平成15年度税制改正に関する要望

平成14年9月18日
日本商工会議所


 日本商工会議所では、税制改革について、本年4月にデフレ克服のための緊急特別措置および中長期的改革の課題に対する考え方をとりまとめ、「税制抜本改革に関する意見」として発表した。同意見では、国際競争力のある税制、「活力」の視点からの改革、負担能力にも配慮した広く薄い負担、持続可能な改革の4点を基本的な理念として税制改革を進めることとし、また、改革にあたっては、地方分権の推進と国から地方への税源移譲、国際競争力のある税制の構築のための諸制度の見直し、所得課税・資産課税・消費課税のバランスに留意するとともに、財政収支に関して、単年度ごとの税収中立にとらわれるのではなく、まずは減税を先行させて景気回復を図り、その後の税の自然増収で収支均衡を目指すなど中期的な視野に立つことが必要であることを主張した。


 しかし、政府税制調査会が6月に答申した「あるべき税制の構築に向けた基本方針」では、全体を通じて、財政再建の観点からいかに税収を確保するかということに主眼がおかれたものとなっており、われわれとは、考え方をまったく異にするものである。特に、法人事業税への外形標準課税について「早急に導入すべき」とし、消費税に関しても、免税点制度の大幅な縮小や簡易課税制度の廃止を含めた抜本的見直しを行うべきとするなど、厳しい経営環境にある中小企業を犠牲にするような方向での言及がなされている。また、その後、「税についての対話集会」での意見交換を踏まえ、9月3日に公表された「『あるべき税制』の実現に向けた議論の中間整理」においても、外形標準課税の導入や消費税の免税点制度等の縮小等について、われわれの主張を無視した一方的なとりまとめがなされている。われわれは、こうした、まさに「中小企業いじめ」とも言える措置を到底容認することはできない。政府税制調査会は、11月頃を目途に具体的な税制改革案をとりまとめるとのことであるが、改革案の具体化にあたっては、以下に掲げるわれわれの主張を十分に汲んだものとなるよう、強く求めるものである。


 デフレが進展し、景気回復の実感が全く感じられない中、特にわが国企業数の99%以上を占め、70%の従業者を抱える中小企業は、まさに経営努力の限界を超えた苦境に立たされている。また、近年、生産コストの格差等を理由に国内企業のアジア諸国等への移転が急速に進み、地域産業の空洞化が深刻な問題となっているが、地域産業の空洞化は、地域にとっても、また、ひいては将来の日本の存立にかかわる極めて重要な課題である。  国際競争力を高め、地域経済を再び活性化させ、わが国経済を持続的成長軌道に乗せるためには、中小企業が現下の苦境を乗り越え、活力を取り戻すことが必要であり、そのためには、一刻も早く景気を回復させ、経済を安定化させることが何よりも求められる。税制は、冷え切った国内需要を喚起し、経済社会の活力を増進するための極めて有効な手段であり、今こそ、思い切った改革が必要である。 この点、先行減税については、「多年度税収中立」を前提とするとしても、減税を時限措置とすれば中長期的には実質増税にならざるを得ないことから、景気回復に水を差すことがないよう、十分な配慮が必要である。


 このような観点から、平成15年度税制改正にあたり、以下の事項の実現を強く要望する。特に、デフレ克服のための緊急特別措置については、前倒しで実施されたい。
 なお、項目ごとの詳細については、今後も追加的に提言を行っていく。


重点要望項目

Tデフレ克服のための緊急特別措置の実施について(前倒し実施分)

 税制は、新たな消費や投資を呼び起こすための重要な手段であり、現下の厳しいわが国経済を立て直すためには、税制面からの支援が欠かせない。このため、以下の税制措置を緊急に講じ、実施すべきである。

1.住宅取得・消費促進のための贈与税の活用

 高齢者層の個人金融資産を若年・中堅層に移転させることにより、雇用を含めて経済波及効果が極めて大きい住宅投資や個人消費の拡大等、大規模な需要創出効果が期待できることから、資産の世代間移転の円滑化のため、相続税と贈与税の見直しを図るとともに、次に掲げる措置を講じること。
(1)住宅取得資金等の贈与に対する非課税枠(現行550万円)を3,000万円へ拡大する。
(2)時限的な措置として、贈与税の基礎控除額(現行110万円)を相続税の法定相続人一人あたりの基礎控除額である1,000万円まで引き上げる。


2.住宅投資減税の拡充

 住宅投資は、そのほとんどが個人の資金であり、また、住宅建設によって税収の純増が期待できることから、次に掲げる措置を講じること。
(1)現行の住宅ローン税額控除制度について、対象を拡大するとともに、現行3,000万円の所得要件を撤廃する。また、良質な住宅ストックの拡充を図るため、増改築・リフォームに係るローン期間要件(現行10年以上)を3年以上に短縮する。
(2)住宅ローンの支払利子を所得から控除する住宅ローン利子所得控除制度を創設する。
(3)省エネ・環境・防災・バリアフリー住宅等に対する税制措置を創設する。


3.不動産流動化・都市再生等のための税制措置

(1)わが国の不動産税制には、バブル期までの一貫した地価上昇を背景に、投資抑制を目的とするものが依然として残っていることから、不動産の流動化等を促進するため、不動産流通税の見直し(登録免許税の手数料程度への引き下げ、不動産取得税の廃止、特別土地保有税の廃止、事業所税の廃止)を行うこと。
(2)土地の有効利用を通じて都市再生を促進するため、法人の譲渡益課税重課制度の恒久的廃止、個人の土地の長期譲渡所得課税の税率の一律分離課税の軽減、事業用資産の買い換え特例の繰延べ割合の100%への引き上げ、「都市再生特別措置法」に基づく都市再生緊急整備地域における税制上の特例措置の創設を図ること。


4.設備投資・研究開発促進のための税制措置の拡充等

(1)設備投資促進のための税制措置の拡充等
 企業の設備投資を促すため、中小企業投資促進税制について、税額控除率および特別償却率を引き上げる等、拡充を図ること。
 また、わが国経済社会のIT化を推進するため、IT投資額の10%の税額控除等の制度を創設すること。
 さらに、低公害車等省エネ・環境対策に資する自動車取得税の非課税措置など税制措置の拡充を図ること。
(2)研究開発促進のための税制措置の拡充等
 企業の前向きな研究開発は、新たな雇用や産業創出の原動力であるので、研究開発を一層促進することが必要である。しかし、現行の増加試験研究費税額控除制度は、適用事業年度の試験研究費の額がその前年度および前々年度の試験研究費の額を超えていることなど適用条件が厳しく、活用しにくいため、試験研究費総額の10%の税額控除など、広範に活用できる新たな研究開発支援税制の創設を含め、抜本的に改正・充実すべきである。


