平成16年度税制改正に関する要望

平成15年9月17日
日本商工会議所


 わが国経済は、株価が1万円台を回復するなど一部に明るい兆しが見られるものの、依然としてデフレ克服への道筋は明らかになっておらず、このまま本格的な景気回復へ向かうには力強さに欠けている。特に、わが国企業の大宗を占める中小企業は、長引く不況で経営努力の限界を超える状況に追い込まれ、非常な苦境に立たされている。
 中小企業は、わが国企業数の99%以上を占め、70%の雇用を支えており、わが国経済の屋台骨を支える存在である。その中小企業の活力がなくなれば、地域経済は落ち込み、国際競争力の維持強化も困難となり、わが国の再生を図ることなど到底おぼつかない。
 このため日本商工会議所では、かねてから、景気の回復を図り、中小企業の活力を強化することがわが国経済社会の安定を図るためには必要不可欠であり、そのため、何よりもデフレからの早期脱却を最優先に経済運営を行うべきであると主張してきた。しかし、これまで政府は財政再建を優先した経済運営を行ってきたため、結果的にデフレを加速させ、税収も減少の一途をたどってきた。景気が回復軌道に乗れば、税収も回復して結果的には財政再建への近道ともなることから、まずはデフレからの早期脱却を図り、景気回復を確実なものとすることが必要である。
 そのため、景気に好転の兆しが見えてきた今こそデフレ克服の絶好の機会であることから、政府は、財政、金融、税制のあらゆる手段を総合的に組み合わせ、民需拡大の呼び水となる総需要の拡大につとめるべきである。

 一方わが国は、諸外国に例を見ないスピードで少子高齢化が進んでいるが、今後もわが国が活力を維持していくためには、経済社会システム全体の抜本的な変革を行い、少子高齢化がもたらす影響を最小限に抑制しなければならない。そのためには、行財政改革、社会保障制度改革、税制改革を一体として断行していくことが必要となるが、政府においては、それぞれの改革が整合ないままに議論され、また社会保障制度や税制においては、現行制度の維持や財政再建を最優先とした負担増の議論ばかりが先行している。特に、増大が予想されている社会保障給付のための財源として消費税の税率引き上げについての意見が見られるが、今求められているのは、国民が十分納得できるだけの行財政改革や社会保障制度改革を着実に実施し、それによって経済社会の活力を取り戻し、持続的な経済成長を確実なものとすることである。こうした改革を行うことなしに、はじめに消費税の増税ありきとする考え方は、到底認めることはできない。
 以上のような観点を踏まえ、日本商工会議所では、平成16年度税制改正にあたり、下記事項の実現を強く要望する。特にデフレからの早期脱却はわが国の喫緊の課題であることから、Tの「デフレ克服のための緊急措置の実施について」は、平成16年度を待たずに一刻も早く実施されたい。   


重点要望項目

T デフレ克服のための緊急措置の実施について(前倒し実施分)

 デフレ克服のためには、国民の消費や企業の投資に対する意欲を引き出すいわば民需喚起の呼び水となる税制改正が必要である。このため、以下の税制措置を緊急に講じるべきである。

1.住宅税制の拡充

 1,400兆円近い個人金融資産を有効に活用する観点から、景気波及効果の大きい住宅建設の促進を図るため、次に掲げる措置を講じるべきである。

(1)現行の住宅ローン減税の適用期限を延長するとともに、2戸目住宅への適用、対象となるリフォーム工事要件の見直し、所得要件の撤廃等の拡充を図ること。
(2)住宅ローンの支払利子を所得から控除する「住宅ローン利子所得控除制度」を創設すること。    
(3)優良賃貸住宅建設や住宅リフォームの場合の税額控除制度など住宅投資促進に係る税制を整備すること。    

2.証券税制の拡充

 個人の金融資産が貯蓄から投資へ移行することは、証券市場の活性化に寄与するとともに、企業をめぐる金融環境の多様化に対応して間接金融から直接金融への流れを加速させることにつながることから、個人の株式投資促進のため、証券税制をさらに整備することが望まれる。
 そのため、個人の小口の中長期的な証券投資を促進するために、イギリスの制度にならい、年間一定限度額までの株式投資等についての配当および譲渡益を非課税とする「日本版PEP(個人株式投資プラン)制度」を創設すべきである。
 また、株価は一時期よりも上昇しているものの、証券市場の構造改革はいまだ不十分であることから、今後再び株価低迷が起きるようであれば、上場株式等に対する相続税評価の軽減など、個人投資家を証券市場に呼び込む措置の実現も検討されたい。

3.土地税制の拡充

 土地税制については、平成15年度税制改正において一定の進展が見られたものの、依然としてバブル期までの地価上昇を背景に、投資抑制を目的とする税制措置が残っている。資産デフレを解消するとともに土地の有効利用を通じて都市再生を促す観点から、以下の税制措置を講じて不動産の流動化を進めることが必要である。
   
(1)登録免許税について手数料程度へ引き下げること。
(2)不動産取得税、事業所税を廃止すること   
(3)法人の土地譲渡益重課制度の恒久的廃止を図ること。   
(4)個人の土地の長期譲渡所得課税の税率の軽減を図ること。   
(5)事業用資産の買換え特例の繰延割合を100%へ引き上げるとともに、土地流動化促進等のための買換え特例の適用期限を延長すること。     

4.投資促進、研究開発税制の拡充整備

 企業の前向きな投資を促すために設備投資を促進する税制を拡充整備するとともに、新たな雇用や産業創出の原動力である企業の研究開発を支援するため、研究開発税制の充実を図るべきである。

