の自主性を生かした解決等、円満な取引の継続を確保しつつ解決を図る有効な紛争解決方法としてADR(裁判外紛争処理)制度が注目を浴びていることから、ADRによる調停および仲裁業務等に対応できる人材の養成や普及を目的とした調停人・仲裁人・相談員向けのセミナー・フォーラムの開催等、ADRに係る人材育成支援のための予算措置を拡充・強化されたい。 併せて、利用者の費用負担の軽減、ADRにより確定した債務の損金算入等の税制優遇措置、普及活動等の諸施策を講じることにより、ADR制度の普及浸透を図られたい。 (7)中小企業における円滑な知的財産の取得等のための環境整備 知的財産を積極的に活用することは、わが国の産業競争力を強化し、地域経済の活性化を図るために極めて有効である。政府は、知的財産推進計画に基づき「知的財産立国」の実現へ向けた施策の充実を図っているが、中小企業は、大企業に比べて経営資源等の面で制約が大きいことから、中小企業においても容易に知的財産権を取得・保持し、国内外への特許出願費用や、知的財産権の侵害に対抗するための知的財産訴訟費用に対する助成等、必要な環境整備を図られたい。また、特許権の取得費用に係る税額控除制度を創設されたい。
(8)下請取引の適正化指導の強化 先般改正された下請中小企業振興法および下請代金支払遅延等防止法について、引き続き改正内容の周知徹底を図るとともに、元請けと下請けの間の不公正な取引を排除するべく、より適正な運用を図られたい。
U 金融セーフティネットの整備・充実と中小企業の再生 1.セーフティネットなど金融対策の充実 (1)金融セーフティネットの充実 現下の厳しい経済環境の下、挑戦する意欲と能力のある中小企業や、債務を抱えながらも本業が順調な中小企業が貸し渋りや貸し剥しにより経営破綻に追い込まれることがないよう、万全な中小企業の金融セーフティネットが必要である。このため、セーフティネット貸付・保証の一層の充実を図るとともに、信用保証協会・政府系金融機関においては、既往の債権について期限の延長や返済条件の緩和などにより事業継続が見込まれる場合には、個々の事業者の実情に十分配慮し、一層の弾力的な対応を講じられたい。また、地域における金融機能が一層安定確保できるよう、引き続き注力されたい。 (2)金融検査マニュアル別冊の周知および弾力的な運用 金融の目詰まりを解消し、中小企業をめぐる金融環境の円滑化を図るため、先般改訂された金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕の趣旨・内容に関して、中小企業の経営実態を十分に踏まえた弾力的な運用がなされるよう、金融検査官に対する指導の徹底、金融機関および借り手である中小・零細企業に対する周知を図られたい。また、金融機関の目利き機能を高めるための支援策等についても、引き続き検討されたい。 (3)中小企業の資金調達手法の多様化 デフレの継続や金融機関のリスク負担能力低下の中で、不動産担保や個人保証に依存した従来型融資が限界に直面する状況下において、中小企業、ベンチャー企業の資金調達の円滑化・多様化を図るため、@信託・ファンド等による集団投資スキームの活性化をはじめとした流動化・証券化等の促進、A債権や動産など、多様な事業資産を有効に活用するための動産・債権譲渡公示制度の整備と拡充、Bエクイティ性資金の供給円滑化のためのDDS(デット・デット・スワップ〜債務の劣後化)・DES(デット・エクイティ・スワップ〜債務の株式化)・メザニンローン(出資と融資の中間リスクを引き受け、キャッシュフローに応じて返済猶予を認める貸出手法)の導入促進ならびにその基盤整備、C資金供給主体多様化に向けたファイナンス事業者の活動基盤整備と活性化等、に取り組まれたい。 (4)政府系中小企業金融機関の機能強化 政府系金融機関の改革について政府は、経済財政諮問会議の結論を踏まえ、経済情勢を見極めつつさらに検討を進めることとしているが、厳しい経営を強いられている中小企業にとって、円滑な資金調達のためには政府系中小企業金融機関によるセーフティネット機能が必要不可欠である。加えて中小企業の創業・経営革新(第二創業)・企業再生等を支援する観点からも、商工組合中央金庫・中小企業金融公庫・国民生活金融公庫等政府系中小企業金融機関の貸付規模・組織・機能はむしろ強化するべきである。