5.ベンチャー・新規創業支援のための税制措置の拡充

 わが国経済の活力を将来にわたって維持・強化していくためには、ベンチャー・新規創業企業の存在が極めて重要であることから、次に掲げる措置を講じること。
(1)現行エンジェル税制について、ベンチャー企業への投資ロスと他の所得との損益通算を認めるとともに、繰越控除(現行3年)を5年へ延長する等の措置を講じる。
(2)投資誘発効果を高めるため、イギリス、フランスなどの制度と同様、ベンチャー企業に対する投資額の20%の税額控除を認める。
(3)創業後5年間に生じた欠損金の無期限の繰越控除制度を創設する。


6.証券税制の見直し

 平成15年1月から、申告分離課税への一本化、一定の要件のもとでの軽減税率の適用等、新証券税制が導入されるが、新証券税制は、申告納税の手間が増え、また、制度も複雑であるため、投資家の株式離れを引き起こし、最近の株式相場低迷の一因との指摘もなされている。したがって、制度の簡素化を図り、投資家離れを防ぎ、証券市場の活性化を図る方向で、新証券税制を改めて見直すべきである。なお、制度が簡素化されるまでの間は、少なくとも源泉分離課税方式は存続させるべきである。


7.交際費課税

 法人が支出する交際費については、企業会計原則に則り、全額損金算入を認めるべきである。なお、一挙に全額損金算入が難しい場合には、当面の措置として、現在、資本金5,000万円以下の法人にのみ認められている定額控除限度額の適用範囲を「資本金1億円以下」に拡大するとともに、定額控除限度額(支出額が定額控除限度額に満たない場合は、支出額の全額)まで損金算入を認めるべきである。


U 平成15年度税制改正にあたっての重点要望項目について(平成15年度から実施分)


1.法人事業税への外形標準課税導入には絶対反対

 法人事業税への外形標準課税の導入は、地方自治体の行財政改革が徹底されないままに、まず財政安定化ありきの安易な発想により、赤字中小企業に対して到底負担できないような重税を課すとともに、多くの黒字中小企業にも大幅な増税を強いるものであるため、絶対反対である。
昨年公表された総務省案によれば、所得に係る税率が半分になることから、ごく一部の高収益をあげている法人については、法人事業税額が減少し、実質的な税負担率は下がる可能性はあるが、新たに賃金や資本金等の所得以外の基準によって課税されることにより、中小企業全体の9割以上が増税となる。「外形標準課税を導入すると、法人所得課税の実効税率が下がる」との主張があるが、外形標準課税導入に伴い所得に係る税率が半分になることから、法人所得課税の実効税率が下がるのは当然であり、むしろ、こうした9割を超える法人の税負担の増大をまったく無視し、わずか1割にも満たない法人の所得部分に係る税負担率の低下だけに着目して、法人所得課税の実効税率が下がるとするのは、国民に誤解を与えるものであって、到底納得できない。
 また、中小企業への配慮として、簡易外形税額を設け、小規模法人は年間48,000円を負担するだけで済むとの論調があるが、年間48,000円で済むのは資本金1,000万円未満の赤字法人に限られるところであり、むしろ、資本金1,000万円から1億円の、中小企業の半数を占める「普通の中小企業」では、赤字であっても、年間数十万円から数百万円の税負担となり、中小企業への「配慮」とはまったくいえないものである。赤字法人でもキャッシュフローがまわっていれば会社の存続は可能となるが、外形標準課税は、法人からそのキャッシュフローを奪い取り、企業存続を困難に追い込むものである。さらには、黒字法人についても、8割近い法人で現在よりも税負担が増え、その負担は現行の約1.6倍となるなど、大幅な増税を強いるものである。
 加えて、「税の空洞化」として、あたかも全体の7割を占める赤字法人が税を全く払っていないかのような論調があるが、地方税において、法人が行政サービスの対価として負担する所得外課税(法人住民税均等割・固定資産税等)6.3兆円のうち、赤字法人はすでに4.5兆円も負担しているばかりか、従業員の雇用維持・創出および従業員の給与所得からの税収等を通じて、地域経済や地域社会の安定に大きく貢献している。つまり、問題は、むしろ都道府県と市町村の間の法人課税の税源配分の偏りにある。したがって、都道府県と市町村の、さらには国と地方の財源配分を変えるなど、国・地方を通じた税体系を見直すことが先決である。
 このように非常に大きな問題を抱える外形標準課税の導入は、まさに、現下の厳しい経済状況に苦しみながらも、日々の経営に汗を流している多くの企業をいじめるものであり、断じて容認できない。


2.消費税の免税点制度、簡易課税制度の維持・存続

 消費税の免税点制度および簡易課税制度について、対象事業者にあたかも多額の「益税」が発生しているのではないかとの観点から、制度を縮小・廃止すべきであるとの考え方があるが、「益税」が発生しているというのは実態から遊離した誤解に基づく主張である。デフレ経済が進展し、価格競争が激化している中にあって、小規模零細事業者である免税事業者は、仕入れに係る消費税分の価格転嫁がより困難になっており、いわゆる「益税」どころか、むしろ「損税」となっている。また、簡易課税制度について、これまでの二度にわたる見直しの結果、みなし仕入れ率は細分化され、ほぼ実態にあったものとなっている。
 したがって、小規模零細事業者等の経営に重大な悪影響を及ぼすことから、現行の免税点制度および簡易課税制度は、維持・存続すべきである。


3.新たな事業承継税制の確立等

 中小企業の「事業体」としての継続・発展は、わが国経済の将来にわたる持続的な成長とともに、国際競争力の維持・強化の観点からも極めて重要であり、そのためには、円滑な事業の継続・発展を可能とする税制を、一刻も早く構築することが必要である。このため、欧州の例に見られるように、事業用資産について、5年程度の事業継続を前提に、課税対象額の5割を控除するといった、事業用資産に対する包括的な事業承継税制を確立すべきである。また、既存の制度についても、取引相場のない株式の評価方法の改善や相続税・贈与税の税率構造の見直しを行う等、さらなる改善を図るべきである  (詳細は別紙「平成15年度事業承継円滑化のための税制改正に関する要望」を参照)。