(1)中小企業の生産性や国際競争力の向上を図る観点から、中小企業投資促進税制の適用期限を延長するとともに、特別償却率および税額控除率を引き上げること。
(2)投資した資金を早期に回収できるようにするため、法定残存価額および償却可能限度額の引き下げ、法定耐用年数の短縮など減価償却制度の見直しを図ること。   
(3)試験研究税制については、平成15年度税制改正において大幅に拡充されたが、研究兼務者の人件費が試験研究費として認定されないなど実際の企業の研究開発活動に対応しきれていない面があることから、企業にとって使いやすい制度となるよう見直すこと。あわせて、特許権の取得費用に係る税額控除制度を創設すること。    

5.ベンチャー・新規創業支援のための税制措置の拡充

 わが国経済の活力を将来にわたって維持・強化していくためには、ベンチャー・新規創業企業の存在が極めて重要であることから、次に掲げる措置を講じ、ベンチャー・新規創業企業育成の支援を図るべきである。

(1)現行のエンジェル税制について、ベンチャー企業への投資ロスと他の所得との損益通算を認めるとともに、繰越控除期間(現行3年)を5年へ延長する等、制度の充実を図ること。また、平成15年度税制改正で講じられた株式譲渡益の範囲で所得税の特例控除を行う制度について、住民税においても導入すること。
(2)投資誘発効果を高めるため、イギリス、フランスなどの制度と同様、ベンチャー企業に対する投資額の20%を税額控除する制度を創設すること。
(3)創業後5年間に生じた欠損金の無期限の繰越控除制度を創設すること。    


U 平成16年度税制改正にあたっての重点要望項目について
  
1.新たな事業承継税制の確立

 平成14年度税制改正において取引相場のない株式等についての相続税の課税価格の計算の特例が創設され、平成15年度税制改正においてはその拡充がなされたことは、かねてから商工会議所が主張してきた包括的な事業承継税制の確立へつながるものとして評価するところである。   
 しかしながら、そもそも事業用資産は、企業が継続的に活動していくための基本的な基盤であり、そこに、一般的な相続財産と同様の担税力を見出して課税することは適当ではない。このため、本来、事業用資産については非課税とするべきであるが、当面、少なくとも欧州諸国の例に見られるように、例えば5年程度の事業の継続を前提に課税対象額の5割を控除するといった制度を創設するなど、抜本的な事業承継税制の確立を図るべきである。   
 また、相続によらない事業承継の円滑化を図るため、非上場株式を譲渡した場合の譲渡益課税率の10%への軽減、みなし配当課税の見直し等を行うべきである(詳細は別紙「平成16年度事業承継円滑化のための税制措置に関する要望」を参照)。

2.中小企業の活力増進のための税制措置

 わが国経済の安定化のためには、わが国企業の大宗を占める中小企業の体質強化と活力増進を図ることが不可欠であることから、以下の措置を講じるべきである。
   
(1)欠損金の繰越期間の延長および繰戻還付の適用   
 欠損金の税制上の取扱いについて、課税上の期間損益の通算は企業が中長期的な視点に立った経営を行ううえで極めて重要なことから、欧米諸国に比べて短い欠損金繰越期間を10年間に延長するとともに、一部を除き不適用になっている繰戻還付を認めるべきである。   
(2)留保金課税制度の廃止   
 同族会社の留保金課税は、中小企業にとって経営基盤の強化、新規事業展開など企業活力の増進を図るために必要な内部留保の拡充を阻害するものとなっている。平成15年度税制改正において、平成17年度までの時限措置として資本金1億円以下で自己資本比率50%以下の中小企業については課税停止とする措置が講じられたが、法人税率と所得税最高税率との格差が大幅に縮小されている今日、もはや留保金課税の存在意義は失われており、同制度については直ちに全面的に廃止すべきである。   
(3)法人税の中小企業軽減税率の引き下げおよび適用所得金額の引き上げ   
 法人税の中小企業軽減税率について、税率を引き下げるとともに、昭和56年以来据え置かれている適用所得金額(現行800万円)を引き上げるべきである。

3.法人税率の引き下げ等

 法人税率について政府税制調査会では、6月にとりまとめた中期答申において、先進国とのバランスを踏まえて今後検討すべき課題であるとしているが、わが国の法人所得課税の実効税率は欧米並びにアジア諸国と比べると依然高い状況にある。国際競争力の確保の観点から、法人課税については国際情勢を十分踏まえた見直しが常に行われるべきであり、また地域産業の空洞化対策の観点からも、実効税率を少なくとも欧州主要国並みの水準にすることが必要である。このため基本税率(現行30%)のさらなる引き下げを検討すべきである。
 また、現下の厳しい経済環境に鑑みると、これ以上の課税ベースの拡大は企業の経営改革の進行を鈍らせ、経済構造改革にもマイナスに働くおそれがあるため容認できない。    

4.交際費課税の廃止

 交際費課税については、平成15年度税制改正で損金算入枠の拡大が図られたところであるが、そもそも企業会計原則では、法人が支出する交際費は全額損金に算入可能となっていることから、交際費については全額損金算入を認めるべきである。    

5.固定資産税の負担軽減

 企業負担の軽減と産業競争力の強化、地域経済の活力増進の観点から、固定資産税の評価方法の改善や税率引き下げ等による抜本的な税負担の軽減措置を講じるべきである。
   
(1)土地に係る固定資産税の引き下げ   
 商業地等における固定資産税負担は依然として高水準で推移し、地価水準との大幅な乖離が続いている。現に地価は、平成3年をピークに減少に転じているにもかかわらず、固定資産税の負担額は、近年減収に転じているとはいえ、ここ20年で約2.5倍程度にまで増加している。このため、かつては概ね0.4%程度を上限に推移していた商業地等における実効税率もバブル期以降は一貫して上昇基調にあり、現在では0.6%程度にまで達していることから、実質的な負担をバブル期以前の水準の上限であった0.4%程度に引き下げるべきである。   
(2)家屋に係る固定資産税の引き下げ   
 家屋の評価についても、現行の評価基準は非常に複雑なうえ、法人税法上の法定耐用年数に相当する経過年数が長く設定されている等の問題があり、見直しを図るべきである。      