また商工組合中央金庫及び信用保証協会の抵当権設定登記等の登録免許税の税率軽減措置についても、引き続き継続すべきである。 (5)中小企業会計基準の普及浸透 中小企業向け直接金融市場が徐々に拡大しつつある中で、中小企業における円滑な資金調達の実現のために、ステークホルダー等に対する経営情報の提供や情報開示などの環境整備が重要となっている。また、めまぐるしく変化する経営環境の中で、自社の経営状況を的確に把握するためにも、財務情報の精度の向上を図る必要がある。このため、日本税理士会連合会等がとりまとめた中小会社の会計基準について中小企業および金融機関への一層の周知を行い、中小企業会計の普及浸透を図られたい。 (6)小企業等経営改善資金(マル経)の充実 小企業等経営改善資金(マル経)融資について、利用者の利便性向上のため 以下の措置を講じられたい。 @平成17年3月31日で期限切れとなる貸付限度枠の別枠措置(450万円) を本枠(限度額1000万円)に統合。 A返済期間の特例措置(運転資金5年、設備資金7年)の恒久化。 B国民生活金融公庫が行う生活衛生関係営業者に対する設備資金について、事業者の利便性向上のため、小企業等経営改善資金(マル経)の融資対象に追加。 (7)倒産防止共済制度の共済金貸付限度額の引き上げ等 厳しい経営環境が続く中で、中小企業の経営安定に資するため、中小企業総合事業団の実施する倒産防止共済制度の掛金限度額及び共済金貸付限度額を引き上げるとともに、貸付額に応じた掛金権利消滅の割合(現行は貸付額の 10%)を引き下げられたい。 2.中小企業の再生の促進 (1)個人保証のあり方の見直し 多くの中小企業経営者は、金融機関から融資を受ける際に個人保証を行っているため、倒産時には、基本的な生活権すらおかされるケースも見受けられる。現在、法制審議会保証制度部会において個人保証制度の見直しの検討が行われているが、過度な個人保証の徴求は、企業の再生機会を逸し、経済活性化を阻害する一因にもなることから、個人保証制度のあり方について積極的な見直しを行われたい。また、融資にあたり、第三者保証を求められることが散見されるが、第三者保証についても一定の歯止めを設けるなど、制度のあり方を見直すべきである。 (2)中小企業再生支援協議会の機能強化 中小企業の再生を一層加速させるべく、窓口相談、再生計画策定支援業務の 強化、再生計画策定後の計画実施のフォローアップの充実等支援措置を一層強化することにより、中小企業再生支援協議会の機能強化を図られたい。このため、中小企業再生支援協議会が万全な相談・支援体制を確保できるよう、常駐専門家の増員や研修等に必要な予算を十分確保されたい。 (3)再生ファンドの設立促進 地域の中小企業を対象とした再生ファンドが各地に組成され始めているが、引き続き、中小企業総合事業団の「再生支援出資事業」の積極的な活用等による再生ファンドの設立および出資を促進されたい。 (4)産業再生機構による中小企業再生の促進 産業再生機構が対象とする案件は地域や規模を問わないとしていることから、 同機構の事業実施にあたっては中小企業の案件も相当割合で取り扱われるように十分配慮され、企業再生と地域再生の両面での取組みを図られたい。 (5)中小企業再生支援協議会と産業再生機構等との連携について 中小企業再生支援協議会が取り扱う案件について、産業再生機構の債権買取機能を活用するなど、再生支援協議会と産業再生機構、整理回収機構との連携を一層強化されたい。
V 小規模事業対策推進のための予算措置 三位一体改革は進めるべきであるが、その改革の進展により小規模事業対策が大きく後退し、各地商工会議所・商工会における地域小規模事業者のための相談指導体制が弱体化していくことがないよう、国及び都道府県はそれぞれ責任を持って、次の2点について、充分な政策的配慮をお願いしたい。 (1)都道府県向け補助金(事業費)が年々削減されていく中で、小規模事業者の経営改善に係る充分な事業費が確保できない状況が全国的に広がっていくことのないよう、小規模事業対策予算の安定的かつ充分な確保。 (2)小規模事業者への相談指導事業の人的体制が後退することのないよう、経営指導員等補助対象職員の人件費の確保。 W 中小企業の活力増進のための税制改革 1.