4.法人税率の引き下げ等

 近年の税制改正によりわが国の法人所得課税の実効税率はすでに国際標準並みとの認識を税務当局は示しているが、欧米並びにアジア諸国と比べるとそうは言い難く、国際競争力の確保の観点から、法人課税のあり方が問われている。企業活動がグロ−バル化する中で、法人課税については、国際情勢を十分踏まえた見直しが常に行われるべきであり、また地域産業の空洞化対策の観点からも、実効税率が少なくとも欧州主要国並みの水準となるよう、基本税率(現行30%)の更なる引き下げを行うべきである。
 また、現下の厳しい経済環境に鑑みると、これ以上の課税ベースの拡大は、企業の経営改革の進行を鈍らせ、経済構造改革にもマイナスに働くおそれがあるため容認できない。
   なお、法人関連の租税特別措置については、政策効果の実態および企業活動の実態に照らし見直しが必要であるが、企業活力強化の観点から、中小企業投資促進税制、中小企業等基盤強化税制、中小企業技術基盤強化税制等、設備投資や研究開発に資する措置については維持・拡充すべきである。加えて、同様の趣旨から、減価償却資産の法定耐用年数の短縮、少額減価償却資産の取得価額基準(現行10万円)の引き上げ等、減価償却制度の見直しを行うべきである。


5.中小企業関係税制の是正・拡充

(1)同族会社の留保金課税制度の全面的廃止
 留保金課税は、中小企業にとって経営基盤の強化と新規事業展開等、企業活力の再生を図るために必要な内部留保の拡充を阻害するものとなっており、また、法人税率と所得税最高税率との格差が大幅に縮小されている今日、もはや留保金課税の存在意義は失われたと言わざるを得ない。したがって、同制度については直ちに全面的に廃止すべきである。
(2)中小企業軽減税率の引き下げと適用所得金額の引き上げ
 中小企業の体質強化と活力増進を図るため、法人税の中小企業軽減税率について、税率を引き下げるとともに、昭和56年以来据え置かれている適用所得金額(現行800万円)を引き上げるべきである。
(3)欠損金繰越期間の延長と繰戻還付の適用
 課税上の期間損益の通算は、企業が中長期的な視点に立った経営を行ううえで極めて重要であるため、欧米先進国に比べて短い欠損金繰越期間(現行:原則5年)を、10年に延長するとともに、一部を除き不適用になっている繰戻還付を認めるべきである。
(4)中小企業再生支援税制の強化
 失敗してもやり直しのできる社会を実現するため、法人の債務に係る個人保証の履行のために経営者等が資産を譲渡した場合、当該保証債務の履行に充てた分の譲渡益について、経営者等の当該年の所得から控除する制度を拡充すべきである。


6.固定資産税の負担軽減

商業地等における固定資産税負担は依然として高水準で推移し、地価水準との大幅な乖離が続いている。現に地価は、平成3年をピークに減少に転じているにもかかわらず、固定資産税の負担額は、近年、減収に転じているとはいえ、ここ20年で約2.5倍にまで増加している。このため、かつては概ね0.4%程度を上限に推移していた商業地等における実効税率も、バブル期以降は一貫して上昇基調にあり、現在では0.6%程度にまで達していることから、実質的な負担をバブル期以前の水準の上限であった0.4%程度に引き下げる必要がある。
 また、家屋についても、現行の評価基準は非常に複雑なうえ、法人税法上の法定耐用年数に相当する経過年数が長く設定されている等の問題がある。
 こうした現状を踏まえ、固定資産税の評価方法の改善や税率の引き下げ等による抜本的な税負担の軽減措置を講じるべきである。


7.金融証券税制の見直し

 株式の含み損解消と新規投資を活発化させるため、株式と類似金融商品(株式投資信託等)間での損益通算を認めるべきである。その際、上場株式のみならず非上場株式もその対象に加え、M&A(企業の合併・買収)による企業再編を促進されたい。
 また、金融所得をはじめとする資産性所得を一括して勤労性所得とは切り離し、単一の比例税率で課税する日本型二元的所得税の導入を検討すべきである。


8.年金税制の拡充

 他の先進諸国に例を見ないスピードで少子・高齢化が進展し、公的年金給付を補完する企業年金の果たす役割が年々大きくなっている中で、昨年、「確定拠出年金法」、「確定給付企業年金法」が相次いで施行され、企業年金分野の枠組みが大きく変更されたが、企業経営にとって適切な企業年金制度の再構築を実施するには、必ずしも十分な制度上の手当がなされていない。中小企業にとって、複数ある制度間での移行や自由な給付設計といった企業の実情に合わせた柔軟な制度再構築を行うため、次に掲げる措置を講じるべきである。
(1)確定拠出年金(企業型・2号個人型を問わず)における拠出限度額を年額76.5万円または給与の13.3%のどちらか低い方へ引き上げること。
(2)確定拠出年金におけるマッチング拠出を認めること。
(3)企業年金制度における特別法人税を撤廃すること。
(4)退職給付制度間の移行について特定退職金共済制度を対象とすること。


9.特定財源の見直し

 特定財源の見直し問題は、今後のわが国の財政のあり方を考えるうえで極めて重要な課題である。中でも、道路特定財源の見直しは、地域における道路整備の遅延等を懸念する声や、納税者の声等、立場によって様々な意見があるので、十分議論を尽くすべきである。
 特定財源の使途に関して、公共投資の内容を吟味し、無駄な事業を見直すことは必要であるが、その際、例えば、道路交通の円滑化にも寄与し、時代の要請でもある鉄道、空港といった総合交通体系の整備等にもその使途を拡大することを検討すべきである。仮に、特定財源の一般財源化が図られる方向となった場合であっても、経済構造改革推進のための基盤整備等の観点から、中長期的に見てわが国全体の発展に不可欠と認められる事業については、引き続き財政措置を十分に確保する必要がある。


10.納税者番号制度

 経済活動のボ−ダーレス化、金融資本取引の多様化、電子商取引の拡大等の情報化・電子化の進展、さらには、相続税と贈与税を一体化し生前贈与と死亡時の遺産相続をあわせて課税を平準化する「一生累積課税方式」や、金融所得などの資産性所得を一括して勤労性所得と切り離して単一の比例税率で課税する「二元的所得税」の導入への環境整備に向けて、納税者番号制度の導入を検討すべきである。その際は導入コストの抑制を念頭におくとともに、個人のプライバシーが漏れることが絶対あってはならないので、情報遺漏防止に万全を図り、目的を逸脱した使用には罰則を科すなどの配慮を図る必要がある。


11.地球温暖化問題への対応

 地球温暖化対策をはじめとする環境対策については、環境と経済の両立が大前提であり、現下の経済情勢において産業界に新たな税負担を課せば、この両立を実現することは不可能である。  
特に、地球温暖化対策は、ステップ・バイ・ステップのアプローチをとることが決められている。本来の趣旨からしても、税制や課徴金による対策は、他の多くの対策をもってしても、なお目標が達成できない場合の最終的な対策のはずであり、初めから温暖化対策税ありきの議論を行うことはもってのほかである。税制の議論以前に、まず、温室効果ガス排出量の増加が顕著な民生、運輸部門における削減強化を図るため、国民的な取り組みを展開すべきであり、安易に税制や課徴金といった手法の導入を図るべきではない。