6.法人事業税への外形標準課税の撤廃

 外形標準課税はさまざまな問題を抱える税制であり、諸外国においても同様の税制は廃止の方向にあることから産業界はその導入反対を主張してきたが、平成16年度からの導入が決定された。しかしながらわが国だけが外形標準課税の導入を図ることは、産業の国際競争力の低下を招くため、そもそも反対であり撤廃すべきである。ましてや将来、外形標準課税の対象範囲が資本金1億円以下の企業にまで拡大されることは、絶対にあってはならない。    

7.金融・証券税制の見直し

 平成15年度税制改正により講じられた証券税制は、金融課税の一元化への第一歩として評価するところである。引き続き、金融所得をはじめとする資産性所得を一括して勤労性所得とは切り離し、単一の比例税率で課税する二元的所得税の導入を見据え、配当を損益通算の対象に含めるなど金融課税の一元化をより加速させるべきである。    

8.社会保障制度改革の一環としての年金課税の見直しと企業年金に係る税制の拡充
    
(1)公的年金制度の見直しと所得税の優遇措置の縮小   
 少子高齢化が急速に進展する中で、年金・医療・介護等の社会保障関係費が急増しており、このままでは税・社会保険料負担の上昇により、わが国経済社会の活力が大きく損なわれることになる。このため、国民の安心を確保しつつ中長期にわたって持続可能な社会保障制度の構築が必要である。   
 特に公的年金制度については、今後の厳しい年金財政と世代間の不公平是正の観点から、高齢者の生活安定に一定の配慮をしつつ、既受給者も含めた年金給付の削減が必要である。また、高齢者世代は現役世代に比べて税制上の優遇措置が講じられているが、高齢者の経済状態はさまざまであることから、一律の優遇をやめ、経済状態を勘案しつつ、能力に応じた適切な負担を求めていく必要がある。このため、現行の公的年金等控除、老年者控除について見直し、縮小すべきである。   
(2)企業年金の拡充のための税制上の措置   
 公的年金制度改革が求められる中にあって、企業年金の果たす役割は今後ますます大きくなってくる。複数ある企業年金制度間での移行や自由な給付設計といった企業の実情に合った柔軟な制度再構築を可能とさせることは、今後、人材確保や従業員の福利厚生の充実を図る観点から極めて重要である。このため、以下の措置を講じ、税制面から企業年金の拡充へ向けた環境整備を図るべきである。   
 @確定拠出年金(企業型・2号個人型を問わず)における拠出限度額を年額76.5万円または給与の13.3%のどちらか低い方へ引き上げること。   
 A「拠出時・運用時非課税、給付時課税」の観点から、年金積立金の運用段階を対象とした特別法人税を廃止すること。   
 B確定拠出年金におけるマッチング拠出を認めること。   
 C退職給付制度間の移行について特定退職金共済制度を対象とすること。

9.地球環境問題への対応

(1)環境税の導入反対
 地球温暖化対策をはじめとする環境対策については、環境と経済の両立が大前提であり、特に地球温暖化対策は、ステップ・バイ・ステップのアプローチのもとに進められることが決められていることから、税や課徴金は第1ステップの取り組みを評価・見直したうえで、なお目標が達成できない場合に検討されるべき対策のはずである。   
 しかし、環境省は、中央環境審議会の専門委員会において環境税について検討を行い、先ごろ「温暖化対策税制の具体的な制度の案」を公表した。同案について環境省では、地球温暖化対策推進大綱の評価の結果、「温暖化対策税」が必要と判断された場合に、すぐに具体的な仕組みの提案ができるよう検討してきたものとしているが、これは明らかにステップ・バイ・ステップのアプローチの考え方に反している。環境税導入の必要性や効果が実証されていないにもかかわらず、はじめに環境税ありきとするのは、地球温暖化対策を口実に増税し、新たな特定財源を作り出すことにほかならず、まったく論外である。   
 地球温暖化対策として今取り組むべきは、温室効果ガス排出量の増加が顕著な民生、運輸部門における削減を図るための国民的な取り組みを展開することであり、環境税導入の議論を行うことではない。しかも現下の経済情勢を鑑みれば、産業界に新たな税負担を課す環境税の導入は経済に致命的な打撃を与えることになる。わが国のみが国際競争力の低下を余儀なくされ、その結果、産業の空洞化を招くことになれば、環境と経済の両立を実現することは不可能となることから、環境税の導入には断固反対である。   
(2)エネルギー需給構造改革投資促進税制の延長等   
 省エネルギーや新エネルギー導入促進による地球温暖化問題への対応を図る観点から、エネルギー需給構造改革投資促進税制の適用期限の延長等を図るべきである。    

10.国と地方のあり方と税制
   
(1)国・地方の行財政改革の推進と国から地方への税源移譲   
 財政のプライマリーバランスの改善のためには、まずは歳出構造の抜本的見直しを含む行財政改革による徹底した歳出削減や、景気回復による自然増収を図ることが先決である。そのためにはまず、市町村合併と地方分権の推進、公務員および議員の定数削減と給与・歳費の引き下げ、補助金・地方交付税の縮小・廃止を通じた事務・事業の見直し、規制改革の徹底などにより、国と地方で102兆円にのぼる一般歳出の削減が必要である。   
 その際、国から地方への権限の移譲とともに税源の移譲が必要不可欠であることから、国と地方の役割分担を明確化したうえで、地方が必要とする税財源は、地方の行財政改革の徹底を条件に国から移譲すべきである。その場合、基幹税である所得税と消費税の一定割合を地方税に切り替え、結果として国と地方の税収比率が逆転するようにすべきである。   
 なお、地域間の財政格差の調整のため、現行の地方交付税に替わる地方の個性ある活性化が図られるための新たな調整の枠組みは必要である。   
(2)地方の課税自主権拡充のあり方   
 地方の課税自主権の拡充に関し、全国の地方自治体で地方独自課税の動きが広がっているが、まずは行財政改革を徹底して行い、国から地方への税源の移譲や税の統廃合等、国・地方を通じた税制の抜本的な改革を実施することが先決である。その上で必要があれば、住民の利益と負担の選択のもとに地域住民全体を対象とした独自課税を実施すべきであり、「取りやすいところから取る」といった法人への安易な課税による税収確保は認められない。       