抜本的な事業承継税制の確立 事業承継に関する税制措置については、近年、累次の改正により改善の方向にあり、特に、平成16年度改正では、自社株に対する相続税の軽減措置の拡充や非上場株式に係る譲渡益課税の税率の軽減等が講じられたが、中小企業が事業継続の基盤を損なうことなく継続・発展できるよう、引き続き制度の見直しが必要である。このため、中小企業の事業用資産の承継については本来、非課税とするべきであるが、当面、少なくともヨーロッパの例に見られるように、例えば5年程度の事業の継続を前提に、課税対象額の5割を控除するといった制度を創設し、抜本的な事業承継税制の確立を図るべきである。 2.中小法人税制等の拡充 (1)留保金課税制度の廃止 同族会社の留保金課税は、中小企業にとって経営基盤の強化と新規事業展開等、企業活力の再生を図るために必要な内部留保の拡充を阻害するものとなっている。平成15年度改正において、平成17年度までの時限措置として、資本金1億円以下で自己資本比率50%以下の中小企業については課税停止とする措置が講じられたが、法人税率と所得税最高税率との格差が大幅に縮小されている今日、もはや留保金課税の存在意義は失われており、同制度については直ちに全面的に廃止すべきである。 (2)法人税率の引き下げおよび適用所得金額の引き上げ 中小企業の体質強化と活力増進を図るため、法人税の中小企業軽減税率について、税率を引き下げるとともに、昭和56年以来据え置かれている適用所得金額(現行800万円)を引き上げるべきである。 (3)減価償却制度の見直し 中小企業の活力強化の観点から、減価償却資産の法定耐用年数の短縮や法定残存価額および償却可能限度額の引き下げ等、同制度の見直しを行うべきである。 (4)ベンチャー・新規創業支援のための税制措置の拡充 わが国経済の活力を将来にわたって維持・強化していくためには、ベンチャー・新規創業企業の存在が極めて重要であり、繰越控除期間の延長などエンジェル税制の拡充等により税制面における支援措置を講じるべきである。 (5)交際費の損金算入規制の撤廃 法人が支出する交際費について、企業会計原則に則り、全額損金算入を認めるべきである。 (6)金融所得課税一元化の推進 金融資産について「貯蓄から投資」への流れを促進し、リスクマネーの円滑な供給を図ることは、ベンチャー企業の育成や中小企業におけるエクイティ性資金の充実の観点、ひいては経済の活性化を図るうえで非常に有意なものである。このため、非上場株式を含め金融所得課税の一元化を早期かつ確実に実施し、税制面から多様な資金の供給を後押しする措置を講じられたい。 3.「環境税」の導入反対 昨年、環境省の中央環境審議会専門委員会が「温暖化対策税制の具体的な制度の案」を公表したが、地球温暖化対策を実効性あるものとするためには、世界各国の国際的な協調が必要であり、世界全体のCO2排出量の5%を占めるに過ぎないわが国が新たな税を導入しても、真の地球温暖化の解決にはつながらない。 しかも、新税の導入は、わが国におけるエネルギーコストの増大を招き、経済に致命的な打撃を与え、京都議定書の締結に先立ち政府が決定した地球温暖化対策推進大綱にうたう「環境と経済の両立」は不可能となる。また、中小企業はコスト転嫁が困難なため、大きな負担のしわ寄せによって、地域経済や雇用に多大な影響を与えることが懸念される。 むしろ温暖化防止には、民生・運輸部門における温室効果ガス排出量の削減を図るための国民的な取り組みの展開や、温室効果ガス排出量の大きい米国等の積極的な参画を促す方が効果的であり、「環境税」の安易な導入には断固反対である。 X 総合的な街づくりの推進および地域産業の振興 1.中心市街地活性化対策の拡充強化 (1)「中心市街地等コミュニティ再生モデル地域」(仮称)の創設等 市街地の活性化を図るため、全国公募方式によって、「中心市街地等コミュニティ再生モデル地域」(仮称)を選定し、高齢社会対応、ユニバーサルデザイン、景観重視等、関係省庁が有機的に連携して行政投資を集中した地域再生の成功モデルを創出されたい。 (2)TMO支援策の拡充等 @TMO等による中心市街地の大型空き店舗再生事業への取り組みを支援するため、支援期間の延長や予算額の大幅な増額等「大型空き店舗活用支援事業」を拡充されたい。 ATMOの常駐タウンマネージャーとしての資質と高い専門能力を備えた企業OB等の人材活用を図る「中心市街地活性化タウンマネージャー派遣事業」の派遣期間の延長や派遣費用の補助率の拡大を図られたい。 