12.公益法人課税強化に反対

 公益法人課税の見直しは、個々の公益法人の活動実態を十分踏まえて実施する必要があり、商工会議所のような特に公益性の高い法人は、その存在意義や役割がむしろ地方自治体や公共法人と同等であるといえるので、現行以上の課税強化は行うべきでない。



要望項目

T.国 税

1.所得税

(1)住宅投資に関し、以下の税制措置を講じること。

@ 住宅ローン税額控除制度について、セカンドハウスを取得する場合や転勤者が再び対象家屋を居住の用に供する場合も対象に含めるとともに、現行3,000万円の所得要件を撤廃する。また、良質な住宅ストックの拡充を図るため、増改築・リフォームに係るローン期間要件(現行10年以上)を3年以上に短縮する。
A 住宅ローンの支払利子を所得から控除する住宅ローン利子所得控除制度を創設する。
B 省エネ・環境・防災・バリアフリー住宅等に対する税制措置を創設する。

(2)土地の有効利用を通じて都市再生を促進するため、個人の土地の長期譲渡所得課税の税率の一律分離課税の軽減、「都市再生特別措置法」に基づく都市再生緊急整備地域における税制上の特例措置の創設を図ること。

(3)中小企業の設備投資を支援するため、中小企業投資促進税制について、税額控除率及び特別償却率を引き上げる等、拡充を図るとともに、中小企業者の機械等の特別償却制度、中小企業等基盤強化税制の適用期限を延長すること。

(4)わが国経済社会のIT化を推進するため、以下の税制措置を講じること。

@ IT投資額の10%の税額控除と取得資産の即時償却の選択適用を認める「IT投資促進税制」を創設する。
A プログラム等準備金制度の適用期限を延長する。

(5)研究開発を一層促進するため、以下の税制措置を講じること。

@ 試験研究費総額の10%の税額控除など、広範に活用できる新たな研究開発支援税制の創設を含め、研究開発税制を抜本的に改正・充実する。
A 試験研究用に供する償却資産を取得した場合の特別償却制度を創設する。
B 産学連携特別試験研究の税額控除制度を創設する。
C 試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度について、適用期限を延長する。
D 「中小企業経営革新支援法」、「中小企業創造的事業活動促進法」および「特定産業集積の活性化に関する臨時措置法」に基づく鉱工業技術研究組合等に対する支出金の特別償却制度の適用期限を延長する。
E 中小企業技術基盤強化税制について、税額控除率を15%に、税額控除限度額を法人税額の20%にそれぞれ引き上げるとともに、適用期限を延長する。

(6)ベンチャー企業の育成・新規創業の促進のため、以下の税制措置を講じること。

@ 現行エンジェル税制について、ベンチャー企業への投資ロスと他の所得との損益通算を認めるとともに、繰越控除(現行3年)を5年へ延長する。また、適用要件の見直しを行う。
A 投資誘発効果を高めるため、イギリス、フランスなどの制度と同様、ベンチャー企業に対する投資額の20%の税額控除を認める。
B 私立大学等への寄付金の所得控除限度額の拡大等、「私立大学等教育研究活動活性化税制」を創設する。

(7)減価償却資産の法定耐用年数の短縮、少額減価償却資産の取得価額基準(現行10万円)の引き上げ等、減価償却制度の見直しを行うこと。

(8)失敗してもやり直しのできる社会を実現するため、法人の債務に係る個人保証の履行のために経営者等が資産を譲渡した場合、当該保証債務の履行に充てた分の譲渡益について、経営者等の当該年の所得から控除する制度を拡充すること。

(9)平成15年1月から導入される新証券税制は、申告納税の手間が増え、また、制度も複雑であるため、投資家の株式離れを引き起こし、最近の株式相場低迷の一因との指摘もなされていることから、制度の簡素化を図り、投資家離れを防ぎ、証券市場の活性化を図る方向で、新証券税制を改めて見直すこと。なお、制度が簡素化されるまでの間は、少なくとも源泉分離課税方式は存続させること。

(10)株式と類似金融商品(株式投資信託等)間での損益通算を認めること。その際、上場株式のみならず非上場株式もその対象に加えること。

(11)商品先物取引に係る所得について、株式等の有価証券の現物取引に係る所得との損益通算および純損失の3年間の繰越を可能とするとともに、申告分離課税とする特例措置の適用期限の延長および税率の引き下げを行うこと。

(12)金融所得をはじめとする資産性所得を一括して勤労性所得と切り離し、単一の比例税率で課税する日本型二元的所得税の導入を検討すること。

(13)M&Aによる企業組織再編の促進や、円滑な事業承継の支援を図るため、経営権の譲渡となる発行済み株式総数の3分の2以上の株式を譲渡した場合、譲渡益課税を2分の1に軽減すること。

(14)公開前3年超保有していた株式の譲渡益に係る譲渡所得の特例について、創業時から株式を所有していた場合は、株式公開前3年超の株式所有の要件を満たさなくてもよいこととすること。

(15)企業の株式発行・譲渡による資本調達力を強化するため、個人段階における配当二重課税を是正すること。

(16)景気が持続的成長軌道に乗った段階で、負担能力にも配慮しつつ、広く薄く負担するという観点から、諸控除の見直しによる個人所得税の課税最低限の引き下げを図ること。ただし、見直しにあたっては、現在の納税者が増税とならないよう、累進税率構造のフラット化とあわせて実施すること。また、高齢者は所得や資産の現状を見る限り、平均的には必ずしも社会的弱者ではないことから、年金受給者である高齢者世代に対する税制上の優遇措置を縮減すること。

(17)青色申告特別控除制度について、青色事業主の勤労性所得を考慮した「勤労所得控除(仮称)」を創設すること。

(18)給与所得者が職業能力の開発・向上に資する自己啓発を行った場合の費用を特定支出控除の対象とすること。

(19)「中小企業創造的事業活動促進法」に基づいて事業化設備等を取得した場合の特別償却制度および税額控除制度の適用期限を延長すること。

(20)「中小企業経営革新支援法」に規定する経営基盤強化計画を実施する特定組合等の構成員の機械等の割増償却制度の適用期限を延長すること。

(21)「中小小売商業振興法」に基づいて整備される商業施設の特別償却制度の適用期限を延長すること。

 

2.法人税

(1)土地の有効利用を通じて都市再生を促進するため、法人の譲渡益課税重課制度の恒久的廃止、事業用資産の買い換え特例の繰延べ割合の100%への引き上げ、「都市再生特別措置法」に基づく都市再生緊急整備地域における税制上の特例措置の創設を図ること。