11.納税者番号制度の導入
   
 経済活動のボーダーレス化、金融資本取引の多様化、電子商取引の拡大や電子申告・納税制度の導入など情報化・電子化の進展、さらには将来の二元的所得税の導入へ向け、適正かつ公平な課税を実現するため、納税者番号制度の導入を検討すべきである。ただしその際は、導入コストの抑制を念頭に置くとともに、個人のプライバシーが漏れることが絶対にないよう情報遺漏防止に万全を図り、目的を逸脱した使用には罰則を科すなどの措置を講じる必要がある。    

12.電子申告・納税制度の推進と源泉徴収制度の見直し等
     
 簡便な納税申告制度の確立は、納税者側、徴税側の双方にメリットがあることから、平成16年2月から順次運用が開始される予定の電子申告・納税制度を積極的に推進すべきである。   
 また、現行の源泉徴収制度については、本来税務当局が行うべき徴税業務を企業が肩代わりしているものであり、給与所得者の納税意識と税への関心を希薄化させる一因にもなっていることから見直すべきである。その際、あわせて特定支出控除の拡充を行うなど納税申告を促進させるための環境整備を通じて、納税による社会への参画意識を高めていくことも重要である。
 なお、納税者の負担軽減と徴税等の効率化による行政コスト削減のため、現在国税と地方税、税と社会保険料に分かれている徴収体制についても、一元化を図るべきである。        

13.公益法人課税強化に反対
   
 公益法人課税の見直しは、個々の公益法人の活動実態を十分に踏まえて実施する必要があり、商工会議所のような特に公益性の高い法人はその存在意義や役割がむしろ地方自治体や公共法人と同等であるといえるので、現行以上の課税強化は行うべきでない。

以 上

要望項目

T.国 税

1.所得税

(1)住宅建設に関し、以下の税制措置を講じること。

@現行の住宅ローン減税の適用期限を延長するとともに、2戸目住宅への適用、対象となるリフォーム工事要件の見直し、所得要件の撤廃等制度の拡充を図る。
A住宅ローンの支払利子を所得から控除する「住宅ローン利子所得控除制度」を創設する。
B優良賃貸住宅の建設や住宅リフォームの場合の税額控除制度など住宅投資促進に係る税制を整備する。
C特定居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度の適用期限を延長する。
D中古住宅に係る税制上の特例措置の築後経過年数要件について緩和する。
E優良賃貸住宅等の割増償却の適用期限を延長する。
F特定の居住用財産の買換えおよび交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の適用期限を延長する。
G省エネ・環境・防災・バリアフリー住宅等に対する税制措置を講じる。

(2)年間一定限度額までの株式投資等についての配当および譲渡益を非課税とする「日本版PEP(個人株式投資プラン)制度」を創設するなど、個人投資家を証券市場に呼び込むために証券税制のより一層の拡充を図ること。

(3)個人の土地の長期譲渡所得課税の税率の軽減を図ること。

(4)事業用資産の買換え特例の繰延割合を100%へ引き上げるとともに、土地流動化促進等のための買換え特例の適用期限を延長すること。

(5)設備投資促進のため、中小企業投資促進税制の適用期限の延長と内容の拡充を図ること。

(6)減価償却資産の法定残存価額および償却可能限度額の引き下げ、法定耐用年数の短縮、償却方法の見直しなど減価償却制度の改善を図ること。

(7)研究開発促進のため、試験研究税制について研究兼務者の人件費を試験研究費として認定するなど制度の見直しを行うこと。あわせて、特許権の取得費用に係る税額控除制度を創設すること。

(8)ベンチャー企業の育成・新規創業の促進のため、以下の税制措置を講じること。

@現行のエンジェル税制について、ベンチャー企業への投資ロスと他の所得との損益通算を認めるとともに、現行3年の繰越控除期間を5年に延長する等、制度の充実を図る。
A投資誘発効果を高めるため、イギリス、フランスなどの制度と同様、ベンチャー企業に対する投資額の20%の税額控除を認める。
(9)公開前3年超保有していた株式の譲渡益に係る譲渡所得の特例について、創業時から株式を所有していた場合は、株式公開前3年超の株式所有の要件を満たさなくてもよいこととすること。

(10) 相続によらない事業承継の円滑化を図るため、以下の措置を講じること。 @非上場株式を譲渡した場合における譲渡益課税率の引き下げ等を図る。
A金庫株取得の際のみなし配当課税について、上場株式等の場合と同様に譲渡益課税とする。
(11)高齢者世代は現役世代に比べて税制上の優遇措置が講じられているが、高齢者の経済状態はさまざまであることから、一律の優遇をやめ、経済状態を勘案しつつ能力に応じた適切な負担を求めるため、現行の公的年金等控除、老年者控除について見直し、縮小すること。

(12)企業年金の拡充のため、以下の措置を講じること。 @確定拠出年金における拠出限度額を年額76.5万円または給与の13.3%のどちらか低い方へ引き上げる。
A確定拠出年金におけるマッチング拠出を認める。
B退職給付制度間の移行について特定退職金共済制度を対象とする。
C確定拠出年金における少額資産者の中途脱退の要件緩和、中途引き出しの認可など制度の見直しを図る。
(13)金融所得をはじめとする資産性所得を一括して勤労性所得とは切り離し、単一の比例税率で課税する二元的所得税の導入を検討すること。

(14)金融課税の一元化へ向け、配当を損益通算の対象に含めるとともに、株式投資信託の損失繰越を可能とすること。また、損益通算にあたっては、上場株式のみならず非上場株式もその対象に加えること。