BTMO等が行う宅配サービスやリサイクル活動等、高齢化社会や地球環境問題に対応した「コミュニティビジネス」を支援するとともに、公共施設の管理運営や清掃事業等、地方行政サービスのTMO等への業務委託が推進されるよう環境整備を図られたい。 C地方自治体における魅力ある地域づくりと観光立国に資する良好な景観形成を図る「景観形成事業推進費」の活用促進と、そのTMO等への各種の事業委託を図られたい。 (3)個店・商店街等の魅力向上のための支援策の拡充 商人塾などを通じて店舗経営の実務能力の向上を図る「中小商業活性化創業等支援事業」や、eラーニング講習などにより中心市街地において街づくりのリーダーとなる人材を育成する「中心市街地商業等活性化支援事業(人材育成事業)」を一層拡充されたい。 また、商店街等による「エコマネー」など地域通貨の導入を支援するとともに、売れ筋商品情報などPOSデータの分析結果を活用した経営革新への取り組みを支援されたい。 (4)防災・防犯対策等「人に優しい街づくり」のための支援策の拡充等 @商店街の魅力向上のため、老朽化したアーケードなどの商店街共同施設の解体・撤去費用に対する補助制度の創設を図られたい。 A電線類の地中化やユニバーサルデザインに対応した段差のない道路や店舗等の施設整備等、人に優しい街づくりへの取り組みを支援するため、「中心市街地等中小商業活性化施設整備費補助金」を拡充されたい。 B深刻化する治安問題に対応し、空き店舗を活用した「コミュニティセンター」、「街路灯」、「防犯カメラ」、「私設交番」等の設置、住民によるパトロールの実施等、地域における安全・安心の街づくりへの取り組みを強力に支援されたい。 また、中心市街地の商店街において、青少年にとって好ましくない店舗・業種の空き店舗への入居を制限できるよう、所要の制度整備を図られたい。 さらに、観光をはじめ多様な需要を喚起するなど幅広い効果を持つ映画等のロケーションに際しては、自治体、警察、交通機関などの対応が得られるよう、関係省庁は環境整備を図られたい。 2.地域事情に沿った大店立地法の運用確保と街づくり条例の制定支援等 (1)地域事情に沿った大店立地法の運用確保等 「郊外開発の抑制、中心市街地活性化」のため、街づくり3法の整合性確保に関する国としての方針を改めて明確化するとともに、大型店出店に関する都道府県による広域調整の仕組みの創設を図られたい。 また、地域において大型店や全国チェーン店等が商工会議所や商店街等と連携・協力して街づくり、地域・社会貢献に取り組むための環境整備を図られたい。 なお、大店立地法指針の見直し等については、別途、要望を行う予定。 (2)街づくり条例の制定支援 地方自治体による計画的な土地利用を目的とした街づくり条例制定を促進するための環境整備を図られたい。 3.街づくり運動としての観光振興の推進 「観光立国」にふさわしい観光政策の実現と観光振興予算の拡充を行うとともに、地域における観光交流空間づくりへの支援を拡充されたい。 また、地域におけるホスピタリティ向上と人材の確保・育成やインバウンド振興を図られたい。 なお、観光振興については、別途、要望を行う予定。 4.地域産業振興策の抜本的拡充 (1)「JAPANブランド育成支援事業」等の大幅拡充 @地域資源を活かし、内外市場で通用するブランド力の育成・強化を目的とする「JAPANブランド育成支援事業」について、地域数の増加や支援条件の緩和等大幅に拡充されたい。 A日本の農林水産物・食品の輸出機会の拡大と海外ニーズに対応する産地体制の整備を支援するため、「日本産ブランド輸出促進事業」及び「農林水産物貿易円滑化推進事業」について、地域数の増加等大幅に拡充されたい。 (2)「健康サービス産業創出支援事業」の拡充 多様化する国民の健康サービスニーズに対応した質の高いサービスの提供を促進するため、地域住民等に新たな健康サービスの提供を行うための事業構築を支援する「健康サービス産業創出支援事業」を拡充されたい。 (3)地場産品・伝統的工芸品の販路拡大に対する支援措置の拡充 産地組合による地場産品等の販路開拓などの取り組みや伝統的工芸品産業の振興を図るため、「地場産業等活力強化事業」、「伝統的工芸品産業支援補助金」を拡充されたい。特に、「地場産業等活力強化事業」において、意欲ある小グループの事業者による共同受注・共同販売等の自助努力を強力に支援されたい。 (4)対日投資促進に対する支援措置の拡充等 対日投資を促進し、地方への外国企業立地を図るため、政府として、規制緩和、投資インセンティブの創設、外国人社員向けの生活環境整備等、受入環境の整備を図られたい。また、対日投資・ビジネスサポートセンターや「先進的対内投資促進事業」の拡充等、JETROの対日投資支援機能(ローカル・トゥ・ローカル産業交流事業を含む)の一層の強化を図られたい。 Y グローバル経済下の中小企業の海外展開支援 1.自由貿易協定(FTA)の締結促進 国家戦略として諸外国との自由貿易協定(FTA)を推進されたい。協定の内容としては、国内産業にも十分配慮しつつ、関税や非関税措置だけでなく、投資、サービス、貿易円滑化をはじめ、中小企業分野での協力を含めた包括的な協定とし、中小企業にも恩恵のあるものとされたい。 2.東アジア地域等へ進出する中小企業への支援措置の強化 東アジア地域等への進出を図ろうとする中小企業に対して、現地の投資・経営環境に関する情報提供、在外日本人商工会議所など関係機関の専門家等による相談指導、低利の融資制度など、各種支援措置をさらに強化するとともに、それらの措置が有効に活用されるよう一層の周知に努められたい。 3.中小企業の輸出振興のための支援措置の強化 輸出取引を図ろうとする中小企業に対して、現地市場等に関する情報提供、JETROなど関係機関の専門家等による相談指導、海外見本市への出展助成など、各種支援措置をさらに強化するとともに、それらの措置が有効に活用されるよう一層の周知に努められたい。 Z 中小企業の人材育成支援等 1.若年者を中心とする人材育成・就業促進対策の強化 (1)人材育成への政策資源の重点投入等 若年層の高失業率ならびにフリーターの増大は、適切なキャリアの形成を妨げ、ひいては日本の経済活力を低下させかねないことから、教育・雇用・産業に係る政策連携の強化、人材育成への政策資源の重点的投入とその効率的な活用を図られたい。 (2)「ジョブカフェ」の事業実施における民間機関の積極的活用 今後、都道府県が設置する若年者のためのワンストップサービスセンター(通称「ジョブカフェ」)における各種事業の実施にあたっては、地域において産業界や教育界、行政等が連携し、民間のノウハウや人材を活かした事業が展開できるよう、環境整備を図られたい。特に、若年者の中小企業への理解・関心を深めるため、インターンシップや日本版デュアルシステム(企業実習と教育訓練とを組み合わせた若年者向けの人材育成制度)の実施にあたっては、中小企業において受け入れやすい仕組みとすべきである。 (3)トライアル雇用・紹介予定派遣制度の拡充 若年者の就業促進やミスマッチの解消に有効なトライアル雇用、紹介予定派遣などの仕組みについて、中小企業による活用を促進するため、実施期間の延長や対象の拡大など制度を拡充するとともに、手続きの簡素化を図られたい。 2.職業能力開発を通じた産業人材の育成 (1)標準的人材育成プログラムの策定等 若年者のキャリア形成を支援し、地域活性化の核となる人材を育成するため、職業観・勤労観の醸成に資する実践的・体系的な職業教育の強化を図られたい。また、個人が職業能力開発を高めるための投資を効率的に行えるようにするために、商工会議所における検定事業等、総合人材育成事業の内容も取り入れながら、職業別のキャリアマップを作成し、これに基づく標準的な人材育成プログラムを策定するとともに、個々の企業の枠を超えて、社会全体として地域・中小企業の草の根の人材育成を図るため、商工会議所を活用したeラーニングシステムの整備を強力に推進されたい。 (2)高度専門人材育成への支援 わが国の競争力強化、経済活性化の核となる高度専門人材を育成するため、企業の人材ニーズを踏まえた能力評価基準の策定やカリキュラム・教材開発に取り組まれたい。あわせて、労働者自身の主体的な能力開発と企業の人材育成への投資を支援する措置を講じられたい。 3.労使自治を基本とした柔軟な労働法制 産業構造の変化、就業形態の多様化など雇用労働問題をめぐる環境が大きく変化している現状を踏まえて、労働時間規制などの画一的・強硬的な労働法制は見直し、個々の労使が十分な話し合いにより主体的に決定することを可能とする柔軟な労働法制とすべきである。 現在、所定労働時間の抑制の観点から、法定労働時間内であっても所定労働時間を超えて労働させる場合に割増賃金の支払いを義務化すること等が検討されている。