トップページ > ニュースライン > トレンドボックス > 【最新海外事情レポート】最近の中国・上海~駐在1年目の見聞録~(上海)

トレンドボックス

【最新海外事情レポート】最近の中国・上海~駐在1年目の見聞録~(上海)

 「中国の1,000年は西安を見ればわかる。500年は北京をみればわかる。100年は上海を見ればわかる。」(出典:榎本泰子著「上海」中公新書)といわれるとおり、上海は発展が著しい中国の今の姿を如実に物語っている。本稿では一生活者から見た今の上海の姿の一端をご紹介したい。

 

 当地に着任して1年、最初に驚いたのはスマートフォンの普及ぶり。生活の隅々までスマホが活用されている。銀行ATMでお金を引き出せば即時に引き出し金額と残高がショートメールでスマホに届く。お昼ごはんも午前中にスマホで注文すれば温かい昼食がオフィスに。スマホさえあればタクシーを呼んだり、酔っ払った時の車の運転代行も簡単に見つけることができる。スマホを生活の道具として徹底的に使いこなす姿は日本よりも進んでいるのではないか。中国で「独身の日」と呼ばれる1111日、インターネット通販で最大手のアリババは、一日の販促イベントだけで912億元(1兆7,000億円)を売り上げた。同社はビッグデータを活用し、クリックしてから最短わずか15分で顧客に商品が届く体制を整え、このキャンペーンに臨んだという。

 

 公共交通網の整備ぶりにも驚かされる。特に2010年の上海万博を機に急速に整備が進んだ地下鉄は14の路線が市内を縦横に走り、運賃はわずか310元。リニアモーターカーは最高時速約400 kmで市内と浦東国際空港を最短8分で結ぶ。また地方各主要都市へと延びる高速鉄道は日本の新幹線にひけをとらない快適さと運航状況である。2011年の高速鉄道の衝突脱線事故の記憶を引きずっていた筆者にとって、昨年初めて高速鉄道に乗ったときの認識ギャップは衝撃的だった。

 

上海市内と浦東国際空港を結ぶ高速鉄道

 

飲食店の領収書にスクラッチくじが付いていることに最近になって気がついた。領収書の右上の銀箔をこそげ落とすと「謝謝」または「10元」などの金額が出てくる。「謝謝」は「はずれ」だが、金額が出てくれば銀行で現金と交換することができ、外食時のささやかな楽しみとなっている。このくじは事業者に正しい売上計上と適正な納税を促すための工夫だという。ここでいう「領収書」は単なるレシートではなく、税務上の要件を満たした公式な領収書であり、飲食店はそれを発行する器具を店頭に設置する必要がある。残念ながら筆者はこのくじに気づかず、これまでかなりの領収書を廃棄してしまった。

 

上海市の一人当たりGDPは85,400元で全国省市別で第3位。上海とりわけ都市部の生活はほぼ先進国のそれに近い。一方で、最も一人当たりGDPが低い貴州省は19,700元で上海の4分の1にも満たず、依然として国内には大きな経済格差が存在している。しかし急速に発展を続ける中国の最先端の部分をウォッチし続けることは大事である。メディアの報道だけに頼ることなく時には自ら現地を訪れて実情をご覧になることをお勧めしたい。上海は日本全国21都市と80近い直行便で結ばれており、わずか23時間で渡航可能である。(文中の一人当たりGDPはいずれも2012年の数値)

(上海日本商工クラブ 事務局長 小林 英文)