(15)給与所得者が職業能力の開発・向上に資する自己啓発を行った場合の費用を特定支出控除の対象とすること。

(16)エネルギー需給構造改革投資促進税制について適用期限の延長および内容の拡充を図ること。

(17)青色申告特別控除制度について、青色事業者の勤労性所得を考慮した「事業主報酬制度」を創設すること。

(18)企業の株式発行・譲渡による資本調達力を強化するため、個人段階における配当二重課税を是正すること。

(19)少子化対策を充実させるため、子育て家庭に対する支援策として扶養控除の見直しを検討すること。

(20)観光振興を図るため、家族の触れ合いを増やし、教育的見地からも有意義と考えられる体験型家族旅行に係る所得控除制度の創設を検討すること。

(21)企業の事業再編に必要となる資金ニーズにこたえるため、投資事業有限責任組合制度における投資先の制限を撤廃すること。  

(22) 一般公害防止用設備の特別償却の適用期限を延長すること。

(23)「中心市街地活性化法」に規定する認定事業者等が取得した認定中小小売商業高度化事業計画に係る施設等の特別償却の適用期限を延長すること。

(24)「輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法」に基づく特定集積地区内において輸入関連事業者が取得する一定の事業用建物等に対する特別償却の適用期限を延長すること。

(25) 非居住者および外国法人に対する民間国外債の利子等の非課税措置の適用期限を延長すること。

2.法人税

(1)住宅投資に関し、以下の措置を講じること。

@優良賃貸住宅の建設や住宅リフォームの場合の税額控除制度など住宅投資促進に係る税制を整備すること。
A優良賃貸住宅等の割増償却の適用期限を延長すること。

(2)法人の土地譲渡益重課制度の恒久的廃止を図ること。

(3)事業用資産の買換え特例の繰延割合を100%へ引き上げるとともに、土地流動化促進等のための買換え特例の適用期限を延長すること。

(4)設備投資促進のため、中小企業投資促進税制の適用期限の延長と内容の拡充を図ること。

(5)減価償却資産の法定残存価額および償却可能限度額の引き下げ、法定耐用年数の短縮、償却方法の見直しなど減価償却制度の改善を図ること。

(6)研究開発促進のため、試験研究税制について、研究兼務者の人件費を試験研究費として認定するなど、制度の見直しを行うこと。あわせて、特許権の取得費用に係る税額控除制度を創設すること。

(7)ベンチャー企業の育成・新規創業の促進のため、創業後5年間に生じた欠損金の無期限の繰越控除制度を創設すること。

(8)欧米諸国に比べて短い欠損金の繰越期間を10年に延長すること。延長ができない場合には、「輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法」で規定された特定対内投資事業者の欠損金の繰越期間の特例措置を延長すること。

(9)租税特別措置法で一部を除き不適用とされている繰戻還付の適用を認めること。その適用ができない場合には、「中小企業経営革新支援法」に規定する承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行う中小企業者および創業5年以内の中小企業者に対する欠損金の繰り戻しによる還付の不適用の適用除外措置の適用期限を延長すること。

(10) 中小企業の内部留保を拡充し経営基盤の強化を図るため、中小同族会社の留保金課税制度を廃止すること。

(11)中小企業の体質強化と活力増進を図るため、中小企業軽減税率について税率を引き下げるとともに、適用所得金額(現行800万円)を引き上げること。

(12)実効税率が少なくとも欧州主要国並みの水準となるよう、法人税の基本税率の引き下げを検討すること。また、これ以上の課税ベースの拡大は、企業の経営改革の進行を遅らせ、経済構造改革にもマイナスに働くおそれがあることから、行わないこと。

(13)交際費について、企業会計原則では法人が支出する交際費は全額損金算入可能となっていることから、全額損金算入を認めること。

(14)企業年金の拡充のため、以下の措置を講じること。

@確定拠出年金における拠出限度額を年額76.5万円または給与の13.3%のどちらか低い方へ引き上げる。
A年金積立金の運用段階を対象とした特別法人税を廃止する。
B確定拠出年金におけるマッチング拠出を認める。
C退職給付制度間の移行について特定退職金共済制度を対象とする。   
D確定拠出年金における少額資産者の中途脱退の要件緩和、中途引き出しの認可など制度の見直しを図る。
(15)エネルギー需給構造改革投資促進税制について適用期限の延長および内容の拡充を図ること。

(16)法人における受取配当益金不算入割合を100%に引き上げること。

(17)企業の組織再編を促進し、わが国企業の競争力強化を図るため、組織再編税制における適格要件の見直しを行うこと。

(18)観光客誘致のためのイベントに係る寄附に関する損金算入の優遇措置を講じること。

(19)連結付加税について、期限どおり確実に撤廃すること。

(20)事業再生を促進するため、債務免除等があった場合に繰越控除できる期限切れ欠損金の算出方式を見直すこと。

(21)企業の事業再編に必要となる資金ニーズにこたえるため、投資事業有限責任組合制度における投資先の制限を撤廃すること。

(22)「産業活力再生特別措置法」に基づく親会社株式を用いた三角組織再編についての課税繰延べの特例措置を創設すること。

(23)障害者対応設備等の特別償却の適用期限を延長すること。

(24)一般公害防止用設備の特別償却の適用期限を延長すること。

(25)再商品化設備等の特別償却の適用期限を延長すること。

(26)「輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法」に基づく特定集積地区内において輸入関連事業者が取得する一定の事業用建物等に対する特別償却の適用期限を延長すること。

(27)海外投資等損失準備金制度の適用期限を延長すること。

(28)保険会社等の異常危険準備金制度の適用期限を延長すること。

(29)「中心市街地活性化法」に規定する認定特定事業者等が認定特定事業計画等に基づき取得した施設等の特別償却制度の適用期限を延長すること。

(30)非居住者および外国法人に対する民間国外債の利子等の非課税措置の適用期限を延長すること。

(31)わが国企業の国際競争力向上のため、外国税額控除制度における間接税額控除の対象範囲の拡大やタックスヘイブン税制について所要の見直しを行うなど、国際課税制度の整備を図ること。

