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平成30年三村会頭年頭所感

 明けましておめでとうございます。

 平成30年の新春を迎え、謹んでお喜び申しあげます。

 

 日本商工会議所会頭として5回目の新年を迎えました。

 

 さて、西暦で下一桁が7の年は、過去に金融に関わる大きな危機が訪れたこともありましたが、昨年の世界経済は、米国経済が堅調に推移し、欧州も緩やかに回復、中国では高成長から安定成長へと軟着陸に向かっており、全体的に当初の予想を上回る安定した動きとなりました。わが国経済も、潜在成長率が回復したとはいえまだ1%程度の実力の割には健闘しました。しかし持続的な成長に向けて構造改革の推進とサプライサイド政策の実行がますます重要になっております。

 

 一方で、企業を取り巻く環境は、TPP11の大筋合意や世界の貿易量の急速な回復など明るい話題があるものの、北朝鮮問題、米国の保護主義的な政策、BREXITの動きなど、先行きの不透明感も大きくなっております。日本国内では、人手不足の顕在化が、賃金の上昇にも影響を及ぼし、また、多くの中小企業における経営者の高齢化、地方経済の疲弊など、経営者の悩みは尽きなかったのではないでしょうか。

 

 このように不確実で、変化のスピードが速い時代の中では、民間企業の経営者の役割がますます重要となっており、各々の経営者が「企業は何のために、誰のために存在するのか」を考え、その中で具体的にどう行動するべきかが問われています。今年は明治維新から150年、また、東京、大阪、神戸の三つの商工会議所が創立140周年を迎える年でもあり、自らの企業経営のあり方を振り返る好機でありましょう。

 

 日本の資本主義と民間企業の発展に多大な貢献を果たした渋沢栄一翁は、「論語と算盤」を著し、公益と私益の両立は可能だし、そうするべきだと主張しております。その理念は商工会議所の精神的な支柱として、現代に受け継がれております。経営者の皆様には、是非とも渋沢翁の理念を自らの経営にどう活かすのか、改めて考えていただきたいと思います。

 

 さて、大きな時代の変化の中で、平成30年を迎えるにあたり、われわれ商工会議所が取り組むべき課題は山積しておりますが、私といたしましては、「中小企業の課題解決が日本経済の成長に直結するものである」との信念のもと、以下のような課題に重点をおいて取り組んでいきたいと考えております。

 

 1点目は、「人手不足の克服」です。深刻化する人手不足は、特に中小企業で顕著であり、およそ6割の企業が人手不足を訴え、この先もますます深刻化することが確実です。わが国における人手不足解消のためには、女性、高齢者、外国人などの多様な人材の活用とともに、ⅠCTなどを活用した生産性の向上が不可欠です。中小企業の生産性向上なしには、日本の成長は不可能です。商工会議所としては、会員企業への支援に必要な施策を政府に要請していくとともに、経営者の気付きを促し、身の丈IoTの普及などの支援事業の積極的な実施に取り組んでいきます。また外国人材のさらなる活用についても、時代に応じた抜本的な見直しを訴えていく所存です。

 

 2点目は、「事業承継」への取り組みです。昨年は、事業承継税制の抜本拡充を求める「推進大会」を開催するなど、全国の商工会議所の総力を挙げて、政府・与党へ働きかけた結果、平成30年度税制改正において、商工会議所の意見が多く盛り込まれた形で、事業承継税制の抜本拡充が実現しました。改めて税制改正の実現にご協力いただいた関係各位に厚く御礼申しあげます。中小企業の事業承継は、個別企業の相続の問題のみならず、世代交代による中小企業の活性化、生産性向上、地方創生など、わが国経済の成長に関わる大変重要な課題であります。今後5年間で団塊世代の経営者30万人が70歳に到達する「大事業承継時代」を迎える中で、商工会議所として、事業承継税制をはじめ、国の施策をフル活用し、わが国経済を支える中小企業の円滑な事業承継を後押ししていく必要がありますので、引き続き、皆様のご協力をよろしくお願い申しあげます。

 

 3点目は、「地方創生」への取り組みです。第一次産業の活性化、およびインバウンドのみならず国内観光を含めた観光振興による地域・地方の活性化に引き続き取り組みます。さらに、2020年オリンピック・パラリンピックは、わが国の魅力を世界にアピールする絶好の機会であり、招致から続けてきた大会成功に向けての取り組みは、商工会議所の使命の一つと捉えております。加えて、大阪・関西における2025年国際博覧会の誘致も強力に進めていくことが重要であります。

 

 平成30年は、上述の課題を解決・克服していくための1年にしたいと考えております。「未来を拓く商工会議所」として、日本商工会議所では、全国515商工会議所、青年部、女性会などとの連携をさらに強化し、企業、地域、ひいては日本経済の持続成長の実現に向けて全力で取り組んでまいります。

以 上