当面の経済運営等に関する緊急提言

〜日本商工会議所第96回通常会員総会決議〜

   

平成14年9月19日
日本商工会議所


 現在、小泉総理が推進されている構造改革は、中長期的には、わが国経済を再び持続的な成長に戻すためには避けて通れない課題であり、商工会議所はこれを全面的に支援していく所存である。しかし、構造改革を成功させるためには、まずはデフレを克服し、経済を安定させることが先決である。また、長引くデフレ経済下において、特にわが国企業の大宗を占める中小企業の疲弊は甚だしく、自助自立の精神で真摯な経営努力を続けているものの、その多くが存亡の危機に立たされている。中小企業の活性化なくして、日本経済にダイナミズムが蘇ることはありえない。それにもかかわらず、法人事業税への外形標準課税導入や消費税の免税点制度等の見直しなど、中小企業を一層窮地に追い込む施策が検討されているのは、誠に遺憾である。
 このため、まず、政府・与党は、政治の強力なリーダーシップのもとに、中小企業の活性化に資する下記事項について実現を図られたい。


1.デフレ克服のための柔軟かつ大胆な経済運営を行うこと
 デフレ対策として、住宅取得・消費促進のための相続税・贈与税の活用、住宅投資減税の拡充、設備投資・研究開発促進のための税制措置の拡充等、景気に即効性のある措置については、早期実現を図り前倒しで実行されたい。
 また、来年度予算については、景気に軸足を置いた柔軟な編成を行うとともに、今年度においても、予算の円滑な執行はもとより、国債30兆円枠にとらわれることなく、追加の財政出動も視野に入れた大胆な経済運営を行われたい。


2.法人事業税への外形標準課税の導入は絶対行わないこと
 賃金・資本金等を課税標準とする外形標準課税の導入が強行されれば、担税力が低く、日々の資金繰りすら困難な、中小企業の7割を超える欠損法人に対して、到底負担できないような重税が課される。多くの中小企業が苦境にある今、何故との疑問を禁じえない。加えて、黒字中小企業であっても、その多くは大幅増税となる。
 赤字法人は、各地域で行政サービスを受けながら、法人事業税を負担していないとの批判があるが、赤字法人であっても、すでに、行政サービスの対価として、法人住民税均等割、固定資産税、事業所税など、外形基準による税を4.5兆円(黒字法人を含む全企業の負担額6.3兆円のうち)負担している。
 一方、固定資産税などは市町村税であり、法人事業税は都道府県税であるから都道府県の税収欠陥は解消されないという反論もある。しかし、それは都道府県と市町村、さらには国と地方の税源配分の偏りの問題であり、国と地方を通じた税体系を見直すことこそが先決である。


3.消費税の免税点制度および簡易課税制度を維持・存続すること
 免税点制度については、デフレ経済が進展し、価格競争が激化している中にあって、小規模零細事業者である免税事業者は、仕入れに係る消費税分の価格転嫁がより困難になっており、いわゆる「益税」どころか、むしろ「損税」となっている。そもそも売上3000万円以下の免税事業者の所得規模は半数以上が年300万円以下であり、そのような小規模零細事業者に納税のための負担を課することは消費税導入時の趣旨に照らしても不当である。
 また、簡易課税制度は、これまでの二度にわたる見直しの結果、みなし仕入れ率は、ほぼ実態にあったものとなっている。したがって、小規模零細事業者等の経営に重大な悪影響を及ぼさないよう、これらの制度は維持・存続されたい。


4.実効性のある中小企業金融対策実現とペイオフ全面解禁を延期すること
 ペイオフの全面解禁については、中小企業を取り巻く深刻な金融環境を十分考慮のうえ、金融システムの安定化がより確実なものとなるまでは延期されたい。
 また、中小企業金融のセーフティネット機能を有する政府系金融機関の必要性はますます高まっているため、当分の間、改革論議は凍結されたい。


5.真に必要な道路の整備を推進すること
 現在議論されている道路建設問題に関しては、道路は本来公共財であることに鑑み、真に必要なものについては一般会計から国費を投じてでも建設を進め、道路公団の健全化問題とは分けて考えるべきである。


以 上


ホームページ