(2)中小企業の設備投資を支援するため、中小企業投資促進税制について、税額控除率及び特別償却率を引き上げる等、拡充を図るとともに、中小企業者の機械等の特別償却制度、中小企業等基盤強化税制の適用期限を延長すること。

(3)わが国経済社会のIT化を推進するため、以下の税制措置を講じること。

@ IT投資額の10%の税額控除と取得資産の即時償却の選択適用を認める「IT投資促進税制」を創設する。
A 電子計算機買戻損失準備金制度について、特定電子計算機貸付会社に係る要件を削除するとともに、適用期限を延長する。
B プログラム等準備金制度の適用期限を延長する。

(4)研究開発を一層促進するため、以下の税制措置を講じること。

@ 試験研究費総額の10%の税額控除など、広範に活用できる新たな研究開発支援税制の創設を含め、研究開発税制を抜本的に改正・充実する。
A 試験研究用に供する償却資産を取得した場合の特別償却制度を創設する。
B 産学連携特別試験研究の税額控除制度を創設する。
C 試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度について、適用期限を延長する。
D 「中小企業経営革新支援法」、「中小企業創造的事業活動促進法」および「特定産業集積の活性化に関する臨時措置法」に基づく、鉱工業技術研究組合等に対する支出金の特別償却制度および当該組合等の賦課金による試験研究用固定資産の取得に係る所得計算の特例制度(圧縮記帳)の適用期限を延長する。
E 中小企業技術基盤強化税制について、税額控除率を15%に、税額控除限度額を法人税額の20%にそれぞれ引き上げるとともに、適用期限を延長する。

(5)ベンチャー企業の育成・新規創業の促進のため、以下の税制措置を講じること。

@ 創業後5年間に生じた欠損金の無期限の繰越控除制度を創設する。
A 私立大学等への寄付金の損金算入限度額を拡大する。

(6)交際費について、企業会計原則に則り、全額損金算入を認めること。一挙に全額損金算入が難しい場合には、当面の措置として、現在、資本金5,000万円以下の法人にのみ認められている定額控除限度額の適用範囲を「資本金1億円以下」に拡大するとともに、定額控除限度額(支出額が定額控除限度額に満たない場合は、支出額の全額)まで損金算入を認めること。

(7)実効税率が少なくとも欧州主要国並みの水準となるよう、法人税の基本税率を引き下げること。また、これ以上の課税ベースの拡大は、企業の経営改革の進行を遅らせ、経済構造改革にもマイナスに働くおそれがあることから、行わないこと。

(8)減価償却資産の法定耐用年数の短縮、少額減価償却資産の取得価額基準(現行10万円)の引き上げ等、減価償却制度の見直しを行うこと。

(9)中小企業の内部留保を拡充し、経営基盤の強化を図るため、中小同族会社の留保金課税制度を廃止すること。

(10)中小企業の体質強化と活力増進を図るため、中小企業軽減税率について、税率を引き下げるとともに、適用所得金額(現行800万円)を引き上げること。

(11)欧米先進国に比べて短い欠損金の繰越期間を10年に延長すること。それができない場合には、「中小企業創造的事業活動促進法」に規定する研究開発計画の認定を受けた中小企業者等および「産業活力再生特別措置法」に基づく事業再構築計画の認定事業者の欠損金の繰越期間の特例の適用期限を延長すること。

(12)租税特別措置法で一部を除き不適用とされている繰戻還付を認めること。その適用ができない場合には、「産業活力再生特別措置法」の認定事業者が設備等の廃棄を行ったことによって生じた欠損金の繰戻還付の不適用の除外措置の適用期限を延長すること。

(13)連結付加税を廃止するとともに、連結納税制度の導入に伴い廃止されることになった退職給与引当金の繰入れを復活すること。

(14)法人における受取配当益金不算入割合を100%に引き上げること。

(15)平成14年度商法改正により、取締役の業績連動型報酬が規定されたことを踏まえ、現行税制では「賞与」として損金不算入とされる業績連動型役員報酬につき「報酬」として損金算入を認めること。

(16)自己株式取得を進めた結果、オーナー保有株式と自己株式保有数の合計が発行済み株式の過半数を超え、同族会社と判定され税制上不利な扱いを受ける可能性があることから、自己株式保有数は同族会社の判定から除外すること。

(17)中小企業等の貸倒引当金の特例措置の適用期限を延長すること。

(18)事業協同組合等の留保所得の特別控除制度の適用期限を延長すること。

(19)事業再構築・産業再編、非効率な設備の廃棄と最新設備の導入等を促進するため、「産業活力再生特別措置法」を抜本的に強化し、税制上の特例措置を拡充・延長すること。

(20)「新事業創出促進法」に係る税制措置について、以下の措置を講じること。

@ 新事業創出促進法第9条の規定により読み替えて適用される産業活力再生特別措置法の認定に係る共同で現物出資した場合の課税の特例措置の適用期限を延長する。
A 特定高度技術産業集積地域における高度技術産業用設備の特別償却制度の適用期限を延長する。
(21)企業の組織再編を促進し、わが国企業の競争力強化を図るため、組織再編税制における適格要件の見直しを行うこと。

(22)「中小企業創造的事業活動促進法」に基づいて事業化設備等を取得した場合の特別償却制度および税額控除制度の適用期限を延長すること。

(23)「中小企業経営革新支援法」に規定する経営基盤強化計画を実施する特定組合等の構成員の機械等の割増償却制度の適用期限を延長すること。

(24)「中小小売商業振興法」に基づいて整備される商業施設の特別償却制度の適用期限を延長すること。

(25)「中小企業流通業務効率化促進法」に基づいて整備される商業施設の特別償却制度を拡充するとともに、適用期限を延長すること。

(26)公害防止用設備の特別償却制度の適用期限を延長すること。

(27)再商品化設備等の特別償却制度について、対象を拡充すること。

(28)低開発地域等における工業用機械等の特別償却制度の適用期限を延長すること。

(29)特定電気通信設備の特別償却制度の適用期限を延長すること。

(30)特定再開発建築物等の割増償却制度の適用期限を延長すること。

(31)植林費の損金算入の特例措置の適用期限を延長すること。

(32)技術等海外取引に係る所得の特別控除制度の適用期限を延長すること。

(33)特定災害防止準備金制度の適用期限を延長すること。

(34)「大阪湾臨海地域開発整備法」に規定する大阪湾臨海地域の開発地区において整備される中核的施設の特別償却制度の適用期限を延長すること。

(35)「多極分散型国土形成促進法」に規定する振興拠点地域または業務核都市に設置される中核的民間施設の特別償却制度の適用期限を延長すること。

(36)関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度の適用期限を延長すること。

(37)わが国企業の国際競争力向上のため、外国税額控除制度における間接税額控除の対象範囲の拡大やタックスへイブン税制の適用除外要件の見直し等、国際課税制度の整備を図ること。