3.相続税

(1) 円滑な事業の継続・発展のため、以下の税制措置を講じること。

@円滑な事業の継続・発展を可能とするため、事業用資産に対する相続税については、欧州諸国の例に見られるように、5年程度の事業継続を前提に、課税対象額の5割を控除するといった、新たな事業承継税制を確立すること。
A取引相場のない株式について、類似業種比準方式において大会社、中会社、小会社ごとに定められている斟酌率を会社の規模を問わず0.5にあわせるなど、評価方法の改善を図ること。また、平成13年以降、企業組織再編成にかかる税制の見直しが行われてきたが、株式の評価において企業組織を再編成したことが不利にならないよう、評価方式を検討すること。
(2)上場株式等に対する相続税評価の軽減など、個人投資家を証券市場に呼び込むための措置を検討すること。

(3)政府税制調査会の中期答申において今後の検討課題として指摘されている相続税の課税ベースの拡大については、事業承継など相続税制全体の見直しの中で検討すべきである。

4.その他

(1) 登録免許税の負担を手数料水準にまで引き下げること。   

(2)印紙税について、非課税限度額を引き上げるとともに、税負担を軽減すること。

(3)約束手形コマーシャルペーパーに係る印紙税の特例措置の適用期限を延長すること。      

U.地方税
   

1.住民税

(1)住宅特定居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度の適用期限を延長すること。

(2)年間一定限度額までの株式投資等についての配当および譲渡益を非課税とする「日本版PEP(個人株式投資プラン)制度」を創設するなど、個人投資家を証券市場に呼び込むために証券税制のより一層の拡充を図ること。

(3)個人の土地の長期譲渡所得課税の税率の軽減を図ること。   

(4)研究開発促進のため、試験研究税制について、研究兼務者の人件費を試験研究費として認定するなど、制度の見直しを行うこと。   

(5)ベンチャー企業の育成・新規創業の促進のため、以下の税制措置を講じること。   

@現行エンジェル税制について、ベンチャー企業への投資ロスと他の所得との損益通算を認めるとともに、繰越控除期間(現行3年)を5年へ延長する等、制度の充実を図る。   
A平成15年度税制改正で講じられた株式譲渡益の範囲で所得税の特例控除を行う制度について、住民税においても導入する
(6)公開前3年超保有していた株式の譲渡益に係る譲渡所得の特例について、創業時から株式を所有していた場合は、株式公開前3年超の株式所有の要件を満たさなくてもよいこととすること。

(7)相続によらない事業承継の円滑化を図るため、以下の措置を講じること。 @非上場株式を譲渡した場合における譲渡益課税率の引き下げ等を図る。
A金庫株取得の際のみなし配当課税について、上場株式等の場合と同様に譲渡益課税とする。
(8)高齢者世代は現役世代に比べて税制上の優遇措置が講じられているが、高齢者の経済状態はさまざまであることから、一律の優遇をやめ、経済状態を勘案しつつ能力に応じた適切な負担を求めるため、現行の公的年金等控除、老年者控除について見直し、縮小すること。

(9)企業年金の拡充のため、以下の措置を講じること。 @確定拠出年金における拠出限度額を年額76.5万円または給与の13.3%のどちらか低い方へ引き上げる。
A年金積立金の運用段階を対象とした特別法人税を廃止する。
B確定拠出年金におけるマッチング拠出を認める。
C退職給付制度間の移行について特定退職金共済制度を対象とする。
D確定拠出年金における少額資産者の中途脱退の要件緩和、中途引き出しの認可など制度の見直しを図る。
(10)金融課税の一元化へ向け、配当を損益通算の対象に含めるとともに、株式投資信託の損失繰越を可能とすること。また、損益通算にあたっては、上場株式のみならず非上場株式もその対象に加えること。

(11)給与所得者が職業能力の開発・向上に資する自己啓発を行った場合の費用を特定支出控除の対象とすること。

2.事業税

(1)法人事業税への外形標準課税を撤廃すること。

(2)電気供給業およびガス供給業について、「その他の事業」と同一の扱いに改めること。

3.固定資産税

(1)商業地等における固定資産税負担は依然として高水準で推移し、地価水準との大幅な乖離が続いており、また、家屋についても、評価基準が複雑等の問題があることから、固定資産税の評価方法の改善や税率の引き下げ等による抜本的な税負担の軽減措置を講じること。

(2)新築住宅等に対する固定資産税の減額措置に係る適用期限を延長すること。

(3)優良賃貸住宅建設に対する固定資産税の特例措置に係る適用期限を延長すること。

(4)観光振興を図るため、政府登録ホテル・旅館業用の建物に対する固定資産税の軽減措置の全国完全実施を促進するとともに、それに係る地方自治体への財源補填措置を創設すること。また、その他の観光振興に資する施設についても、一定の水準を備えたものは固定資産税の軽減を検討すること。

(5)公害防止用設備に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長すること。

(6)廃棄物再生処理用設備に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長すること。

(7)電線類の地中化設備に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長すること。   

(8) 地震防災対策用資産に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長すること。

4.不動産取得税

(1)不動産取得税を廃止すること。

(2)不動産取得税を廃止できない場合には、住宅および住宅用土地の取得に係る特例措置について、適用期限を延長すること。

5.事業所税

(1)事業所税については、二重課税および都市間の課税の公平上の問題があるため、廃止すること。

(2)事業所税を廃止できない場合には、以下の措置を講じること。

@「民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法」に規定する特定施設に対する資産割に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長する。
A「地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律」に規定する拠点地区における教養文化施設等に対する資産割に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長する。