割増賃金の支払い義務化は、特に、従業員の多くを短時間労働者が占める中小企業に深刻な影響を与えるとともに、雇用コストの上昇を通じてわが国企業の国際競争力低下を招くため反対である。 さらに、今後検討が予定されている解雇無効の際の金銭解決制度については、使用者側に過度の手続き上の制約を課すことなく、柔軟な仕組みとすべきであり、使用者が支払うべき金銭の水準の設定にあたっては、特に中小・零細企業がおかれた厳しい経営状況や支払能力を十分踏まえて検討する必要がある。 4.雇用保険三事業の廃止を含めた抜本的見直し 雇用保険制度は雇用のセーフティネットとして重要な役割を果たしているが、今後は、産業構造の変化や、就業形態の多様化、少子高齢化等の環境変化の中でも、持続的かつ安定的に運営できるよう、給付と負担のあり方を抜本的に見直し、制度を再構築することが必要である。 特に、事業主が保険料を全額負担する雇用保険三事業については、各種助成金の整理統合や勤労者福祉施設の払い下げなどが進められているが、三事業の本来の使命である雇用安定、雇用福祉、能力開発の達成に有効に機能しているかどうか判然としない。ついては、各事業の徹底的な政策評価を行い、廃止を含めそのあり方について抜本的な見直しを行われたい。 雇用保険制度の見直しについては、年金・医療などの社会保障負担増大に伴う企業の国際競争力低下も懸念されるため、税制や他の社会保障制度全体の改革を進める中で一体的に検討すべきである。なお、今後必要となる雇用対策の追加的コストの手当てについては、雇用保険料率の安易な引き上げによるべきではない。 5.外国人労働者の受け入れの大幅拡大および外国人研修・技能実習制度の運用緩和・拡充等 (1)高度人材外国人労働者の受け入れ拡大 国際競争の激化に伴い、優秀な外国人を受け入れることは重要な戦略となっており、また、少子高齢化社会の中で、わが国の経済・産業を活性化させ、持続的な成長を維持していくためにも、外国人労働者の受け入れをさらに推進することが不可欠である。このため、高度人材外国人労働者の受け入れについては、資格の相互認証や社会保障協定の締結促進等により、受け入れを大幅に拡大されたい。 (2)外国人研修・技能研修実習制度の運用緩和・拡充 外国人研修・技能実習制度に関して、受け入れ人数枠の拡大や、技能実習移行対象業種の拡大、研修中の夜間を含むシフト勤務の許可、受け入れ手続きの簡素化・迅速化等、近隣諸国や国内企業のニーズに沿った運用緩和・拡充を図られたい。特に、構造改革特区において講じられた受け入れ人数枠に係る規制緩和措置について、その効果を検証し、早急に全国的な規制改革を講じることが望まれる。 (3)外国人単純労働者受け入れのための新制度創設 単純労働に携わる外国人労働者数の増加は社会不安を起こす恐れがあるとの議論もあるが、今後、労働需要の拡大が予想される製造、建設、林業、観光、看護・介護、メイドなど、わが国の経済社会や国民生活にとって不可欠な産業分野においては、諸外国の例も参考にして、混乱が生じないよう一定の管理の下に外国人単純労働者を受け入れる新たな制度的枠組みを創設されたい。仮に、すぐさま全国一律の制度として導入することが著しく困難であるならば、まずは構造改革特区制度を利用して、台湾方式による受け入れ制度の導入を検討されたい。 6.産業別最低賃金の廃止および地域別最低賃金の引き下げ 産業別最低賃金については、地域別最低賃金が定着をみた中で、屋上屋を重ねることになっているので、廃止されたい。また、地域別最低賃金については、中小企業を取り巻く依然として厳しい経済情勢やデフレ状況に鑑み、引き下げられたい。 7.企業年金制度に対する一層の支援 中小企業の人材確保と従業員の福利厚生を図る観点から、中小企業及びその従業員に対して企業年金制度の周知活動に一層努められるとともに、そのために必要な予算措置を講じられたい。 また、平成16年度年金制度改正法において、確定拠出年金制度の拠出限度額の引き上げや中途引き出し要件の緩和などが盛り込まれたが、企業年金制度をより中小企業に利用しやすいものとするため、特別法人税の撤廃、確定拠出年金の拠出限度額の一段の引き上げ、確定拠出年金におけるマッチング拠出、適格退職年金からの移行対象に「特定退職金共済制度」を新たに認めるなど、支援措置を図られたい。 以上 |