(38)公益法人と同等に、認定NPO法人に対する「みなし寄付金」制度を適用する等、NPO関連税制を拡充すること。

 

3.相続税・贈与税

(1)資産の世代間移転の円滑化のため、相続税と贈与税の見直しを図ること。

(2)住宅資金等の贈与に対する非課税枠を3,000万円に拡大すること。

(3)時限的な措置として、贈与税の基礎控除額を相続税の法定相続人一人あたりの基礎控除額である1,000万円まで引き上げること。

(4)円滑な事業の継続・発展のため、以下の税制措置を講じること。

@ 円滑な事業の継続・発展を可能とするため、事業用資産に対する相続税については、欧州諸国の例に見られるように、5年程度の事業継続を前提に、課税対象額の5割を控除するといった、新たな事業承継税制を確立する。
A 取引相場のない株式について、評価方法の改善を行う等、さらなる改善を図る。
B 取引相場のない株式の物納について、運用基準の緩和を図る。
C 相続税・贈与税の最高税率の引き下げを含めた累進税率構造の見直しと贈与税の基礎控除額の引き上げを図る。

 

4.消費税

消費税の免税点制度および簡易課税制度を維持・存続すること。

5.登録免許税

(1)登録免許税の負担を手数料水準にまで引き下げること。

(2)登録免許税の引き下げができない場合には以下の措置を講じること。

@「産業活力再生特別措置法」に係る税制措置について、登録免許税の軽減措置の適用期限を延長する。
A旧中小企業事業団から集団化等のために融資を受けて事業協同組合等が取得した土地等を組合員等に再譲渡する場合における登録免許税の軽減措置の適用期限を延長する。
B 商工組合中央金庫および信用保証協会の抵当権設定登記等の登録免許税の軽減措置の適用期限を延長する。
C「都市再生特別措置法」に基づく都市再生緊急整備地域における土地等の取得に係る登録免許税の軽減措置の創設を図る。

 

6.その他

(1)印紙税について、非課税限度額を引き上げるとともに、税負担を軽減すること。

(2)移出または引取に係る揮発油の特定用途免税措置を延長すること。

 

U.地方税

1.住民税

(1)個人の土地の長期譲渡所得課税の税率の一律分離課税の軽減、法人の譲渡益課税重課制度の恒久的廃止を図ること。

(2)中小企業者等の試験研究費に係る特例措置を拡充するとともに、適用期限を延長すること。

(3)現行エンジェル税制について、ベンチャー企業への投資ロスと他の所得との損益通算を認めるとともに、繰越控除(現行3年)を5年へ延長すること。また、適用要件の見直しを行うこと。

(4)株式と類似金融商品(株式投資信託等)間での損益通算を認めること。その際、上場株式のみならず非上場株式もその対象に加えること。

(5)商品先物取引に係る所得について、株式等の有価証券の現物取引に係る所得との損益通算および純損失の3年間の繰越を可能とするとともに、申告分離課税とする特例措置の適用期限の延長および税率の引き下げを行うこと。

(6)公開前3年超保有していた株式の譲渡益に係る譲渡所得の特例について、創業時から株式を所有していた場合は、株式公開前3年超の株式所有の要件を満たさなくてもよいこととすること。

(7)給与所得者が職業能力の開発・向上に資する自己啓発を行った場合の費用を特定支出控除の対象とすること。

(8)外国税額控除制度に係る所要の特例措置を講じること。

 

2.法人事業税

(1)賃金等を課税標準とする外形標準課税は絶対導入しないこと。

(2)電気供給業およびガス供給業について、「その他の事業」と同一の扱いに改めること。

 

3.不動産取得税

(1)商業地等における固定資産税負担は依然として高水準で推移し、地価水準との大幅な乖離が続いており、また、家屋についても、評価基準が複雑等の問題があることから、固定資産税の評価方法の改善や税率の引き下げ等による抜本的な税負担の軽減措置を講じること。

(2)電気自動車等用燃料等供給設備に係る課税標準の特例措置に燃料電池自動車用の供給設備を追加し、適用期限を延長すること。

(3)地域エネルギー利用設備に係る課税標準の特例措置について、バイオマス発電設備および雪氷熱利用設備を追加し、適用期限を延長すること。

(4)電線類の地中化設備に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長すること。

(5)オゾン層保護および温暖化対策に係る脱特定物質対応型設備に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長すること。

(6)「都市再生特別措置法」に基づく都市再生緊急整備地域における土地等に係る固定資産税の軽減措置の創設を図ること。

(7)国家備蓄施設所在地市町村に対する固定資産税に係る所要の措置を講じること。

 

4.不動産取得税

(1)不動産取得税を廃止すること。

(2)不動産取得税を廃止できない場合には、以下の措置を講じること。

@ 「産業活力再生特別措置法」に規定される認定事業再構築計画等に従って営業譲渡等を受けた者が、当該譲渡等に伴い取得する不動産に係る税額の減額措置を講じる。
A 新事業創出促進法第9条に規定される認定事業再構築計画に従って行われる特定会社の創業等に伴い、新設会社が特定会社から取得する不動産に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長する。
B 「都市再生特別措置法」に基づく都市再生緊急整備地域における土地等の取得に係る不動産取得税の軽減措置の創設を図る。

 

5.特別土地保有税

(1)特別土地保有税を廃止すること。

(2)特別土地保有税を廃止できない場合には、以下の措置を講ずること。

@「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」に規定する商工会等が基盤施設計画に従って実施する基盤施設事業の用に供する土地に係る非課税措置の適用期限を延長する。
A電気自動車等用燃料等供給設備の用に供する土地に係る非課税措置に燃料電池自動車用の供給設備を追加し、適用期限を延長する。
B「中小小売商業振興法」に規定する商店街整備等支援計画に基づき特定会社または公益法人が設置する共同施設の用に供する土地に係る非課税措置の適用期限を延長する。
C「中小企業流通業務効率化促進法」に規定する認定組合等が実施する認定計画等に係る認定要件の緩和等の措置を講じる。
D「中心市街地活性化法」に規定する認定特定事業計画等に基づき実施される特定事業等の用に供する土地に係る非課税措置の適用期限を延長する。
E「新事業創出促進法」に基づく高度技術産業集積地域内における非課税措置の適用期限を延長する。
F「多極分散型国土形成促進法」に規定する重点整備地区等に設置される中核的民間施設の用に供する土地に係る非課税措置の適用期限を延長する。
G「都市再生特別措置法」に基づく都市再生緊急整備地域における土地の取得等に係る特別土地保有税の軽減措置の創設を図る。

 