6.特別土地保有税

 平成15年度から新規課税が停止中の特別土地保有税について、過去からの徴収猶予分に係る納税義務の免除要件を緩和すること。また、徴収猶予の適用が終了する以下の法律に基づき取得した土地に係る非課税措置の適用期限を延長すること。

@「輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法」に規定する特定集積地区において輸入関連事業者が整備する一定の施設の用に供する土地に係る非課税措置。
A「地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律」に基づく業務拠点地区において産業業務施設の用に供する土地または拠点地区において教養文化施設等の用に供する土地等に係る非課税措置。

7.自動車税

 自動車税のグリーン化について、所要の見直しを行ったうえで適用期限を延長すること。   

8.自動車取得税

(1)「エネルギーの使用の合理化に関する法律」に基づく一定の基準を満たす低燃費車に係る特例措置について、適用期限を延長すること。

(2)最新排出ガス規制適合車の取得に係る特例措置の適用対象に平成17年規制適合車を追加すること。

(3)自動車NOx・PM法対策地域内に係る窒素酸化物および粒子状物質排出基準非適合車を代替した場合の特例措置の軽減対象に平成17年規制に適合している車を追加すること。

V.その他

1.環境税の導入反対

 環境省の中央環境審議会の専門委員会では、先ごろ「温暖化対策税制の具体的な制度の案」を公表したが、地球温暖化対策をはじめとする環境対策については、環境と経済の両立が大前提であり、特に地球温暖化対策は、ステップ・バイ・ステップのアプローチのもとに進められることが決められていることから、税や課徴金は第1ステップの取り組みを評価・見直したうえで、なお目標が達成できない場合に検討されるべき対策のはずである。   
 地球温暖化対策として今取り組むべきは、温室効果ガス排出量の増加が顕著な民生・運輸部門における削減を図るための国民的な取り組みを展開することであり、環境税導入の議論を行うことではない。しかも現下の経済情勢を鑑みれば、産業界に新たな税負担を課す環境税の導入は経済に致命的な打撃を与え、環境と経済の両立を実現することは不可能となることから、環境税の導入には断固反対である。

2.国と地方のあり方と税制

(1)財政のプライマリーバランスの改善のためには、まずは歳出構造の抜本的見直しを含む行財政改革による徹底した歳出削減や、景気回復による自然増収を図ることが先決である。行財政改革に際しては、国から地方への権限の移譲とともに税源の移譲が必要不可欠であることから、国と地方の役割分担を明確化したうえで、地方が必要とする税財源は、地方の行財政改革の徹底を条件に、基幹税である所得税と消費税の一定割合を国から移譲すべきである。

(2)地方の課税自主権については、地方分権の観点から尊重すべきであるが、まずは納税者が納得できる行財政改革を徹底的に行い、そのうえで必要であれば、住民の利益と負担の選択のもとに地域住民全体を対象とした独自課税を実施すべきであり、「取りやすいところから取る」といった法人への安易な課税による税収確保は認められない。   

3.固定資産の減損会計への対応

 現在、企業会計基準委員会において固定資産への減損会計適用に向けた準備が進められているが、当所では、デフレが解消されないまま減損会計が予定通り2006年3月期から導入されることになれば、わが国の企業や経済に極めて大きな打撃を与えるおそれが懸念されることから、その導入に関しては慎重かつ多面的な検討を行うよう要望しているところである。その根拠のひとつとして、現行の法人税法においては、原則として固定資産の減損会計の適用による減損損失の損金算入が認められていないという問題がある。企業会計上で減損損失の計上が強制される一方で税負担は軽減されないとなると、税務会計と企業会計との二重計算による過度な実務負担の増加が懸念され、また、固定資産を売却して実現損失として損金算入するほうが税制上有利となるために、各企業は減損対象の固定資産の処分を急ぐことになる。買い手がほとんどいない現状でそのような状況になれば、わが国の不動産市場は機能しなくなるおそれがある。   

4.納税者番号制度の導入

 経済活動のボーダーレス化、金融資本取引の多様化、電子商取引の拡大や電子申告・納税制度の導入など情報化・電子化の進展、さらには将来の二元的所得税の導入へ向け、適正かつ公平な課税を実現するため、納税者番号制度の導入を検討すべきである。ただしその際は、導入コストの抑制を念頭に置くとともに、個人のプライバシーが漏れることが絶対にないよう情報遺漏防止に万全を図り、目的を逸脱した使用には罰則を科すなどの措置を講じる必要がある。

5.電子申告・納税制度の推進と源泉徴収制度の見直し等

 簡便な納税申告制度の確立は、納税者側、徴税側の双方にメリットがあることから、平成16年2月から順次運用が開始される予定の電子申告・納税制度を積極的に推進すべきである。   
 また、現行の源泉徴収制度については、本来税務当局が行うべき徴税業務を企業が肩代わりしているものであり、給与所得者の納税意識と税への関心を希薄化させる一因にもなっていることから見直すべきである。その際、あわせて特定支出控除の拡充を行うなど納税申告を促進させるための環境整備を図るべきである。
 なお、納税者の負担軽減と徴税等の効率化による行政コスト削減のため、現在国税と地方税、税と社会保険料に分かれている徴収体制についても、一元化を図るべきである。   

6.公益法人課税強化に反対

 公益法人課税の見直しは、個々の公益法人の活動実態を十分に踏まえて実施する必要があり、商工会議所のような特に公益性の高い法人はその存在意義や役割がむしろ地方自治体や公共法人と同等であるといえるので、現行以上の課税強化は行うべきでない。