6.事業所税

(1)事業所税については、二重課税並びに都市間の課税の公平上の問題があることから、廃止すること。

(2)事業所税を廃止することができない場合には、以下の措置を講ずること。

@再商品化設備等に係る課税標準の特例措置を創設する。
A「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に規定する製造協同組合等が設置する伝統的工芸品産業用共同施設に対する資産割に係る非課税措置の適用期限を延長する。
B「中小小売商業振興法」に規定する高度化事業計画(商店街整備等支援計画を除く)に基づき設置する共同施設に対する新増設および資産割に係る非課税措置の適用期限を延長する。
C「中小企業流通業務効率化促進法」に規定する認定組合が実施する流通業務効率化計画の認定要件を緩和する。
D「中心市街地活性化法」に規定する認定特定事業計画等に基づき実施する特定事業等の用に供する施設に対する新増設に係る非課税措置および課税標準の特例措置の適用期限を延長する。
E「地域産業集積活性化法」に規定する承認計画に基づき実施する事業の用に供する施設の新増設に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長する。
F「中小企業創造的事業活動促進法」に規定する認定組合等が実施する技術開発およびその成果の事業化のための施設に対する資産割に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長する。
G「多極分散型国土形成促進法」に規定する重点整備地区等に設置される中核的民間施設に対する新増設に係る非課税措置および資産割に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長する。

 

7.自動車税

 自動車税のグリーン化について、所要の見直しを行ったうえで延長すること。

8.自動車取得税

(1)「エネルギーの使用の合理化に関する法律」に基づく一定の基準を満たす低燃費車に係る特例措置について、所要の見直しを行ったうえで、適用期限を延長すること。

(2)電気自動車等(電気、天然ガス、メタノールおよびハイブリッド自動車)に係る特例措置の適用期限を延長すること。

(3)最新排出ガス規制適合車の取得に係る特例措置の適用対象に平成16年規制適合車を追加すること。

(4)総合的な自動車NOx・PM対策を推進する観点から、所要の税制措置を講じること。

 

V.その他

1.年金税制の拡充

 他の先進諸国に例を見ないスピードで少子・高齢化が進展し、公的年金給付を補完する企業年金の果たす役割が年々大きくなっている中で、昨年、「確定拠出年金法」、「確定給付企業年金法」が相次いで施行され、企業年金分野の枠組みが大きく変更されたが、企業経営にとって適切な企業年金制度の再構築を実施するには、必ずしも十分な制度上の手当がなされていない。中小企業にとって、複数ある制度間での移行や自由な給付設計といった企業の実情に合わせた柔軟な制度再構築を行うため、次に掲げる措置を講じるべきである。

(1)確定拠出年金(企業型・2号個人型を問わず)における拠出限度額を年額76.5万円または給与の13.3%のどちらか低い方へ引き上げること。

(2)確定拠出年金におけるマッチング拠出を認めること。

(3)企業年金制度における特別法人税を撤廃すること。

(4)退職給付制度間の移行について特定退職金共済制度を対象とすること。

 


2.特定財源の見直し

 特定財源の見直し問題は、今後のわが国の財政のあり方を考えるうえで極めて重要な課題である。中でも、道路特定財源の見直しは、地域における道路整備の遅延等を懸念する声や、納税者の声等、立場によって様々な意見があるので、十分議論を尽くすべきである。 特定財源の使途に関して、公共投資の内容を吟味し、無駄な事業を見直すことは必要であるが、その際、例えば、道路交通の円滑化にも寄与し、時代の要請でもある鉄道、空港といった総合交通体系の整備等にもその使途を拡大することを検討すべきである。仮に、特定財源の一般財源化が図られる方向となった場合であっても、経済構造改革推進のための基盤整備等の観点から、中長期的に見てわが国全体の発展に不可欠と認められる事業については、引き続き財政措置を十分に確保する必要がある。


3.納税者番号制度

 経済活動のボ−ダーレス化、金融資本取引の多様化、電子商取引の拡大等の情報化・電子化の進展、さらには、相続税と贈与税を一体化し生前贈与と死亡時の遺産相続をあわせて課税を平準化する「一生累積課税方式」や、金融所得などの資産性所得を一括して勤労性所得と切り離して単一の比例税率で課税する「二元的所得税」の導入への環境整備に向けて、納税者番号制度の導入を検討すべきである。その際は導入コストの抑制を念頭におくとともに、個人のプライバシーが漏れることが絶対あってはならないので、情報遺漏防止に万全を図り、目的を逸脱した使用には罰則を科すなどの配慮を図る必要がある。


4.地球温暖化問題への対応

 地球温暖化対策をはじめとする環境対策については、環境と経済の両立が大前提であり、現下の経済情勢において産業界に新たな税負担を課せば、この両立を実現することは不可能である。  特に、地球温暖化対策は、ステップ・バイ・ステップのアプローチをとることが決められている。本来の趣旨からしても、税制や課徴金による対策は、他の多くの対策をもってしても、なお目標が達成できない場合の最終的な対策のはずであり、初めから温暖化対策税ありきの議論を行うことはもってのほかである。税制の議論以前に、まず、温室効果ガス排出量の増加が顕著な民生、運輸部門における削減強化を図るため、国民的な取り組みを展開すべきであり、安易に税制や課徴金といった手法の導入を図るべきではない。


5.公益法人課税強化に反対

 公益法人課税の見直しは、個々の公益法人の活動実態を十分踏まえて実施する必要があり、商工会議所のような特に公益性の高い法人は、その存在意義や役割がむしろ地方自治体や公共法人と同等であるといえるので、現行以上の課税強化は行うべきでない。


6.2005年日本国際博覧会(愛・地球博)開催に伴う税制措置

 2005年日本国際博覧会を成功させるため、博覧会開催に伴う地方税の特例措置を講じること。


7.源泉徴収制度の見直し

 源泉徴収制度は、本来税務当局が行うべき徴税業務を企業が肩代わりしているものであり、給与所得者の納税意識と税への関心を希薄化させているため、見直すこと。


以 上




別 紙

平成15年度 事業承継円滑化のための税制改正に関する要望

 わが国が持続的な発展を遂げるためには、日本経済のダイナミズムの源泉である中小企業の活性化と発展が不可欠であり、また、経済のグローバル化が進展する中で、国際競争力の維持・強化が喫緊の課題となっている。
 中小企業は、多数の従業員の雇用を維持・創出し、事業の遂行により多くの付加価値を生み出しながら成長・発展しつづける継続事業体(ゴーイング・コンサーン)である。そのため、多くの場合、事業を展開していく過程で相続が発生することは避けられないが、相続とは言いながら、その実態は経営を継承することであって、財産の取得とは本質的に意味合いが異なる。むしろ、ただでさえ後継者への世代交代により経営者としての対外的信用力が低下して、先代から引き継いだ事業の維持が厳しくなるほか、相続税という資金負担が求められ、事業継続の基盤が損われかねない。政府税制調査会は、6月に答申した「あるべき税制の構築に向けた基本方針」の中で、「相続後の事業継続に対する過大なインセンティブは、新規の創業や新たな事業展開とのバランスを失わせる」ことから、そのあり方を見直すとしているが、経済を活性化させて、わが国が将来にわたり持続的な成長過程を歩むためには、中小企業が、後継者への事業承継に腐心することなく、安心して、技術革新や新規分野へのチャレンジを図り、いかにダイナミックに発展を遂げられるか、さらには、後継者が経営資源を活かして新規事業を展開(「第二創業」)できるかにかかっている。
 この点、欧州・米国では、「事業体の継続」の重要性に対しての明確な認識に基づき、近年、相続税制の改革が行われており、また、アジア諸国においては、一部の国を除き、そもそも相続税や贈与税制度自体が存在しない。一方、わが国の中小企業は、事業承継にあたって、世界的に見て極めて高い相続税負担をしなければならない状況にある。経済のグローバル化が進展する中で、中小企業の事業体の円滑な継続・発展を可能とする税制の構築を図らなければ、わが国中小企業の国際競争力は低下し、地域産業の空洞化を加速させることになる。
 そのため、現行の相続税・贈与税を見直して、たとえ相続が発生した場合にも、過大な相続税負担により事業体を毀損することなく、円滑な事業の継続、発展を可能とする新たな事業承継税制を、一刻も早く構築することが必要である。
 以上のことから、平成15年度税制改正にあたり、下記事項の実現を強く要望する。

1.事業用資産に対する包括的な事業承継税制の確立

 平成14年度税制改正において、取引相場のない株式等について、一定の要件のもと初めて相続税の課税価格の10%の軽減措置が講じられたことは、新たな事業承継税制の確立へ向けた第一歩として評価できるものである。しかしながら、わが国経済の持続的成長発展のためには、これにとどまることなく、現行の相続税・贈与税を見直し、中小企業の事業用資産の承継については、本来非課税とすべきと考えるが、当面、欧州諸国の例に見られるように、5年程度の事業の継続を前提に、少なくとも課税対象額の5割を控除するといった制度(詳細は、別添「『事業用資産に対する包括的な事業承継税制』の基本スキームについて」参照)を創設し、抜本的な事業承継税制の確立を図るべきである。

2.取引相場のない株式の評価の更なる改善等

 取引相場のない株式の評価については、平成12年度税制改正で、類似業種比準方式による評価方法がより収益性を加味したものとなるとともに、小・中会社の斟酌率の引き下げが行われたが、一部の収益性の高い企業については、株式評価額が改正前よりも上昇してしまうケースが見られる。 斟酌率については、会社の規模が小さくなれば、評価の不安定性の蓋然性が高まるとの考え方から、会社の規模により格差が設けられたが、会社の評価に伴う各種のリスクは、必ずしもその会社の規模に比例するものではない。このため、類似業種比準方式での評価に際しては、大会社・中会社ともに、小会社と同様に斟酌率を0.5とする等、取引相場のない株式の評価の更なる改善を図るべきである。 なお、本年4月より連結納税制度が導入されたが、連結法人の株式評価にあたっては、連結納税制度を選択したことが不利にならないよう、評価方式を検討されたい。
 また、取引相場のない株式を物納する場合について、平成14年度税制改正において物納の要件およびその取扱いが明確化されたところであるが、依然として買い戻し条件がなければ事実上認められないことから、運用基準を緩和すべきである。

3.相続税の累進税率構造の見直しと贈与税の基礎控除額の引き上げ等

 相続税の最高税率は、諸外国と比べ著しく高い水準にあり、また、税率構造も極めて累進的であることから、経済活力の阻害要因となっている。
このため相続税と贈与税について、最高税率(現行70%)の50%への引き下げを含め、累進税率構造の緩和を図るとともに、贈与税の基礎控除額の引き上げを図るべきである。
 なお、現在、政府税制調査会において検討されている相続税と贈与税の一体化については、制度の具体化にあたり、取引相場のない株式も対象とするなど、円滑な事業承継に資する制度となるよう、十分な検討が必要である。

以 上




別 添

「事業用資産に対する包括的な事業承継税制」の基本スキームについて

1.制度の対象となる事業用資産

 (1)個人事業者所有の事業用資産(土地・建物・機械・設備・無体財産権等)
 (2)法人企業経営者所有の事業用資産(土地・建物・機械・設備・無体財産権等《当該企業に貸し付け、2年以上事業用として使用されているものに限る》および未上場自社株)
 

2.評価額

 土地・建物・機械・設備・無体財産権については相続税法上の財産の評価価額によるものとし、未上場自社株については、取引相場のない株式に係る評価方法に基づくものとする。

3.控除条件・控除割合等

(1)5年間の事業継続を条件として、事業用資産の5割を控除する。
@ 相続発生時から10カ月以内に5年間の事業継続を誓約し、本制度の適用を受けることにより、控除部分(5割)については、納税義務が消滅する。
A 事業を承継した相続人については、相続前に事業に携わっていたかは問わない。また、相続後は、株式保有割合や代表権の有無など、事業経営に携わっているという何らかの判断基準を設け、その基準に合致している場合のみ、本制度の適用があるものとする。
(2)5年間の事業継続の立証方法について 相続後5年間は、事業承継者たる相続人が、確定申告書(法人企業経営者の場合は、法人税納税申告書、役員登記簿謄本および事業用資産を企業に貸し付けている場合には、当該資産に関する賃貸借契約書等の写し)を毎年、所轄税務署に提出し、当該税務署がこれらの書類に基づいて条件を満たしているかのチェックを行う。
(3)制度の対象となる条件を満たさなくなった場合について
@ 倒産・廃業・営業譲渡等の場合
 通常の税額(5割控除されなかった場合)との差額分について、新たな納税義務が発生する。
A 株式公開した場合
 当該資産について、通常の税額(5割控除されなかった場合)との差額分について、新たな納税義務が発生する。
B 土地・建物・機械・設備・無体財産権について、廃棄・売却等により当該資産が事業用資産ではなくなった場合
当該資産について、通常の税額(5割控除されなかった場合)との差額分について、新たな納税義務が発生する。
C 事業を承継した相続人が死亡した場合
 次の事業承継者によって事業が継続された場合には、通常の税額(5割控除されなかった場合)との差額分については支払を免除する。事業が継続されなかった場合には、差額分について、次の相続人に納税義務が発生する。

4.現行制度(小規模事業用宅地の評価減額特例)との関係

 個人事業者および特定同族会社経営者については、現行制度と、事業用資産に対する包括的な事業承継税制のいずれか一方を任意に選択できることとする。

以 上

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