7.その他

(1)2005年日本国際博覧会(愛・地球博)の開催に伴う国有資産等所在市町村交付金の特例措置を創設すること。

(2)延滞税の税率を引き下げるとともに、予定納税時期の納税が遅れた場合の延滞税の課税を廃止すること。   


以 上




別 紙

平成16年度事業承継円滑化のための税制措置に関する要望


 わが国中小企業は、長引く景気の低迷により厳しい経営環境にさらされ、また経済のグローバル化の進展に伴い、国際競争の中で生き残りを図らなければならない苦しい立場におかれている。日本の企業数の99%以上を占め、雇用の70%を支える中小企業は、まさに日本経済のダイナミズムの源泉であり、これら中小企業の発展なくしてわが国の再生はありえない。そのため、中小企業の活性化を図るための施策の充実は欠かせないが、とりわけ税制は、企業行動に直接的な影響を与えることから、企業活力を創出させ、わが国の国際競争力の強化に資する税制改革が早急に行われる必要がある。

 企業は、継続事業体(ゴーイング・コンサーン)として長期にわたり事業活動を行うことが期待されている存在であるが、経営者は自然人であるが故に永遠には存在しえず、事業の継続的な発展の過程で経営に関して後継者への承継が発生することは避けられない。特に中小企業は、その特性として個人事業形態、あるいは法人であっても経営と資本が未分離の場合が多く、また同族的な色彩が強いことから、多くの場合、経営の承継は相続というかたちをとる。その際、経営を引き継ぐ者は、世代交代に伴う対外的信用力の低下や経営に携わった経験の差などから幾多の新たなる困難に直面することになるが、それに加え事業用資産に対して相続税が課税されるため、税制面からも事業継続が困難となっている。   
 長引く不況により事業の継続的な展開が困難な中にあって、中小企業は生き残りを図るために、従来の経営手法にとらわれず、リスクを負いながらも新分野への進出や新技術の開発に積極的に取り組むなど厳しい経営環境の変化に適応するための努力を重ねていかなければならない。ましてや、相続により事業を承継する者は、それらの経営努力に加えいわゆる「第二創業」として新規事業の展開を図っていくことが求められている。    
 こうした観点に立てば、現行の相続税の課税理念そのものを見直し、事業用資産については一般的な相続財産とは区分して、相続税の課税対象から除外すべきである。   

 一方、国際競争力の強化の観点からも、相続税制の見直しは喫緊の課題である。海外における相続税の課税状況を見ると、欧州諸国においては、近年、事業の継続性に着目したかたちで相続税制の見直しを行い、事業用資産に対する相続税の軽減措置を講じている。また、アメリカは2010年までに相続税を段階的に廃止する方向にあり、わが国と熾烈な競争を繰り広げているアジア諸国においては、そもそも一部の国を除いて相続税制自体が存在しない。これらに対し、わが国の中小企業は、事業承継にあたり非常に高い相続税を負担させられており、国際競争力の面で不利な状況に立たされている。こうした状況を早急に是正しなければ、厳しい経営環境の中で必死に頑張っている企業の活力を削ぎ、地域産業の空洞化は一層進み、わが国経済社会を安定化させることはますます困難となる。さらには、相続税の課税により企業そのものが存続できなくなる事態になれば、結果的に企業からの税収が落ち込み、わが国財政にも大きな影響を与えることになる。   

 以上のことから、世代交代が行われても円滑に事業の継続、発展を可能とする事業承継税制の構築を図るため、平成16年度税制改正にあたり、下記事項の実現を要望する。      
   

1.事業用資産に対する包括的な事業承継税制の確立

 平成14年度税制改正で取引相場のない株式等についての相続税の課税価格の計算の特例が創設され、平成15年度税制改正においてはその内容が拡充されたことは、かねてから商工会議所が主張してきた包括的な事業承継税制の確立へつながるものとして評価するところである。    
 しかしながら、そもそも事業用資産は、企業が継続的に活動していくための基本的な基盤であり、そこに一般的な相続財産と同様の担税力を見出して課税することは適当ではない。事業の承継とは、継続的に活動している企業の経営そのものを引き継ぐことであり、事業用資産の相続は、一般的な財産の相続とは本質的に意味合いが異なることから、相続税の課税対象とすべきではない。
 このため、相続により承継される事業用資産については非課税とすべきである。その実現へ向け、平成16年度税制改正にあたっては、少なくとも欧州諸国の例に見られるように、5年程度の事業継続を前提に課税対象額の5割を控除するといった制度を現行制度との選択制のもとで創設し、過大な相続税負担により事業体を毀損することなく円滑な事業の継続、発展を可能とする税制の構築を図るべきである。   

2.非上場株式に係る譲渡益課税の税率の軽減等

 事業承継は、継続事業体として成長・発展を続ける企業の経営の継承であることから、中小企業の承継は必ずしも相続によるものばかりとは限らず、第三者が後継者として事業を引き継ぐこともありえる。この場合、事業の承継は、経営権の譲渡、すなわち株式の譲渡によることとなるが、その際、譲渡益が発生する。   
 株式譲渡益課税については、平成15年度税制改正において、上場株式等の税率が縮減されたが、非上場株式については見直しが行われていない。相続によらない中小企業の事業承継の円滑化を図るため、非上場株式の譲渡益課税の税率を10%に軽減すべきである。   
 あわせて、相続人が相続税の納税資金確保のために会社へ自己株式を売却した場合、現行では、上場株式は譲渡益課税されるのに対し、非上場株式はみなし配当とされて総合課税されており、納税しようとする者に対して過重な税負担となっている。このため、非上場株式の会社への売却について、上場株式と同様に譲渡益課税とすべきである。    

3.取引相場のない株式の評価方法の改善

 取引相場のない株式については、評価の不安定性の蓋然性の観点から、会社の規模に応じ斟酌率に格差を設けて評価を行っているが、会社の評価に伴う各種のリスクと会社の規模の間には相関性はない。このため、現行では大会社・中会社・小会社ごとに定められている斟酌率を小会社の0.5にあわせるなど、取引相場のない株式の評価のさらなる改善を図るべきである。   
 また、平成13年以降、企業組織再編成に係る税制の見直しが行われてきたが、株式の評価において企業組織を再編成したことが不利にならないよう、評価方式を検討されたい。

以 上



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